表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガラスの靴は、もう履かない。  作者: 蘇 陶華
84/106

不幸の足音が聞こえるのは誰?

「言っては、いけない」

警察を呼ぼうかと聞かれた時、綾葉は、

「目眩がして・・・」

と答えた。心配を掛けたくなかった。幸いにも、お腹の子供は、何ともない。架から、電話をもらった時は、ドキッとしたが、言わないでおこうと思った。綾葉が、同じ時間に駅に向かったのは、いつもの事。いつもの通り、駅で、電車を待つ為に、歩いて行った。ちょうど、駅に入ってくる電車がある事に気づいた。アナウンスもあり、上手に人ゴミを避けていたつもりだった。

「ドン!」

3人組の女性達と衝突し、危うく、駅に入ってくる電車の前に落ちそうになった。

「危ない!」

通りかかった若い男性に、腕を取られ、間一髪で、転落を免れた。ぶつかった3人組は、走り去り、綾葉が、転落しそうになった事に気付かない様子だった。

「大丈夫ですか?」

何人かが、気が付き、綾葉を助け起こした。

「えぇ・・」

落としたバックを拾い、埃を払った。止まった電車からは、人が溢れ出て、綾葉は、雑踏に呑まれそうになる。

「大丈夫です」

「わざとですかね?警察を呼びますか?」

「目眩がして、肩がぶつかってしまいました。大丈夫です」

そんな事はない。最近、おかしな事が増えている。

「莉子を苦しめる気?」

心陽が言った。莉子なのか、心陽なのか?かと言って、架には、相談できない。勿論、祖母にも。父母を亡くし、祖母に育ててもらった。祖母の資産で、今も、生活できる。充てにしてはいけない。ギリギリまで、自分で、働こうとピアノ教室を続けているが、こうも、危険な事が続くとは。お腹の子を、無事に生まなくては。生まれてくるのを架葉、楽しみに待っていてくれる。自分との絆を、この子は、強くしてくれる。綾葉は、立ち上がった。


莉子とは、別居した架だが、私生活以外、頭の痛くなる事が、続いていた。会社の業績があまり、芳しくない。大きな仕事を逃してばかりいた。自分の代になってから、右肩下がりで、何とか、取り戻したい所だった。莉子との関係もうまくいかないので、義父に頼るのも、抵抗がある。どうも、自分の会社の情報がアイブに漏れているとしか思えない。あの日に発見した盗聴器のせいなのか?だとすると、莉子以外の人間となる。自宅に、簡単に出入りできて、ここにも、来れるのは、2人しかいない。

「綾葉か・・・心陽か」

誰かが、自分を陥れようとしてる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ