メイの正体-2
「おーい、クウサが来てるぞー」
この部屋の二つの道のうちの一つの、廊下に向かって孝太郎は叫んだ。
「ああ、代わりに出てくれ!」
台所からマオウの声がした。
「…………はいはい」
孝太郎はのそのそと起き上がった。休めていた体を動かし、階段を上がっていく。
「しっかしどういう構造になってんだ? 外からの声がこんなによく聞こえるなんて……」
ぶつぶつと独り言を言いながら階段を上がる。
「遅いわね……何かあったのかしら?」
「さあ……どうしたのかしらね」
クウサとマリアの声が筒抜けて聞こえてくる。
「はいはい今開けますよ」
ドアを開けながらやる気のない声で孝太郎は言う。
「あら、なんであんたが? シラキは?」
クウサは孝太郎の後ろにシラキがいるのではと、首を伸ばして彼の背後を確認する。
「シラキは今忙しくてな。まあ、詳しいことは中で話す……。二人とも入って」
孝太郎はクウサとマリアに中に入るよう促す。
地下へ下りながら、孝太郎は二人にメイについて説明する。やがて書斎のような部屋に出るが、マオウの姿は見当たらない。孝太郎は説明を続けた。
「神の側室……ね」
クウサは腕を組んで片眉を上げる。
「けど、それよりも。あの子が緑の魔法使いだったら大変よ」
「そう……だな。――――あ」
孝太郎は何かを思い出したようで、マオウの机の引き出しに手をかける。
「ちょっと、何する気!?」
クウサは駆け寄り、彼を止めようとした。
「何って、石を持たせて緑の魔法使いか確かめるんだよ!」
「それなら、ちゃんとマオウに言わなきゃ!」
「言って、もし本当に緑の魔法使いだったら、お前はどうするんだ?」
クウサは言葉を詰まらせ、何も言い返せなかった。
「やるしかないだろ」
孝太郎は引き出しを引こうとした――が。
「開かない……?」
引き出しには鍵をかけるような所は見当たらない。
「マオウの魔力ね。きっと、マオウにしか開けられないようにしてるんだわ」
「くそ、これじゃ確かめようがないな」
「……諦めるしかないわ。まだ、あの子が緑の魔法使いである決定的な証拠はないもの。今は情報を集めて、それでも掴めなかったらマオウに言うしかないわね。もっとも、マオウもあの子について私たちと同じ事を思ってる可能性は無くはないわ」
「そうだな……」
仕方がないので、石のことは諦めて、孝太郎はマオウを呼びに行くことにした。一応、クウサとマリアが来たことを伝えようということだ。
孝太郎が廊下へ出ようとしたその時。ちょうど、マオウとはちあわせた。彼の後ろにはシラキとメイがいる。
「お、これはちょうどいい。今からそっちに行こうとしていたところだ」
「あ、そう。俺はクウサとマリアさん来たから呼びに行こうかと」
「マリアも来てるのか! ……ルーナは?」
「いや、来てないけど……」
「……そうか。まあいい、とりあえず二人が来たんならメイについて説明しなきゃな」
「お前から聞いた事は大体しゃべったよ」
「じゃ、ご対面といきますか」
マオウはシラキとメイを連れて、クウサ達の元へ行く。その後を孝太郎は追いかけた。
「クウサ、マリア! 今日からこの城に住むことになった、メイだ!」
「メイ・サラウッドです。よろしくお願いします」
メイはクウサとマリアの前に立ち、ぺこりと頭を下げる。
「で、早速だが! この場でメイについて確かめようと思う!」




