魔王と元王女-3
覚悟を決めた、と言わんばかりに孝太郎は最後に残った席へ着いた。気がつけば、目の前では美味しそうに料理を頬張る仲間達。孝太郎は、恐る恐る切り分けられた肉の塊に噛り付いた。
「…………美味い。てか、鶏肉?」
そう言う孝太郎の顔は呆気にとられている。
「普通に、鶏肉の照り焼きだ……」
「だから言ったでしょ! 変なものは入ってないって!」
まるで孝太郎に勝ったかのように、クウサは彼に言い放った。
「ほら、食べなさい。ウサギの肉、美味しいわよ。あとちゃんと野菜も食べなきゃ! あんたこの前、あんまり野菜食べてなかったし」
クウサは無理矢理、孝太郎の皿に肉や野菜を盛っていく。
「いいってば……。自分でできるから」
肉や野菜が溢れこぼれそうな皿を孝太郎は持ち上げ、クウサがこれ以上料理を盛るのを阻止した。
「ハハハ!! クウサ! お前、いつからそんなに過保護になったんだ?」
マオウは陽気に笑う。
「か、過保護!?」
クウサはマオウの顔を直視して言った。目は見開いている。
「私はただ、孝太郎が野菜を食べてなかったのが気になったから盛っただけよ!」
「まあ……孝太郎なら「はいはいわかりましたよ」で済ませそうだから、クウサの気持ちはわかるかな……」
苦笑いをしながらルーナが言う。
「んー、私の気のせいか?」
マオウが首を傾げる。
「そうそう。気のせい気のせい」
そう言ってクウサはグラスに注がれた赤い飲み物を一気に飲み干した。
「あら、クランベリージュース? かなり上質ね」
「……その赤い飲み物、最後の晩餐でも始まるんじゃないかと思ってた」
空になったグラスに目をやり、孝太郎は言った。
「本当に孝太郎は口が悪いな! 私がそんな風に見えるか!?」
マオウは軽く怒ったような口調で言う。しかし――
「いや、お前、一応魔王だし……」
孝太郎のこの一言に全員が納得してしまい、マオウの発言は立場を失った。




