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剣神と黙示録 ~農村の少年が一柱の神になるまで~  作者: わたあめとは哲学である
約束をした日

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第26話 荒野の奥地へ

「さあ、火よ、燃やしつくして」


 その言葉と同時に、エリオルンを中心とした1m四方に燃え盛る火が灯る。


「クゥァクワァー!」


 エリオルンは急いで火の元から逃げたが、燃え移ったものまでは消えない。熱に苦しんでいる様子だった。


「楽にしてやるか」


 地面をのたうち回っているため、狙うのは少々難しいがそれで外す程ではない。一撃で首をはね飛ばす。


「最後は良い連携でしたね、お二方」


「流れ的に自然と動けたからかしらね。まあ、上手くやれて良かったわ」


「ちょっと危なかったけどな」


 そんな風に話している中、エリオルンの死体へと近付いていくキシス。

 

「あ! 保護膜が焼けてなくなってる……。アレ薄いのに丈夫だから欲しかったのになー」


 エリオルンの体で薄いところと言えば、首元から円形に広がっている所だろう。確かに、火で燃えそうな見た目をしていたなと少年は思い返す。そして、燃やすこととなった原因を告げることにした。


「キシス、お前があの瞬間、俺にへばりついてなきゃ剣で一太刀だったし、保護膜も傷つけなかっただろう」


「それは……ごめんとしか言えないね。事前にエリオルンが出現区域は調べてたけど、ちょっと油断してた。まだ地盤が固いとこだと思ってたんだけどなー」


「あーいうのが、全員のピンチを、死を招くんだからな。気をつけてくれ」


 少年は、自分も言いたい事を言えたと、戦闘が思い通りに進まなかったことに対する憤りは収まった。


「少し危険だったのはそうですが、結果オーライというやつですよ。死体から取るものも無いでしょうし、溶かしたら行きましょう」


「そうね。一応の目的地まではまだ距離があるのだし、今は進みましょう」




「あれは……どうしましょうか。一度下がりますか? 上位種の縄張りも近くにあるのでしょう?」


「んー距離的に考えて、ここで戦闘を行ったとしても、全然大丈夫だよ。魔法で大爆発とかされちゃうと寄ってくるだろうけどね」


 少年達は荒野を進み、あと数分で目的地であるタイタン上位種の縄張りに着くところまでやってきていた。


「そうだな……念のため俺が背後から気配を消して殺ってくるってのは?」


「本当にできるの? あれは上位種って感じは無くとも、タイタンとして成熟してるように見えるのだけど」


 しかし、行く手を阻む者がいた。

 今まで戦ってきたタイタンよりも、さらに身長は数十センチ大きく、岩を棒状に切り出した物を手に握っている。立ち姿からも僅かながら理性を感じる物があった。


「だからこそだ。産まれたばかりの野生として生きるものよりも、長く生きて少しでも知恵を付けたものの方が想定外を想像できない。そこが隙になる」


「まるでさっきの私みたいじゃないか」


「確かにそうですね」


「まあ、そういう訳だ。問題無さそうなら行ってくるけど」


 大きな渓谷のように崖に挟まれた形になっているその真ん中を、どこか規則的に動くタイタンを見て、少年は許可を待つ。

 

「ここまでの戦いで貴方の強さは分かったし、私は構わないけど。最悪なヘマをしたところで、私達には、私達が帰るための力があるし」


「それは流石に冷たいですミュンジョー……普通は助けに入るものですよ。それはそうと貴方の体さばき、それには一定の技を修めた者として、関心する所があります。暗殺というのも可能だと思いますよ」


 順々に向けてきた視線を一応キシスにも送る。


「え、あ、私? まあさっき言ったけど、本当にいつも通り戦って問題無いからね? 変なことしなくても大丈夫だからね? 念のためって言うならいいけどさぁー」


「そう言われると正面から戦ってもいい気がしてくるな……。ま、自信はあるから任せてくれ。もし万が一ヤバかったら逃げてくるよ。その時は魔法で援護してくれると助かるかな。それじゃ片付けてくる」


 そうして少年は、タイタンからの視線を切るようにして進み始める。

 まずは、マントで身を隠し崖に沿いながら。影になっているところに入れば、完全に少年の姿は消えていた。


 (この感じなら行けそうだな……)


 まだまだ接近したとは言えないが、最初の掴みはできた。やや急ぎ気味で少年は足を進めていく。

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