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ガラスの靴は、もう履かない。  作者: 蘇 陶華
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豹変

莉子は、結局、藤井先生のマンションに帰っていった。夫の架も承諾し、しばらくは、先生が身元を保証する事になった。藤井先生は、シングルマザーで、一人娘を育て上げた。現在は、スペインに留学中で、藤井先生は、一人暮らしである。自分の娘に年齢の近い莉子を特別に可愛がっており、莉子が事故にあう前は、スタジオの後継者は、莉子になると噂されていた。スペインに居る藤井先生の娘は、帰国しないと噂されていた。その理由は、わからないが、娘さんは、父親と一緒におり、娘さんと藤井先生の間は、修復不可能な関係になっていると言われていた。藤井先生は、莉子の母親より、莉子の事を大事にしているのがわかった。

「落ち着いたら、リハビリをお願いするから」

そう言い残して先生は、病院を後にした。

「はい。」

僕は、そう返事した。黒壁とは、いろんな状況を考えながら、缶ビールを片手に、話し合った。

「これから、お前はどこに行く?」

黒壁は、僕の行き先を心配していた。

「莉子のリハビリが終わったら・・・どこか、老人のリハビリでもしようかな?と思って」

「老人の?お前、それで、満足出来るのか?」

「できれば、障害とか、事故にあった人のリハビリをしたいんだけど、医療につながるとね。面倒だから」

僕は、自分の両親の事を話した。

「坊ちゃんかよ・・」

「反骨精神でいたんだけどね。やっぱり、親から、逃げられないや」

「何言ってんだよ。相手は、歳をとっていくんだ。自分で、もう少し、力つければ、何とか、なるよ」

「全部、親が決めてさ・・・この仕事だけは、自分で決めた」

「そうか。俺なんか、若い看護師さんと仲良くなれるかな?って、下心で、勉強した」

「お前、らしい」

「楽に生きる事もできるのにな」

「ダメだよ。気付いてしまったんだ」

「何をだ?」

「これは、僕の人生ではないって。親の人生だよ。親は、僕を歩かせながら、自分の2度目の人生を歩いている」

「皆・・そうなのかもな。自分と、同じ苦労はさせたくないって言ってさ」

「どうだか・・」

僕と黒壁は、普段は、しないような話をしていた。異変の電話が来たのは、深夜を過ぎて、僕と黒壁が飲みつぶれている時間だった。

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