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エビルワールド  作者: 解凍みかん
18/50

進入-2

「おい!? ……とにかく、首輪を外さないと」


 孝太郎は鍵を探した。しかし、鍵らしき物はどこにも見当たらない。シラキとルーナも一緒になって探している。


「あった!」


 どうやらルーナが鍵を見つけたようだ。兵士の首にぶら下がっていた。ルーナが首輪を外し、孝太郎は少女を抱きかかえた。


「逃げるぞ!」


 シラキが扉を開けた。真っ暗な階段を、シラキの指先から出る灯のみを頼りに彼らは駆け降りた。


 外に出ようとドアを開けると、外から声がした。


「またカラスか。今月入って何回目だ?」


「さっさと始末して戻ろうぜ。もう日暮れだ」


「そうだなぁ。今日の飯、なんだっけ?」


 などと会話が繰り返され、やがて声は小さくなっていった。


 声が完全に聞こえなくなると同時に、彼らは外へ飛び出した。少女の黄緑色の髪が光る。


「もうすっかり夕方だね……。早く城の中を嗅ぎ回らないとだけど、その子……」


 ルーナは少女をちらりと見た。


「しかたない、ルーナ、ここでこの娘を見ていろ。孝太郎はワタシと一緒に城に入るぞ」


「え!?」


「はぁ!?」


「もし危険を感じたら先にここから逃げ出せ! 孝太郎、行くぞ!」


 シラキは少女をルーナの元に押し付け、孝太郎の腕をひっぱって城へ走り出した。


「フードはしっかりと被っておけ!」


 シラキは孝太郎のフードをひっぱった。


「うあ! ひっぱりすぎだ! 前が見えねぇ!」


 二人は城の中へと侵入した。なるべく人と会わないよう、人気を避けて歩いて、城の三階まで上り詰めた。


「この辺りが神々の住む場所だ。談話室に行くぞ」


 二人は長い廊下の奥に見える、豪華な両開きのドアめがけて走り出した。


「おいこら!」


 その時、背後から声がした。


「お前ら……外部の人間だな。……廊下は走るんじゃない」


 声の主は黒髪長髪の美青年だった。


「誰に会うかは知らんが……用が済んだら早急に立ち去れ。ここはネレシアの城。騒ぎを起こそうものなら命はないぞ」


 そう言って男は階段へと向かって言った。


「もう騒ぎは起こしちゃいましたがね……」


 小声で孝太郎は言う。


「ルミスか……」


 シラキは腕を組んだ。


「ルミス? 知り合いか?」


「アイツは月の神だ。ちなみに姉は太陽神だ」


「ふーん……」


「ほら、アイツのことなんかほっといて行くぞ」


 シラキは歩きだす。


「あいつは味方に付けなくていいのか!?」


「話しても無駄だ。アイツは姉から言われなきゃ動かない」


「……シスコンかよ。残念なイケメンだな」


「だからアイツのことは放っておいて行くぞ」


 シラキは取っ手に手をかけた。扉を開けると、そこにはこれぞ神に相応しいと言える、白を基調とした美しい世界が広がっていた。先程の禍々しい空間とは正反対だ。


「どちらさまで?」


 シラキ達の姿を確認した一人の神が、こちらに近づいてきた。


「エステルを呼んでくれないか? シラキと言えばわかる」


「はい、わかりました。こちらでお待ちください」


 その神はエステルと呼ばれた神を探しに行った。しばらくして、一人の女神が歩いてきた。長い青色の髪をなびかせた美しい女神だ。


「あなた……シラキ?」


 エステルは首をかしげた。


「今は変身術を使っている」


「なるほどね。久しぶり」


「久しぶりだな」


「後ろの方は?」


「コイツか?」


 シラキは孝太郎の被っているフードを剥ぎ取った。


「青の勇者の、飛騨孝太郎だ」


 それまで微笑みを浮かべていたエステルは表情を一変させ、声を失った。


「青の…………!?」


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