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エビルワールド  作者: 解凍みかん
32/50

魔王と元王女-1

 ――――夕方、ルーナは出かける支度をしていた。


「寝過ぎた……。早くマオウの所に行かないと……」


 いつも着ている緑のローブを纏い、ルーナは家のドアを開けた。


「もうすっかり夕方だなぁ……」


 空の向こうに消える真っ赤な夕焼けを見てルーナは呟く。


 小さな一軒家の鍵を掛けて、ルーナは夕焼けの空へと飛び立った。――――彼がマオウの城に着く頃には、日はほとんど沈んでいた。


 ルーナは五回扉を叩いて、自分の名前を言う。しばらくしてシラキが出迎えた。


「遅かったな」


「ごめん、いろいろとあってね」


「マリアから大体聞いた。まあ、入れ。メイが起きた」


「メイ?」


 ルーナは首を傾げる。


「あの少女だ」


 シラキはルーナを招き入れて、メイについて話す。


「奴隷の子か……。しかも側室になる前に魔力を抜かれたとなると……神は……メイ? が緑の魔法使いだと疑ったわけかな……?」


「さぁな。はっきりしたコトはわからん」


 ここで階段を下りきり、見えたのは、四つ向かい合わせに置かれたソファーに座って、二人が来るのを待っていたマオウ達だ。


「やっと来たか!」


 マオウは言う。


「紹介しよう、メイ・サラウッドだ」


 マオウは立ち上がり、向かい側のソファーに座っていたメイの手をとって立たせた。


「はじめまして、メイ・サラウッドです」


 メイはルーナに頭を下げる。


「僕はマシュリク・ルーナ。僕の場合、名字がマシュリク。よろしく」


 ルーナは彼の大人しい性格に合った微笑みを見せる。


「こちらこそ。……あ、あと! 助けて下さってありがとうございます!!」


 頬を赤くしてメイは言う。そんな彼女の様子を見て、マリアが微笑む。


「どうかしたの?」


 隣にいたクウサが問う。


「なんか可愛いなって思って」


 楽しそうにマリアは言う。


「まあ……十六歳にしては子供みたいな顔してるわよね」


「そういうことじゃなくて」


 相変わらず、マリアは微笑んでいる。


「さて、全員集まったことだし、メイの歓迎会でもするか!」


 マオウが大きく両手を広げた。


「今日は私が腕によりを掛けて作った料理を持て成そう!」


 その瞬間、シラキとクウサ以外の全員の顔が強張った。マオウはすでに台所へと向かっていたため、彼らの様子に気付いていない。


「みんな、どうかした?」


 不思議そうにクウサは問う。


「どうかしたってお前……いくら善と言われてるとはいえ、あいつは魔王だ。それにあの性格からも考えて、いろいろと不安になるだろ……」


 青ざめた顔をして孝太郎が言う。ルーナとマリア、そしてメイもそれに頷く。特に、後半部分で。


「何を言ってる。マオウのメシは最高に美味いんだぞ」


 自信満々にシラキが言う。


「そうよ。まあ……私も初めて料理を出された時は不安だったけど……けど、マオウは悪い人じゃないんだから変なものは作らないわ」


 平然としてクウサも言う。


「だからって……やっぱ、あの性格からしてさ……――――あー、もういいや」


 孝太郎は頭を抱えてうずくまった。


「とにかく、安心しなさいよ。変なものは出ないから」


 クウサは、不安がっている孝太郎達に言い聞かせる。


「それとルーナ。いつまで突っ立ってるの? そこ、座ったらどう?」


 クウサはルーナに、向かい側に座る孝太郎の隣に座るよう促した。


「あ、ああ……」


 その後、しばらく経ってもマオウは姿を現さなかった。調理中なのかもしれない。しかし、それが彼らの不安を大きくしていく。静寂だけが、延々と続く。


「そ、そうだ!」


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