表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エビルワールド  作者: 解凍みかん
35/50

気持ちと法律-1

 ――――晩餐は終わり、一同はメイを囲んで談笑したりカードゲームをしたりしていたが、それもつかの間。気がつけば、疲れて寝てしまっている者がほとんどの中、シラキはマオウに命じられ寝ている者達に毛布をかける。


 その時、孝太郎が目を覚ました。目の前でマリアに毛布をかけようとしているシラキ。そして、自分の肩にかかった毛布。孝太郎が状況を理解するのに、それほど時間はかからなかった。


「これ……シラキが?」


「マオウに命じられてな」


「ああ、そう……」


 寝起きの暗い声で孝太郎は言う。そして毛布を手に持ち、シラキが全員に毛布をかけていく様を見ていた。


「マオウは、いい奴だ。オマエは、それを理解する必要がある」


 毛布をかけ終えて、シラキが言う。


「そう言われてもな……」


 孝太郎は困ったような顔をする。


「やっぱり魔王だし……」


「いい加減、現実を理解しろ」


 暗く強い声でシラキが言った。


「確かにマオウは魔王だ。だが、今の世の中は神は悪だ。クウサだってメイだって、あの神のせいで苦しめられた。その神をマオウは倒そうとしてるんだぞ」


「それは……そうだけど……」


「なら、なぜ、マオウのことを疑う? オマエはわかってるんだろう? 神が悪だと」


「まあ……な」


「だったら、先入観を捨てろ」


 吐き捨てるように言って、シラキは廊下へと消えていった。孝太郎は頬杖をついて考えこむ。


「先入観……か」


 そこへマオウが現れた。彼は小さな声で孝太郎を呼び付ける。


「なんだよ……」


「いいから、来い。お前と一度飲み交わしたかったんだ」


「……わかった」


 すると、マオウの様子が少し変わった。何やら驚いているようだ。


「お前……どうした?」


 向かってくる孝太郎に対してマオウは言う。


「何が?」


「いや、やけに素直じゃないか……」


「別に……ちょっと考えが変わっただけ……」


 そう言って孝太郎はそっぽを向く。


「考えが変わった?」


 マオウは首を傾げる。


「いいから、どっか他の所に行こうぜ。起こしてしまう前に」


「……そうだな。じゃあ、屋上にでも行くか」


「屋上? そんなものがあるのか?」


「まあな。じゃあ、行くか!」


 白いマントを翻してマオウは外への階段を上がっていく。孝太郎は後を追った。


 先に外に出たマオウは、いつの間にか宙に浮いていた。


「おい、予感はしてたけど……屋上って、岩の上?」


 孝太郎は天を指差して言う。


「そうだ。他に何がある?」


 当たり前のようにマオウは言った。


「待て待て待て!! お前っ……もしここに神や天使が来たらどうするんだよ!?」


 孝太郎は必死にマオウを引きずり降ろそうとする。しかし、それに反発してマオウは上昇を始めた。


「うわっ!! な、急に飛ぶな!!」


 足が宙に浮いた孝太郎は、呪文を唱える余裕もなくマオウの腕にしがみつく。


「ハハハ! 心配するな、ここには神も天使も来ない!」


「……どういう事だよ」


 マオウは沢山あるキノコ岩の中から、適当な所を選んで着地した。孝太郎も体制を崩しながらも岩の上に立つ。


「こんな所に魔王がいるなんて、誰も思わないだろう。違うか?」


「そりゃ……違わないけど……」


「それに、私は生まれてこの方民衆の前に姿を現したことがない。つまりは、気配を感じ取れる者でないと私が魔王だとわからないだろう。もちろん、神や天使も私の気配を知らない」


 人差し指を突き立ててマオウは言う。


「気配、ねぇ……。俺はさっぱりわからないけどな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ