奴隷少女-5
「ははははは!!」
メイはいきなり笑いを始めたマオウを、目を丸くして凝視した。初めて見た者にとってこれは驚きの光景だろう。
「ま、マオウ……さん!?」
「なんなんだよいきなり!!」
もうお馴染みの光景となっていた孝太郎は、軽くマオウを睨み付ける。
マオウは孝太郎の肩を叩いた。そして、こう言う。
「孝太郎! 人を見た目で判断するのはよくないぞ!」
「お前は見た目通り変なやつだけどな……」
冷めた目をして孝太郎は言い返した。
「そうかそうか! だがな、私のこの格好はいわゆる……」
「えっと……悪かったな……」
孝太郎はマオウを無視して、メイに詫びを入れた。メイはとんでもない、と首を振る。
「私こそ……カッとなってしまって……ごめんなさい、勇者様」
孝太郎は頭を掻いた。
「えっと……その……孝太郎でいいよ。飛騨孝太郎。俺の名前」
「では、孝太郎様!!」
メイは金色の目を輝かせた。
「いや、様もいらない……」
「では、孝太郎さんで」
彼女は今度はにっこりと笑う。
「うん……それでいいよ」
「よろしくお願いしますね! あ、私はメイ・サラウッドです」
彼女はにっこりと笑いながら孝太郎の手をとった。
「あ、ああ……」
孝太郎はメイのペースについていけず、困惑しているようだ。
「孝太郎さん?」
メイは丸い瞳で孝太郎を見つめる。
「え、あ? な、何?」
「いえ……何か様子がおかしい気がしたので……。私の気のせいですね」
「あ、うん……。――そうだ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「なんでしょう?」
突如、孝太郎の脳裏によぎった、昨日のクウサの言葉。マオウには言わないようにと言われていたが、彼は構わず話を続ける。
「緑の魔法使いってわかるか? そいつについての情報を知っていたら教えてほしい」
あくまで孝太郎は、メイがその緑の魔法使いだということを前提に言っている。
「緑の魔法使い……ですか? あの、青の勇者の伝説に出てくる?」
「まあ……そうなんだけど」
「そうですね……これは城の兵士が話していたのですが……」
孝太郎、マオウ、シラキの視線はメイに集まっている。
「赤の戦士と緑の魔法使いは確かにこの世界にいるようです。青の勇者が現れた今、赤の戦士と緑の魔法使いがそろえば、ネレシア神にとっては脅威になるから、戦士と魔法使いを捜すために兵士が次々と遠方へ派遣されていて、いつ自分も派遣されることやら……と」
メイは難しい顔をしている。同様にマオウも。
「ようするに神側も戦士と魔法使い捜し始めたってことか……」
マオウはつぶやきながら腕を組んだ。先程の陽気な雰囲気はない。
「いくらこちらが勇者を見つけたからと言え、向こうに戦士と魔法使いを取られたら力は互角と大差ないな……」
神と魔王は元々互角の力を持っていた。孝太郎をこちらの世界に引きずり込んだのも、神に勝つため。しかし、戦士と魔法使いを取られてしまえば、(今の)勇者だけでは大して戦力にはならないのだろう。
「ま、こっちには優秀な部下とクウサと期待の新人魔法使いと夢見の女がいる。なんとかなるだろ!!」
マオウはまた表情を変えた。陽気な雰囲気を失ったかと思えば再び再び盛大に笑い出したのだ。
「おい! 俺は無視かよ!」
マオウの言った有力人材の中に自分が含まれていなかったことに対して、孝太郎は突っ込んだ。無理矢理連れてこられただけに、この仕打ちは彼の癪に触ったようだ。それでもマオウは気にせず笑い続けた。




