魔王と元王女-2
不安と静寂に耐え切れなくなったマリアが突然声をあげた。
「あ、あの、クウサ!!」
「何? どうかした?」
明らかに落ち着きのないマリア。対してクウサは平然としている。
「お、教えてほしいの! ずっと気になってたの!」
「え、うん……。とりあえず落ち着きなさいよ……」
クウサは両手でマリアをなだめた。
「あ、ごめんなさい……。あのね、クウサ、さっき、初めてマオウさんの料理を食べた時って言ってたじゃない?」
「そうね」
「あの……クウサはどうしてマオウさんと知り合ったの?」
「そうねぇ……」
クウサは昔を懐かしみながら話を始めた。
「『王女が死んだ』翌日、右も左もわからなくて茫然としていた私の元にシラキが現れたの。……シラキはあの時から姿が変わらない。ね?」
クウサはシラキに顔を向ける。
「まぁ、魔族なんてこんなモノだ。途中までは普通に成長するが、急に成長が遅くなって、百歳を過ぎた頃にようやく十五、六くらいに見えるくらいになる」
「へぇ……魔族ってそんなに成長遅いんだ……」
孝太郎が呟く。
「でね」
クウサが話を続ける。
「シラキに「ついてこい」とだけ言われて、私はマオウの元にやってきた。で、マオウは言ったわ。「私は元王女様の味方だ」って。その時、疑問に思ったわ。なんで私のことを知ってるの? って。……実はね、マオウは気付いていたの。神が国に多額のお金を要求していた時の王女暗殺。これはおかしいと、マオウは感づいていた。マオウ以外にも、神の要求を知っていてこの一連の流れに疑問を感じていた人はいたけどね。――――それから、私はマオウと一緒に神を倒す計画を立て始めた……って感じね」
クウサは話を終えた。その瞬間、マオウが料理を運んで――というより、魔法で浮かせてやってきた。
「さて、出来上がったぞ!」
マオウはテーブルの上に料理を飛ばしながら言う。いつの間にか、テーブルの周りに椅子が一つ増えていた。
余談だが、書斎のような部屋、という割にこの部屋は広い。最初は本棚とマオウの机くらいしかなかったこの部屋にテーブルが加わり、ソファーも加わった。今ではまるで『書斎兼リビング』といった感じだ。
料理は孝太郎が買ってきた野菜が多く使われていた。しかし、肉料理もかなりの量がある。
「さあ、みんな食べてくれ!」
自信満々と言いたげな声でマオウは全員に呼び掛ける。シラキとクウサは何のためらいもなくテーブルに向かうが、残った四人は顔を見合わせている。
「大丈夫よ! 変わった動物の肉はあっても、毒入りや人間の肉なんか入ってないんだから!」
クウサは四人に言い聞かせ、真っ先に肉にかぶり付いた。
「あら、これはウサギの肉? 味付けも絶妙で美味しい!」
「人間の肉とか……あってたまるか……」
孝太郎が小声で言う。
「クウサは普通に食べてるし……大丈夫なんじゃないかな?」
言いながらマリアは立ち上がった。
「え、嘘……」
信じられないと言いたげな顔をして、孝太郎はテーブルに向かうマリアの背を見た。
「これはもう、腹を割るしかないね。行こうか」
マリアに続いて、ルーナもテーブルへと向かった。メイもそれに続く。
「ええ!?」
一人取り残された孝太郎は、腰をひねって食卓を囲む一同を見た。
「孝太郎も、早く来なさいよ」
クウサが振り返って言う。
「……わかったよ!!」




