メイの正体-3
クウサとマリアが返事をする間を与えず、マオウはあの引き出しに手をかけた。その瞬間、孝太郎とクウサの目が合った。
マオウは引き出しから緑の宝石を取り出した。それは紛れも無く、緑の魔法使いの石。マオウはそれをメイに持たせた。
「なんですか? これは……」
石は反応を示さない。その瞬間、孝太郎とクウサとマリアは安堵の表情を浮かべた。
「これは緑の魔法使いの石だ。メイが緑の魔法使いとして覚醒していれば、石が光るんだが……どうやら違うみたいだな」
「緑の魔法使い……? どういうことですか!?」
メイは驚いてマオウに問い詰める。
「いや、これはただ単にメイが緑の魔法使いかどうかを調べただけだ。そこの三人も気になっているだろうからな!」
マオウはクウサを指差した。
「お見通しってわけね……」
クウサは苦笑いをする。
「ま、よかったじゃないか!」
マオウはメイから石を取り上げる。
「メイが緑の魔法使いだったら、最悪、神に利用されてたかもしれないんだぞ?」
「けど、神はメイの魔力を抜こうとした」
孝太郎が言う。
「ま、神も覚醒しない限り戦士と魔法使いが誰かはわからない。神が、メイがもし緑の魔法使いであるなら尚更魔力を抜かなければという考えを持っていた可能性もある。……まあ、奴の考えは私達にはわからないがな」
マオウはしゃべりながら石を引き出しに戻した。
「誰が戦士で魔法使いであろうと、私達は全力で戦えばいいだけだ」
「……そうね。マオウの言う通りだわ」
クウサは小さく笑う。
「考えすぎてたのかもね、私」
「クウサの心配もわからんではないぞ。この中で一番、神を倒したいのはクウサだろうからな」
その瞬間、クウサの顔から笑みが消えた。
「メイにも話すべきだと思うぞ?」
マオウは言う。
クウサはしばらくの間、黙りこくった。
メイはきょろきょろと辺りを見回す。
やがて、クウサが重い口を開いた。
「メイ……よく聞いてちょうだい。私は――――六年前に『死んだ』イザベラ・ラナンキュラスよ」
その瞬間、メイの目が凍り付いた。
「イザベラ……ラナンキュラス……」
メイの口が小さく動く。
「王女様!?」
そして突然大声を上げ、口元に手を当てる。
「……そうよ。『死んだ』『元』王女なの。私は」
「そんな……王女様が生きていた!? でも、なんで!?」
メイは混乱を隠せないでいる。
「詳しいことは……話が長くなるんだけど、聞いてくれる?」
「は、はい、聞かせてください!」
「じゃあ、とりあえずは落ち着いて……」
クウサは『王女暗殺』の裏側を語った。メイは、何がなんだかわからないといった顔をしている。
「そんな……いくら財政難だからって……国王様が……!?」
「けど、これはすべて現実に起こった事なのよ。そして、私はもう、イザベラ・ラナンキュラスではない。今はクウサ・ラムよ」
メイは開いた口が塞がらないまま黙っている。
「私が死んだ王女であることは絶対秘密。私を王女と呼んでもいけない。いいわね?」
メイは表情を変えずにこくりと頷く。
「いい子ね。……じゃあ、この話はもうおしまいにしましょ」
クウサはマオウに目を合わせる。何か怒っているような表情をして。
「マオウ……」
「なんだ?」
「……いや、やっぱ、なんでもない」
クウサはマオウから目を反らし、首を振った。
「ん?」
マオウは首をかしげた。




