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推しに告白(嘘)されまして。  作者: 朝比奈未涼


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70/108

70.みんなで一緒に。





「…やったぁ」




無事に完成したクリスマスケーキに、ホッと一息つく。

そこで私はやっと息を吸えた。


するとそんな私を見て、悠里くんは「ふ、ふふふ」と耐えきれない様子で笑い出した。


…可愛い。


ではなく。一体どうして急に可愛らしく笑い出したのだろうか?

不思議に思いつつ、じっと悠里くんを見ていると、悠里くんは笑いながら、私の顔に手を伸ばした。


そしてそのまま、クイッと悠里くんの親指が私の頬を拭った。




「ついてたよ」




おかしそうにそう言い、私に見せてきた悠里くんの親指には、かなりの大きさの生クリームが付いている。

何故、その大きさの生クリームが今の一瞬でついたのかわからない。だが、あれこそが悠里くんが急に笑い出した原因なのだと、私は理解し、赤面した。


恥ずかしすぎる…。穴があったら入りたい。


自分の失態に頭を抱えていた、その時。




「やだぁー!わたしもお姫様とクリスマスパーティーするのー!」




扉の向こうから何やら抗議している様子の里緒ちゃんの声が聞こえてきた。


 


「だからダメだって!クリスマスパーティーは昨日したでしょ!?それに今日はもうお出かけしていっぱい遊んだじゃん!」


「嫌だ嫌だ嫌だぁ!わたしもお姫様とパーティーしたいぃぃぃ!」




それからそれを跳ね除ける里奈さんの声と、それでも抗議をやめない里緒ちゃんの声が続いた。


2人の声に、一気に気持ちが明るくなる。

今日は会えないと思っていたので、嬉しいサプライズだ。




「クリスマスパーティーするの!」


「ダメ!」


「ダメじゃないもん!」


「ダメです!」




未だに続く2人の言い争いに、悠里くんは「あー。姉ちゃんたち帰ってきたね」と慣れた様子で苦笑いを浮かべていた。

2人の可愛らしい口論は、どうやら悠里くんにとっては日常みたいだ。




「里緒、柚子のことすっかり気に入って…。あれからまた会いたいて、ずっと言っててさ」




困ったように笑う悠里くんに、心がほんわかする。

なんと可愛らしい妹さんなのだろうか。




「悠里くんさえよければみんなでクリスマスパーティーやらない?」




里緒ちゃんの可愛らしい抗議に、私は気がつけばそう悠里くんに提案していた。

そんな私に悠里くんは驚いたように目を見開く。

だが、その目はすぐに私の様子を伺うものへと変わった。




「本当に?里緒、すごい喜ぶと思うけどいいの?」


「うん。多い方が賑やかで楽しいだろうし」




微笑む私に、悠里くんが「じゃあ」と遠慮がちに頷く。

その姿を見て、私はそのままリビングの扉を開けた。

するとその先で、悠里くんを感じさせる綺麗で可愛い姉妹と目が合った。




「こんにちは。お邪魔しています」


「柚子お姫様だぁー!」




笑顔で挨拶をした私に、里緒ちゃんが勢いよく飛びつく。

突然のことだったので、一瞬驚いてしまったが、私はすぐに里緒ちゃんを抱きしめて、頭を優しく撫でた。




「柚子ちゃん、こないだぶりー。ごめんね、2人の邪魔して」




そんな里緒ちゃんの後ろには、里奈さんがおり、申し訳なさそうに笑っている。




「ほら、里緒、もう柚子ちゃん会えたからいいでしょ?」




しばらく里緒ちゃんの様子を見ていた里奈さんは、里緒ちゃんの腕を取り、この場から連れ去ろうとした。




「ええー!やだぁー!わたしもクリスマスパーティーなの!」




しかしそれは、イヤイヤ、と里緒ちゃんに首を横に振られ、さらには私から離れようとしなかった為、叶わなかった。




「違う!今日は悠里と柚子ちゃんの日!カップルの日!里緒は一緒にパーティーできないの!」


「じゃあ、わたしもそのカップルだもん!だからいいもん!」


「おバカ!そんなカップルなんていません!」


「いるもん!ぜっっったいいるもぉん!」


「いないんですぅ!」




扉の向こうで聞こえていた言い争いが今、私の目の前で、再び始まった。

里奈さんが眉間にシワを寄せ、強く言い聞かせるように、里緒ちゃんが頬を膨らませ、それに反抗するように、口論を続ける。


先ほどもこんな感じで言い争っていたんだなぁ、と一瞬、呑気に傍観していたが、それどころではないと、首を横に振った。


このままではいけない。




「あの、悠里くんと話してたんですけど、お二人も一緒にどうですか?クリスマスパーティー」




二人の口論におずおずと言葉を発する。

すると、先ほどまで矢継ぎ早に出ていた二人の言葉は水を打ったように止まった。




「するぅー!」




そして、その静寂をすぐ里緒ちゃんの明るい声が破った。

里緒ちゃんはそのまま「わーい!」と両手をあげて、リビングへと飛び込んでいく。


嬉しそうな里緒ちゃんに私まで嬉しくなった。




「ごめん、せっかくのクリスマスなのに。里緒のことやっぱり無理だったわ」


「まぁ、うん。全然。協力ありがとう、姉ちゃん」




里緒ちゃんのはしゃぐ姿に、里奈さんが申し訳さなそうにしている。

しかし、悠里くんは気にする様子もなく、笑っていた。




「柚子も望んでいるし、こういうのも悪くないしね」




微笑む悠里くんの視線の先には、もちろん里緒ちゃんがいた。


横に並び、超絶美少女で可愛い妹を見守る、美しい姉とイケメンな弟。

あまりにも目の保養すぎるご家族に、私は一人うっとりしていた。

この家族、やはり最強である。

 




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