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ガラスの靴は、もう履かない。  作者: 蘇 陶華
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報いる愛を与えてくれるのか?

綾葉が、何を言ったのか、その時、架葉、理解できなかった。いつか、こんな日が来るのではないかと思っていた。長い間、自分に寄り添ってくれた恋人。自分の右手になると誓ってくれたのは、妻でもなく、長い時間を過ごした恋人の綾派だった。一瞬、どういう表情をしたらいいか、わからなかった。自分達の子供が生まれるのは、嬉しい。だけど・・。一瞬、表情が強張ったのを、綾葉は、見逃さなかった。

「そうよね。迷惑よね」

「そんな事はないよ」

架は、よく冷えたワインを流し込む。

「嬉しいよ。僕らの血を引いた子が生まれるなんて」

架は、眼鏡を調整しながら言う。

「遅かれ、早かれ、こんな日が来るとは、思っていた」

綾葉との逢瀬は、危険をはらむ。莉子がそれを知ったら、どんな顔をするのだろうか?悲しむのか?これ幸いとするのか。

「架の言うとおりにする」

綾葉は、表情を読み取る様に言う。

「一瞬、言葉がなかったのは、どうして?私達の関係が表に出るのが、まずいなら、私は、言うとおりにする。」

「それは、子供を殺すって事?」

「それだけは、できない。だけど、一人で、育てろと言うなら、一人で、育てる」

綾葉は、資産家の一人娘だったが、両親は、早くに亡くなり、祖父母が大事に育て上げた。一人で、子供を産み育てるなんて、容易い事では、ない

「架との子供だから、育てたいと思っている」

これから先、車椅子の莉子に子供を産む事が、可能になるとも限らず、莉子との間が、どこまで、継続できるかもわからない。それなのに、無辜の子を傷つける事はできない。

「それに・・・」

綾葉は、愛おしそうに、お腹を抱えながら言う。

「もしかしたら、凄い才能の子が生まれるかもしれに」

綾葉と架の遺伝子が正確に伝わったなら、確かに、才能のある子が生まれる確率は、高いであろう。架は、ふと、考えた。

「そうだね・・・産んで欲しいと思うよ」

莉子が、悲しむかもしれない。が、莉子は、子供を持てないかもしれない。

「僕が、再起できなくても、その子が、僕の夢を引き継いでくれるなら、嬉しいよ」

綾葉h、満面の笑みを浮かべた。

「産んでいいの?」

「もちろん」

架は、容易く、うなづいた。莉子が、どんな顔をするのかは、二の次だった。自分の遺伝子を受けついた子供が、才能ある子かもしれない。そんな希望に、負けてしまった。その頃、新は、ほとんど、強引に花火大会に行く羽目になり、頭を抱えていた。セッティングも、藤井達が手配し、スタジオから、出発するように、アリバイの手配をしていた。

「待っているのは、似合わない」

情熱を追いかけるろ!藤井の信念が、莉子に向けられていた。

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