チューニング
スモーキークオーツのミニタワーと音叉は、パワーストーンをチューニングするためには欠かせないアイテムである。チューニングとは、パワーストーンの効果を発揮させるためのカツ入れみたいなものである。疲れているパワーをパワーストーンから開放し、新しく威力を破棄できるようにパワーを入れる作業に使う。音叉を軽く持って、ミニタワーで叩くのだが、いい音色を奏でるには、慣れが必要だったりする。
音叉は4096Hzの高音が出るタイプ。そう、「天使の門を開く音色」といわれているのだ。きっと、天界からの加護が有るに違いない。
ブレスレットのハウライトもラッキーだった。普段なら、金運アップのタイガーアイやシトリンを使ったブレスレットをつけているのだが、最近寝不足で安眠効果の有るハウライトを付けていたのが良かった。ハウライトのメイン効能は浄化だ。
手元に有るパワーストーンやチューニング道具が、思った効果を発揮してくれたら、今の状況を耐えきれるかもしれない。
「どうしたんだい? さっきまでの表情と変わって、いい表情してるじゃないか」と、おばちゃんが声お掛けてきた。
「俺だけ逃げ出したらいいんだって言ってくれただろ? それで楽になれたからさ」
「はぁ? まさか、本当に1人で逃げるのかいい? まぁ、それをとやかく言えはしないけど、残念だよ」
「おばちゃん、俺は逃げないぜ! みんなで今の状況を耐えれるかもしれないって方法が閃いたんた! ただ、やってみないとどうなるかわからないけどな」と言いながら、ミニタワーで音叉を軽く叩いた。
「チィーーーーーン」
心が、スゥーーーとして、穢れが落ちる感覚がした。これがチューニングである。
おばちゃんば、ビックリして、目を見開いてこっちを見た。固まって震えていた3人も、こっちを見ている。本人達は、震えが止まっていることには気がついていないだろう。
もう一度、音叉を鳴らした。
「チィーーーーーン」
どんよりとしていた空から、一筋の光が俺を照らした。ファンタジーの世界なので、天使の門が開いたのかもしれない。
「こっちにおいで! 音の近くの方が安全かもしれないぞ?」と3人声をかけると、直ぐに近づいてきた。ちびっ子2人は、片方の手で私のジャケットの裾を掴んだ。もう反対側はメイド娘に抱きついている。
大きく深呼吸をして、モンスターの圧を感じる方へ音叉の先端を向け、ミニタワーで叩いた。
「チィーーーーーン」
音と共に、音の波紋が広がるのが見えた。ハウライトと水晶のブレスレットは、優しい光を発している。そして、光が段々と強くなる。
再度、音叉をミニタワーで叩いた。
「チィーーーーーン」
音と共に、ブレスレットの白い光が波紋に乗って広がるのと、音叉の先端から一直線に腕の太さほどの光の束が放たれた。