進入-3
「ど、どうも……」
エステルに見とれていた孝太郎は、表情を変えた彼女の姿を見て我に帰って言葉を発した。
「と、とにかく私の部屋へ……」
エステルは談話室から出て、扉を閉めて小声で言った。
彼女の部屋は迷路のような廊下を渡り続け、帰り道がわからなくなるような場所にあった。彼女は二人を部屋へ招き入れる。
「さ、早く入って……」
全員入ると、彼女は鍵をかけて中へと案内した。部屋の中は広々としていて、全体が白と金でまとめられている。
「どうぞ座って」
二人は白い丸テーブルに案内された。全員が腰掛けると、エステルは金色の目で孝太郎をじっと見つめた。
「あなたが……青の勇者なのね……」
「は、はい……」
「飛騨孝太郎だ。エアリスからやってきた」
孝太郎の代わりにシラキが説明する。
「飛騨孝太郎さん? 不思議な名前ね」
「名前が孝太郎だ」
「では、孝太郎さん……私は四大元素の神、エステルです。私は反ネレシア組の一人よ」
「反ネレシア組?」
「ええ。ネレシアの行動に異議を持つ者は沢山いるわ。だけれど、ネレシアが最高神であるため、誰も彼には逆らえない」
「なるほどな……。もし、俺が神を倒すと言ったら協力してくれる神はどのくらいいるのでしょうか?」
「……わからないわ。最高神に逆らうことは最大のタブー。失敗すれば禁忌を犯したとして……殺されるわ」
「大きなものを司る神ほど死んだら世界のバランスを崩すことになるしな……」
シラキは腕組みをした。
「神に協力を頼むのは難しいか……」
「ごめんなさいね」
「仕方ない。――――孝太郎、行くぞ」
シラキは立ち上がった。
「え、もう!?」
「ルーナ達が心配だ。長居はできん」
「まあ……そうだけど……けどマオウは神の城を調査しろと」
「ごちゃごちゃうるさい! ――悪い、邪魔したな、エステル」
「いいえ。また今度ゆっくりお話しましょう」
「行くぞ」
シラキは孝太郎の腕を引っ張って駆けていった。エステルは彼女達の背中を見てつぶやく。
「青の勇者がついに……」
――――シラキ達は兵士に見つからないようにしながらルーナ達の元へ駆けて行った。ルーナは別れた場所のドアの前で待っていた。
「ああ、おかえり。……この子、まだ起きないよ」
「……仕方ない。マオウの城まで連れていくぞ。――――もう日が完全に落ちたな。帰ろう」




