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剣神と黙示録 ~農村の少年が一柱の神になるまで~  作者: わたあめとは哲学である
約束をした日

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第2話 約束

「そう。じゃあ、お願い。方法、道具、するべき事は私が教える……だから、魔王が生まれるのを阻止して」


 正義と悪、味方と敵、魔王と勇者。そのような構図は少年も幼い頃からよく知る物だった。そのため、言っている意味は分かる。でも、色々と分からなかった。


「分からない? 大丈夫、まだ時間はある。そろそろ暗くなる。また明日、今日と同じように走って此処に来て。君は進めば良い、そうすれば私が導く」


 少年は、いまいち分からないままだった。だが、流れる水を指差す少女の手からは伝わってくるものがあった、帰れと。


「ど、どうやって!?」


 何もかも説明して欲しい、そんな思考から少年が意図せず出した大声が響く。


「帰る方法はもう言った。そのまま進んで走ればいい。それだけ、バイバイ」


 そうして不自然に少女を射していた光が薄まっていく。思っていたよりも暗い川の下、不自然な事が連続に、急速に起こる現状、その何もかもが恐ろしくなった少年は逃げるように走り出す。


「そう、それで良いの。君はそうして進めば良い」


 


 走り出した少年が、自分のいた場所の正体に気づくのはすぐだった。その神秘の場所を見ている暇も無く、濡れた足場に気を掛ける必要が生まれたのだが。


 色々あった今日でも、一番の奇跡的な足技でそれらを乗り越えた時、背後に滝は無く、何時も境にしてる川と無限に続く木だけが残っていた。


「なんだよ、これじゃあ本当に川の中に居たみたいだな」


 それが、片足を川に浸け、片足を地面につけた少年の感想だ。


 そこから村まではすぐだった。普段は労働を終えた上での疾走、流石に疲れきってしまうのだが、今は違う。

全身が朝目覚めた時のように軽い。あれだけ働いたのに、走ったのに、ぶつけたのに……やはり、あの天使のような少女のお陰だろうか。


「ただいまー……」

 

 帰ったとしても、する事は無い。腹を満たして寝るだけだ。一瞬の内に少年は普段の生活ルーティンに戻っていく。



 

「よく分からないし……いや、だからこそ、だな。行かなきゃ」


 次の日、全く同じルーティンを終えた少年は、昨日の事を振り返る。魔王をどうにかすると約束した事実が、そしてそれ以上に期待感が、あの場所へ確実に行くべきだという思いにさせていった。



「今日は……居ないみたいだな?」


 境になる川を超えて走る。昨日の恐怖を思いだし、警戒しながら行くが大型動物の気配は無い。それは予想していたが、昨日歩いた滝が無いのも困る。



「あ……」


 そう思い木々を抜けていると、意外にもアッサリと、突然に、目的地は現れた。昨日はあまり見れなかった滝は響き渡る自然の爆音と共に、圧倒的な存在感を放っていた。


「さっきは無かったよな?」


 あまりの音に先ほどまで聞こえて無かったのを不思議に思う少年だが、そんなことには大分慣れてきたよう。昨日出た時と同じように、滝端の辛うじて道と言えるような石を渡って内側に入る。


「お、おーい来たぞ~……説明してくるんだよなー?」


 沈黙のまま進むのは気まずかったため、挨拶モドキの声を出しながら行く。


「そうだね。今日はしっかりと説明をしようかな。昨日言った魔王……まあ君がどうにかしなきゃ行けない相手のこと、今日から私に習ってもらう『剣』について」

 

 少女は突然と視界に現れる。驚きつつも、少年は早口で紡がれる言葉を聞き逃すまいと必死で耳を広げた。


 聞き終えた少年は


 何を習うんだ? ケンって何なんだ? 


 と疑問に思う。幸い、少年の住む地域は比較的平和で、戦争というのも無かったからだ。もちろん、動物を狩るために弓や青銅の武器というのは別にあるのだが。


 そんな疑問も少年はぐっと堪える。昨日と全く同じ体勢で座る少女は説明すると確約してくれたのだ。質問は後で良い、そう一先ずの納得を得た。


「とりあえず概要だけ分かって貰えれば良いの。君が実際に動き出すのは何年も先の話だから。それじゃあ……話すね」

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