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ガラスの靴は、もう履かない。  作者: 蘇 陶華
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恋敵は、一旦、休止

莉子の一歩が、自ら出た事で、僕と黒壁の闘志に火がついた。僕らが、藤井先生のマンションに来たのには、もう一つの理由がある。それは、食事。僕も黒壁も、外食も多く、おそらく、莉子も人並みだ。(違ったら、ごめん)リハビリにおいて、バランスの摂れた食事を摂取するのは、基本中のキで、料理好きな藤井先生の協力は、必須だった。一人暮らしでいながら、作りすぎたと言って、スタジオの生徒さんに差し入れを持参するのは、常だった。僕も、何度か、お持ち帰りに持たされたが、野菜をたくさん使った、料理は、お金を払ってお願いしたいくらいだった。藤井先生は、ビーガンだったが、莉子の為に、タンパク質をたくさん取り入れた食事作りをしてくれていた。朝は、ミキサーの音で、目が覚める。スムージーを作り、棒らに振る舞う。肌荒れしていた黒壁の頬が、ツルツルになり、先生の食事で、僕らの体臭が脂臭くなくなった。(黒壁がね・・・という事にしておこう)莉子のリハビリに、活かせないかと、僕は、ヨガを始めた。取り入れる事は、取り入れていこう。黒壁との方針で、彼は、働きながら、莉子のリハビリに協力してくれた。僕は、スタジオを行き来しながら、家事?を行い、集中していく、ひたすら、莉子を中心に僕らの時間は、回っていった。何度か、七海から電話があったが、僕の両親に話されても困るので、僕から、連絡する事はなかった。黒壁の所にも、僕の行く先を尋ねる電話があったらしいが、彼h、知らないと答えたそうだ。

「後、もう、少し」

莉子は、リハビリに貪欲だった。もう、夜間に睡眠導入剤を使う事もなくなり、僕らと一緒にいると、全ての事を忘れているかのようだった。時間に追われるように、莉子が、リハビリを続けた事により、捕まりながらだけど、10

秒程度、立てるまで、回復していた。その瞬間、僕ら、3人は、抱き合って涙をこぼした。

「新が、あのピチピチのパンツを穿いて、頑張ったお陰だよな」

僕のヨガウェアを、黒壁はバカにした。

「良かった・・・これからだよ」

僕は、莉子と黒壁を労った。立てるようになった。ここから、本格的にリハビリを行なっていく。フラメンコの激しい動きに、莉子の筋力がついていけるのか。

「覚えているものよ」

藤井先生が、焼き菓子を届けながら、言った。

「自転車と同じ、体が、覚えているものなの。リズムが体に染み付いているというか・・・」

これからという時に、藤井先生が倒れた。

「癌だった・・・」


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