奴隷少女-2
「すみません……私が空も飛べないのにマオウさんに会いたいなんて言ったばかりに……」
申し訳なさそうにマリアはうつむいた。
「気にしなくていいのよ。――じゃあ、お願いしよっか」
クウサは微笑んだ。
「じゃあ……どんなのがいい? ベタなトコだとじゅうたんとか……」
「俺は天使の羽根がいい」
ルーナが真面目な回答をしている脇で、孝太郎がふざけたような発言をする。
「馬鹿! あんた忘れたの? 自分が天使に襲われたこと!」
呆れたような表情をしてクウサは言った。
「それとこれとは別。天使イコール神聖、萌えの対象。これ、俺の世界の常識」
「萌え? 何言ってるかわかんないけど、羽根は却下よ。大体ルーナが言ってるのは元からある物に魔力を吹き込もうってんだから、羽根の生えないマリアに羽根は生えないわ!」
「最後、言ってることがわけわかんないぞ……」
「うるさいうるさい! ルーナ、こんな馬鹿の意見なんか無視して真面目に考えましょ!」
ルーナは苦笑した。
「あはは……」
「実際問題、じゅうたんだと持ち運びが大変そうね……」
気がつけばクウサはあれも駄目、これも駄目、と試行錯誤に走っていた。ルーナもいろいろと考えているが、どれも場所をとったり持ち運びに不便なものばかりで、いいアイデアとは言えそうにない。
「そうね……。なら、アクセサリーなんかどう? 魔力を体に行き渡らせる構造とかできない?」
考えた末、クウサはルーナに提案した。
「アクセサリーか……かなり魔力を凝縮させなきゃいけないな。僕に作れるかな……」
「空を飛べるアクセサリー、ね……」
孝太郎は空に広がる星に目をやった。そこにクウサが突っ掛かる。
「何? せっかく考えたのに何か文句でもあるの?」
「いや、なんか……どっかで見たことあるネタだなぁって思ってさ。そういう物語を昔見たから……」
「だったらもっと早くそれを言いなさいよ! 天使の羽根とか馬鹿なこと言ってないで!」
「たっく……あー言えばこう言う」
孝太郎はクウサの顔をちらりと見て、ぼそりとこう言った。
「何か言った?」
「別に。――あ、俺んちこの辺だ」
下の町並みを地図代わりにして孝太郎は自宅の場所を判断した。
「じゃあ、俺はこの辺で。また明日、あの子の様子を見に行くよ」
孝太郎は軽く手を振って空へと昇って行った。
「じゃあ、またな」
仲間達の姿が遠くなった時、孝太郎は自分の家がある雲へと目を向けた。空は星が輝いている。月明かりが雲たちを優しく照らす。
「日本じゃ……こんな綺麗な空見たことなかったな……」
――――自分の家の前に着地したとき、彼はもう一度空を見上げた。
「この世界は……確かに神は悪だけど……悪い世界じゃないな……」
がらにもなく、彼は微笑んだ。同時にこの世界で出会った仲間達のことを思い返す。
「……らしくないな」
しかし、頭を振って、彼はそそくさと家へ入った。




