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剣神と黙示録 ~農村の少年が一柱の神になるまで~  作者: わたあめとは哲学である
約束をした日

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第25話 荒野の魔物

「時間掛かりすぎですよ」


 少年がゆったりと戦っていると、ヲンヌがタイタンの裏に回りながら言ってくる。

 

「すまん、ちょっと動きとか骨格とか見たくてな。りぇゃぁ!」


 少しずつ切りつけていた少年も、こう言われたら仕方ないと、ヲンヌが作った隙に胸元へと突きを放つことで致命傷を与える。


「やっぱり心臓までも遠いか……こりゃ上位種相手だとこの手の技は効きそうに無いな。うおっ」

 

 固く分厚い皮、柔らかくも肉厚な中身、剣先からそんな感触を得ていると、タイタンの巨体が崩れ落ちてくる。その重量感には数歩下がるしか無かった。

 

「貴方、結構いい動きするのね。後半なんてちょっと動いただけで軽々と避けてたし、次はヲンヌも真似してみたらどう?」


 少し離れたところから見ていたミュンジョーが近付いてくる。 


「それは難しい話と言うものです。ただ腕を振るっているように見えても、タイタンの攻撃はこちらを面で潰しにきている。あの芸当は、彼の確かな技術と観察眼、そして体の大きさによって成り立っている物なのです」


 少年は褒められていると理解しながらも、やや見上げる必要のあるヲンヌの身長に、越えられない壁を感じていた。

 

「はい、じゃあそこどいてー、必要な部位は私が勝手に取っておくから、皆はしっかりと周りを見ておくようにー」


 急に入ってきたので驚いたが、タイタンの体については私が買い取るから好きにさせてくれ、とキシスが言っていたのを思い出したので、自由にさせることにした。


「戦闘中もそうでしたが、そんなに死体をジロジロ見てどうされたのですか? 骨を見るとは言っていましたけど」


 少年が周囲を気にしつつ、それと同じぐらいタイタンの解体現場に意識を向けていると、その様子にヲンヌが疑問を持った。

 

「前、魔狼の上位種と戦ったことがあるんだが、その時見た限りでは骨の丈夫さだったり、全体としての大きさとかは普通のと違ったけど、体の構成は同じだったからな」


「ああ。そこから、上位種の弱点や特徴を見つけたいという訳ですか……?」


「まあそういう訳だ。個体差とかもあるし色々見ないと分からないけど」


 そもそも上位種と通常の種の骨格が同じ事だって、正しいか分からない。一例しか挙がっていないのだから。少年はそれでも、タイタン上位種討伐に向けて、事前にやれる事はやっておくつもりだった。


「ふー終わったー。みんな休憩兼、見張りご苦労。目的地はまだまだ先だからね、ドンドン行くよ」


「あ、ちょっと、あんまり先に行き過ぎないでくれると助かるのだけど」 

 

「そうだぞ、急に敵が出てきても助けられない」


 そんな声に、悪びれる様子もなくキシスは返してくる。


「ん? 君たちの強さはもう分かったからね。この距離で私のことを助けられないなんて可能性はないハズだよ。ああでも、強いのは良いけど心臓を切るのは止めて貰えるかな? 血が溢れ出てて大変だったんだよ」


 この図太さというか言葉を押し通す感じは、彼女の爺さんと実に似ているなと、少年は微笑ましく思えてきていた。すると、キシスが言い切った直後に、その背後で土が円形に小さく割れていく。


「きゃぁっーー! そうか! もう地盤が柔らかいんだった」


 できた穴辺りから、コケるようにして逃れて来たキシスを支えながら、出てきたものに視線を向ける。


「エリオルン……? ってやつか?」


「穴を掘って出てきたんなら! そーだろうねー!!」


 少年と交互に、速く倒せとキシスに視線を送られているその主(エリオルン)は、本来は四足歩行であろう足で仁王立ちをし、高らかに鳴く。


「クゥアー!」


「魔法か!?」


 鳴き声と同時に現れた細かな石粒が、突風と同時に襲ってくる。当たっても掠り傷にすらならないが、目がマトモに開けられない。


 その間にも、エリオルンは少年達の元へと迫っていた。


「火ょ、ゲフッ……ゴフッ!」


 ミュンジョーは、魔法で火を出したものの、視界不良と最低限の詠唱ができなかったために、位置がずれ当たらない。


「っ! 邪魔!」


「えっあっ」

 

 少年へと近付いてくるエリオルン。それに対し、少年は抜剣しようとするも、すぐそばにキシスがいる。この環境下では、下手をせずとも当たってしまうだろう。それは出来なかった。


「っ喰らえ!! 魔法、頼む!!」


 どうしようも無かったので、キシスを支えにしながら、蹴ることで吹き飛ばす。すると、ダメージを負ったことによってか、石粒の魔法が止む。

 

「ええ、もちろんよ」


 ミュンジョーを妨げる物は無くなった。あとは燃やしつくすだけだ。

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