第3章: 揚げ物の奇跡
夕刻、菜々子の料理教室には今日も村人たちが集まり、何か新しい体験ができることに胸を躍らせていた。
彼女が魔物から取った脂で食べ物を作るという噂は、既に村中に広まっていた。
「今日は特別な日になるよ。」菜々子が宣言すると、周りの村人たちは期待に目を輝かせた。
ポム婆が疑問を投げかけた。
「私たちの世代では、魔物からとれたものを食べるなんて聞いたことがないわ。
本当に魔物の肉で食べ物を作るの?」
菜々子は確信に満ちた声で答えた。
「はい、この魔物の肉は食べれます!特にこのボアという魔物はイノシシに似てとってもおいしいの!」
実は奈々子はみんなを呼ぶ前に魔物を鑑定していた。
名前:ボア
味:美味?
(下ごしらえを十分にしないと内臓に鋭いエグミがあり麻痺する)
状態:鮮度抜群
魔力:食べたら魔力が少し回復する?
能力: 火を通すと脂身がとけてお肉がとろけるよ!
「内臓をとってきれいに洗い筋切りや香草でしっかり臭みをとるとトンカツというとっても美味しいものになるので今日はみなさんにたくさんお手伝いをお願いしますよー」
菜々子は村人たちを連れて、森の奥深くにある特別な場所へと案内した。
ここで、菜々子は材料を収穫しようと考えていた。
「ここの植物は、揚げ物の衣に最適な小麦と香草が豊富にあるの。皆で収穫しましょう」と菜々子は説明した。
村人たちは、彼女の指示に従って植物を丁寧に収穫し始めた。
特に子供たちは、自然の中での収穫活動に夢中になり、新しい発見に興奮していた。
「これがトンカツ・・?になるのか?」と不思議がる子供たちに、
菜々子は優しく微笑んで、
「そうよ。小麦を挽いて粉にすれば、トンカツの美味しい衣が作れるのよ」と教えた。
菜々子は、村人たちと一緒に収穫した小麦を使い、パン粉作りに取り掛かった。
彼女はまず、小麦粉と水を混ぜ合わせて生地を作り、それを薄く伸ばして焼いた。
焼きあがったパンは、外はカリカリ、中はふんわりとした完璧な仕上がりだった。
「これを細かく砕いてパン粉を作るのよ」と菜々子は説明しながら、焼いたパンを細かく砕き始めた。
村人たちはその手際の良さに目を見張り、子供たちも興味津々でその様子を見守った。
次に、菜々子はトンカツソースの作り方を披露した。
彼女は独自に調合した香辛料と、細かく刻んだトマト、リンゴ、玉ねぎ、にんじん、パイナップル、にんにくを鍋に入れ、じっくりと煮込んだ。
その香りは村人たちの食欲をそそり、彼らはこの新しいソースに大きな期待を寄せていた。
「これがトンカツソースか…どんな味になるんだろう」と村の若者ルイスが言った。
「ええ、このソースがトンカツの味を一層引き立ててくれるのよ」と菜々子が答えた。
ソースが完成すると、彼女は村人たちに試食を促し、みんなは新鮮なソースに舌鼓を打った。
「こんな味、初めてだ」「これは本当に素晴らしい!」と歓声が上がった。
そして、いよいよトンカツの調理が始まる。
彼女はまず、下処理を終えた魔物の肉を薄く叩いて柔らかくし、
その後、自ら挽いた小麦粉と香草、そして卵を混ぜ合わせた特製の衣を作った。
魔物の肉を衣で包み、自家製のパン粉をまぶし、
「これで魔物の肉も、とっても美味しいとんかつに変身するわ」と菜々子が説明すると、
村人たちは初めて見る調理法に夢中になった。
そして、いよいよ揚げ物が始まる。魔物の脂が鍋で温まると、彼女は衣をつけた肉を油にそっと滑り込ませた。熱々の油の中で肉がジューシーに揚がっていく様子に、村人たちは目を奪われた。
「こんなにきれいな金色になるなんて!」とロイのお母さんが感嘆し、ロイを含めた子供達は「早く食べたい!」とわくわくしながら見ていた。
揚げたてのとんかつに自家製ソースをかけると、その見た目と香りに村人たちはただただ感動した。
「これが本当に魔物の肉で作った料理なのか…?」とロイのお父さんが驚嘆し、
初めて口にしたトンカツの味に感激の涙を流した。
「皆さんにはまだまだ感動してもらいますよー」
といい彼女は取り出した卵に手をかざし、優しい光の中で浄化魔法を唱えた。
村人たちが不思議そうに見守る中、お酢や油少し塩とレモン果汁を入れた後
奈々子は創造魔法を使った
「ん~掛け声は・・出でよ!泡だて器っ!」
奈々子は初めて泡だて器を作りました!
そして風魔法を使いものすごい勢いでその卵を白く滑らかな液体へと変えた。
「これは何をしているの?」と、好奇心旺盛なロイが尋ねた。
菜々子は彼に向かって微笑みながら、自家製マヨネーズの完成品を見せた。
「これはマヨネーズというソースよ。揚げ物にもよく合うの。
さあ、今度はマヨネーズも付けて食べてみて。」
少し戸惑いながらも、村人たちは菜々子の勧めに従い、マヨネーズをつけて揚げ物を食べ始めた。
一口食べた瞬間、彼らの顔はその美味しさに目を輝かせた。
「なんということだ…!これは…!」と、舌鼓を打つ村長が感嘆した。
「このマヨネーズというものは、まるで魔法のように揚げ物とソースの味を引き立てているわ!
普段から使っている食べ物ばかりなのにどうして今までこのマヨネーズ?に気が付かなかったのかしら!」
と感動したマーゴおばさんが言い、他の人々も同意を示した。
「まるで食べ物が踊り出すような味だね!」とロイ達が喜びを爆発させながら、次々と手に取り、
マヨネーズとソースでトンカツを味わった。
「これはただの食事ではない、芸術だ!」と村の画家が宣言した。
菜々子は、村人たちの反応に満足しながらも謙虚に頭を下げた。
「私は、皆さんに新しい味の楽しみ方をお伝えしたかっただけ。
食べることは、喜びを分かち合うこと。そして、このトンカツはそれを可能にしてくれるのです。」
「こんなに美味しい肉料理があったなんて…!」マーゴおばさん
「魔物の肉でこんなに絶品の料理が作れるなんて!」とポム婆さんが驚く
と感激の声が上がり、菜々子の料理の腕前に再び感謝の言葉が贈られた。
菜々子の料理教室は、新たな社交場となり村に新しい味覚の楽しみと希望をもたらす魔法使いとして、改めてその地位を確立したのだった。
夜には、菜々子が今まで読んできた本の話は、子供たちを夢中にさせ、
大人たちも興味津々で耳を傾けた。
村の人々に新しい世界の扉を開いてくれるようなものだった。
いつもご視聴いただきましてありがとうございます!
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も…もしかしたら執筆スピードがあがるかも?です(๑ ˊ͈ ᐞ ˋ͈ )ƅ̋
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