原石を拾う
売れないとは言ってもキャバ嬢はそれなりに稼ぎがある。
都内に1LDKのオートロック付き、宅配ボックスがあるマンションに住むくらい簡単だ。
同僚には「もっと広い家に住んだら」とか、「高層マンション紹介するよ」とか言われるが、1人暮らしで部屋が広いとそれはそれで寂しい感じがする。
しかし、愛美は今後悔している。
「せめて2LDKにすればよかったーー」
1人で住むからと、1部屋は寝室にして、リビングを生活拠点にしている。そうなるとあの青年の寝る場所はリビング、いやソファになる。
来客用の布団なんてないし、どうすれば、いや、そもそも、私がソファで寝ればいいのか、青年にはベットで寝てもらって。
そんな事を考えていると、お風呂場の引き戸が開く音がした。
「あの、お風呂、ありがとうございます」
愛美は声のする方に視線を送る。青年がタオルを両肩にかけて、パンツ1枚で出てきた。
「ちょっと!何か着てよ!」愛美は咄嗟に青年から目をそらす。
「タオルとパンツしか、置いてなくて、、、」
愛美は26歳にもなって男の子の裸に緊張するなんてなんか悔しい気がして冷静を装う。
(そうだった!着てた服は全部洗濯しちゃってるし、寝る所のこと考えてたから、忘れちゃった)
愛美は立ち上がりキッチンへ向かう。
「ちょっと、待っててね、何か着るもの探すから。それまで水しか無いけど淹れるから、そこの椅子に座って待ってて」
愛美はコップ一杯を持って、青年をキッチン前の机に座らせる。
寝室に行きウォークインクローゼットから何か着れるものを探す。
青年は大人しく椅子に座り、何となく部屋を眺めながら水を飲んでいた。
「これ着れるかな」
愛美は去年友人達と旅行に行った時に酔った勢いで買った、白地に【i♥新潟】とプリントされたシャツと時々運動するときに使っているジャージを持ってきた。
「、、、ありがとうございます、、、」
青年は愛美から服を受け取り着替える。
愛美はこの状況に慣れたのか、青年をじっと見つめてしまう。
「それにしても、いい体だね」
「え?」
(やば!口に出してた)
愛美は咄嗟に話題を変えた。
「そういえはまだ、名前聞いてなかったね。なんていうの」
「芥川瑠樹也です」
「じゃあ、芥川くんだね」
芥川は小さくうなずく。




