天才は忘れた頃にやってくる
昔 ボクはバカでした。
父は自分のことを棚に上げて、算数を教えようと
しました。
はじめは優しいのですが、この次は何だ?などと
言っては目をつり上げて単位を質問するのです。
ボクは質問どころではなく その父の目がとても
コワくて、そして教え方も下手でした。
うーん うーん・・と困っていると
父は、このバカ 何回教えたら解るんだ、と
自分の教え方のマズさなど気にしていませんでした。
お友達の学くんのお父さんは、京大出なので、本当に
やさしく解りやすく教えてくれました。
学くんが困っていると そのお父さんは
僕の教え方が下手だと言い 学くんは悪くないと
言いました。学くんは学年1の秀才になりました。
ボクは相変わらず成績は下から数えた方が早い
レベルでした。
ボクより成績が悪い人はふたりいました。
まきちゃんとカズくんでした。
ボクは、彼らが毎日健やかに学校に来るのを願って
いました。
なぜなら 彼らがいなくなるとボクが最後尾になって
しまうからです。
ふたりが休むと給食とノートを届ける係を率先
してやりました。
ふたりのお母さんが感激をして、担任に、
なんて良い子なんでしょうと言いました。
担任も、ボクのことを世話好きな生徒だと褒め
ました。
なぜか 学くんが一緒に帰りたがるようになり
ました。
学くんは不思議そうな顔をしてこう言いました。
僕が君なら とてもそんな成績では恥ずかしくて
生きてはいけないけど、君はなんでそんなに元気なの?と
尋ねました。
ボクは言いました。
父から、成績の悪い人はとりあえずニコニコ
していなければクラスが暗くなるだろうと言われた
のでニコニコしているんだ、と言ったら
豆鉄砲をくらったハトのように驚いていました。
それから 学くんとよく遊ぶようになり勉強も
教えてもらえました。
まきちゃんとカズくんにも教えてあげました。
人の輪は、こうして広がっていくのでしょう。
北風と太陽・・・やっぱりボクは太陽の方が
好きです。
父は、教え方は下手でしたが生き方の天才
なのかもしれません。