24 SOS
誤字脱字等修正。
辺境伯一行は、会食から2日後に領地に帰っていった。
もっとゆっくりしていきたかったようだけれど、当初の想定より大幅に手間が増えそうなので仕方がないと、残念そうに言っていた。
とはいえ、手間のひとつはお米作り継続にゴーサインが出たことも含まれているので、嬉しい悲鳴というものなのかもしれない。
ただ、奥さんたちの期待値は非常に高い。
機会があれば、迷うことなく私の肌や髪を触って妖しい笑みを浮かべていた彼女たちは、何かに取り憑かれているようにすら見えた。
結果を出せなかったとき、アルはどうなってしまうのだろうか?
いや、そんなに大袈裟なものでもないか。
とにかく、そのお礼ということでもないと思うけれど、アズマ公爵の動向の監視と、腕利きの護衛をアイリスにつけてくれると約束してくれた。
私たちもそう遠くない未来、王都へ移動することになるとは思うけれど、それでも気持ちは有り難い。
むしろ、公爵を始末してくれた方が有り難いのだけれど、そこまでの贅沢は言えない。
◇◇◇
この数日間、いろいろと慌ただしかったものの、彼らが帰ってしまうと途端に手持ち無沙汰になる。
現状、私たちが独自に召喚術について調べる方法も伝手も無いし、生活費はたんまりとあるので、やらなければいけないことというのは存在しない。
なので、リリーとミーティアとの適度なトレーニングと、アイリスに会いに教会に通うこと。それと、たまにギルドに顔を出して情報収集という名の宴会をするのが日常となっている。
また、私とアルとの模擬戦を覗き見ていた――というより、アルの立ち回り方に刺激を受けたミーティアが、一度自分を見つめ直すなどと寝言を言いだして、ついでにミーティアを魔法の師とするリリーもそれに倣って、私との訓練時間が大幅に減ってしまった。
アルの実力は、それほど次元の高いものだったらしい。
確かに、一対一での戦闘に隙の多い魔法を導入できる手腕もそうだし、魔法使用の隙が囮だったり、魔法の使い方も上手かったし、勝負勘も良かったように思う。
また、魔法攻撃に慣れてきた矢先に近接攻撃に切り替えようとしたり、その近接攻撃も術技――システムに頼らない、隙の少ない良い攻撃だった。
私も魔法を無効化できなければ、もっと翻弄されたと思う。
唯一ともいえる判断ミスは、私の反撃に対して魔法で対処しようとしたことだろうか。
アルは《時間停止》という魔法だと言っていたけれど、いくら英雄とはいえ、さすがに個人の能力で止められるものとは思えない。
それとも、私の時間だけを止めるとか、そういうことだったのだろうか?
魔法のことはよく分からないけれど、攻撃を中断したところまでは良かった。
しかし、無傷で乗り切ろうと欲張ったせいで、余計な攻撃をもらったのだ。
とはいえ、判断ミスという点では私も他人のことをとやかく言える立場にない。
その後の隕石を落とす魔法は非常に痛かった。
隕石の質量がもっと大きければ、速度がもっと速ければ、痛いだけでは済まなかったかもしれない。
受け止めようとして痛がるなんて、少し恥ずかしかったので我慢したけれど、ゲン担ぎ程度にムキにならずに、朔に回収してしまえばよかった。
そんな感じで、ミーティアより遥かに能力が劣るはずのアルが、私と善戦したことに対抗心を燃やした彼女は、一度は挫折した「術技をどう運用するか」なども含めて見直し始めた。
残念ながら、ミーティアは大規模な力の行使ができる反面、細やかな制御は苦手で――というか、器用さだけでいえば相当なものなのだけれど、扱う力が大きすぎて、アルと同レベルの妙技は難しいのではないかと思う。
そもそも、私見ではあるけれど、ミーティアの長所はそこではなく、そんな小細工に頼る必要が無い基礎能力の高さだと思う。
つまり、「レベルを上げて物理で殴る」が実践できる能力があるのに、なぜかテクニカルな戦い方をしようとしているのだ。
それが、確実に攻撃を中てるための技術であれば納得もできるのだけれど、表面的なものでしかないのなら、無駄とまではいわないけれど、遊びとか自己満足でしかないように思う。
隣の芝生は青く見えるということだろうか。
それでも、いろいろと経験するのはいいことだろうし、結局は本人が納得できることが一番なので、ミーティアがどういう結論に達するのかを見守ろう――と思っていたところ、脱皮した。
私との戦闘で傷付いていた鱗も、全てが再生して鏡のような輝きを取り戻して、竜型のサイズも若干大きくなったように見える。
私の想像とは違う形で、ひと皮剥けたのだ。
さすがファンタジー世界。
何かにつけて私の想像を超えてくる。
そんなミーティアとは対照的に、リリーの方は力押しより駆け引きや搦手を使うことに適性があるように思う。
今はまだ《狐火》の制御だけでも大変そうだけれど、リリーの歳で制御にまで手を出しているのがおかしいのだとか。
この年代の子供だと、魔法を使えないのが大多数。
生活魔法くらいなら使える子がそこそこいて、戦闘用の魔法使いになるとごく一部。
それも、とりあえず撃てるというだけのものらしい。
それに、リリーはまだまだ成長期――今朝起きたら尻尾が増えていた程度には成長期だ。
最近は私との訓練時間も減っていることから、やはり私のせいだけではなく、そういうことなのだ。
いくらクリスさんたちが二百年近く生きているといっても、世界の全てを知っているわけではないのだ。
恐らく、リリーは五百年にひとりくらいの天才――いや、それどころか、本当に魔王の器なのかもしれない。
誉め言葉かどうかは分からないけれど。
一度、魔王を見てみないことには何ともいえない。
もっとも、誉め言葉ではなかったとしても、リリーがリリーであるうちは、幼女であろうが魔王であろうが問題は無い。
人にとって重要なのは、肩書ではないのだ。
それでも、そうなるまでには、そうなっても困らないようにいろいろ教えておきたい。
しかし、この世界では私に教えられることなど多くない。
格闘能力には自信があるけれど、それでも達人というわけではない。
基本的な技術はひととおり覚えているし、その練度にも自信はあるけれど、奥義とか、そういうのは一切知らないし。
そういうのを教えてもらう前に、両親がいなくなったから仕方がない。
そもそも、自分の流派すら知らない。
もしかすると、父さんや母さんの我流なのかもしれない。
何にしても、私の体術は、単純に身体能力が高いので、それっぽく見えているだけだと思う。
そういう意味では、私は私より強い人に遭っていないだけなのだろう。
もっとも、戦いとは殴り合うだけではないし、それ以外では結構負けている――というか、ほとんど勝てていない気がする。
いつか、戦わずして勝つとかやってみたい。
とにかく、戦闘における最適解は、やはり「レベルを上げて物理で殴る」ということかもしれない。
莫迦でもできる。
しかし、そんなことを得意気に教えようとすると、本当に莫迦だと思われるので口にはしない。
というか、リリーは素直な良い子なので、魔王になることなどないと思う。
私の心配は杞憂に終わるだろう。
◇◇◇
暇だったので、私も私の50%についていろいろと考えた。
恐らく――というか、他に考えられるものがないので、その50%とは、朔と同じような状態になっていると思うべきなのだろう。
好むと好まざるとにかかわらず、事実を認めないことには始まらない。
とにかく、私は私のままだと思うのだけれど、同時に朔との――いや、人間としての私と、人間ではない私との境界が曖昧になっているのかもしれない。
朔との関係も、声に出さなくても伝えようと思うだけで意思の疎通ができるようになっていたり、朔に頼らなくても物を取り込んだり取り出せたりできるようになった。
ただ、前者は私の想像力の問題で上手く伝えられないこともしばしばあるし、後者も朔に管理してもらった方が楽だし確実だ。
あまり他人任せなのもどうかと思うけれど、そこでの自立は人間性と引き換えな気もするし、難しいところだ。
私も成長しているのか、それとも変化しているだけなのか。
成長していいのか、変化してもいいのか。
まあ、私が私であるなら、大した問題ではないか。
もうひとつ気になっているのが、朔が行っている私の精神世界とやらの探索である。
精神世界とは何なのかとか、そこでどんなことをしているのかには興味はあるのだけれど、そこでの出来事を話すと現実の私に影響が出るかもしれないということで、話してもらえない。
なお、朔には魂や精神の認識が上手くできていないらしい。
なのになぜ精神世界が認識できているのかというと、その例外が、朔の中にある私の33%だそうだ。
朔はそれを通じて私へ干渉していて、その結果が、新たな魔法を獲得するなどの形で私にフィードバックされているらしい。
正確なところはよく分からないけれど、要は私に直接干渉しているわけではないらしく、私の本質を変えるほどの干渉はもう難しいのだとか。
つまり、朔の干渉によって生まれている魔法なども、私の素質というか本質に由来するものなのだそうだ。
まあ、制限はあるとはいえ、朔も独自に情報や知識を得ることができるようになっているわけで、私がそれに影響を受けていないことを思うとそうなのかもしれない。
しかし、私としては朔に期待をしている。
朔には私にはできないことができる。
情報処理とか、頭を使ったいろいろなこととか。
現に、領域を展開した時の情報処理とか、すごく助かっている。
さらに、虫とかグロテスクな情報を自動で遮断してくれると嬉しいのだけれど。
それでなくても、アイリスやアルとの交渉などでも、随分と助けられた。
朔との関係に不満は無いどころか、いない生活は考えられない。
もうふたりでひとり的なところがある。
◇◇◇
11月も半ばを過ぎると、朝晩はめっきり冷え込み始めた。
私は暑さとか寒さには負けないのであまり関係無いのだけれど、季節感は大事にしたい方なので、出かける時の装いなどには気を遣う。
さておき、この世界では、レベルの高い人はシステムの補正のおかげで、暑さ寒さで体調を崩すことは少ないらしい。
それでも、季節にそぐわない厚着や薄着は余計な体力や魔力を消費するらしく、システム補正にも限度がある。
なので、特殊な事情がなければ季節に合わせた服を着るそうだ。
ちなみに、特殊な事情というのは、それらのデメリットを上回る性能の防具を着ているとか、ミーティアの見せたがりといった趣味嗜好によるものだ。
翼だの尻尾だのと散々理由をつけていたミーティアは――それも嘘ではないのだけれど、一番の理由は、自分の肉体美を誇示したかっただけだということが最近になって判明した。
見られて減るものでもない?
確かにそのとおりだ。
しかし、苦労せずとも見れるものに価値などないのだ。
そう指摘すると、少し寂しそうに「何事にも例外はあるのじゃ」と負け惜しみを言っていた。
そうまで言うなら実例を示してもらいたいところだったけれど、意味深な感じで見詰められただけで、それ以上の反論はなかった。
とはいえ、嫌がる人に無理に服を着せるつもりもないので、興味を示したリリーの服を買いに出かける。
リリーはリリーで、服を買うことより、私と出かけることが楽しいといった感じの微妙さはあるけれど、喜んでいるのならいいのだろう。
今更な感はあるものの、この世界で人に混じって生活する亜人は、それほど珍しい存在ではない。
しかし、人間とそう変わらない【エルフ】などの種族の物を除いて、特に尻尾や翼のあるタイプの亜人用の服――特に既製品は非常に手に入りにくい。
それらの亜人の種類が多く、種族ごとに特徴ががらりと変わるため、下手に商品を作ると、在庫を抱えてしまうことになりやすいからだ。
なので、亜人の服を購入する手段は、人間用の服をリフォームするか、一から仕立てるか、根気よく古着を探す辺りに限られてしまう。
幸い、私たちにはお金が腐るほどあるので、当面必要な秋物をリフォームで作ってもらって、それと同時に、時間的に余裕のある冬物を仕立ててもらうよう手配した。
なお、この世界の服の素材は、麻、綿、羊毛、絹などが主流で、ナイロンなどの石油化学製品は基本的に存在しない。
後者は召喚された勇者が持ち込むか、迷宮などの宝箱から出現するのみだそうだ。
前者はともかく、後者の意味がよく分からないけれど、ファンタジーに文句をいっても仕方がない。
他にも、魔物の出した糸で編んだ布とか動物の皮などもあるけれど、こちらは冒険者用の防具にされることが多い。
さておき、オーダーメイドの服を作るとなると、リリーの採寸とデザインの希望の他に、素材も選ぶ必要があった。
「ご要望の点は承りました。それでは、素材についてはご希望はありますか?」
「一番良いので」
しかし、この世界の流行りや、特殊な素材の良し悪しなど分からないので、こう答えるしかない。
「それですと竜革になりますが、お値段の方が……」
店員さんが、竜革のサンプルと価格表を提示してくれた。
お値段はどうでもいいのだけれど、竜革とやらが想像以上にチープな物だったので、何の魅力も感じなかった。
これならミーティアの抜け殻の方がマシというものだ。
結局、店員さんとは「良い物」の認識が違うようなので、妥協して一般的な素材に変更した。
その後、リリーの下着やタオルなどの日用品や消耗品を大量に買い込んで、店を後にした。
後で聞いたところ、一般に流通している竜革は、蛇竜や亜竜と呼ばれる、竜とは違う種の魔物の革だそうで、ミーティアの抜け殻などは伝説級の素材らしい。
「儂の素材は、紛い物よりマシ程度じゃったのか……」
拗ねたミーティアを慰めるのは、なかなか面倒臭かった。
◇◇◇
宿に戻る前に、少しアイリスのところに顔を出そうと教会に寄ったのだけれど、教会内が妙に騒がしいことに気がついた。
アイリスは――無事のようだ。
いつぞやの事件のことを思い出して少し緊張したけれど、無事でよかった。
では、この騒ぎは何なのかと辺りを観察すると、受付の前に人だかりができていて、その中心にいるのは顔見知りだった。
勇者の従者さんのひとり――確かジェイソンさんだったか。
彼は左腕の肘から先を失っていて、出血量が多すぎるせいか意識は朦朧としているようで、ギルドでよく見るエリートモヒカンさんに担がれていた。
何があったのか、どうしたものかと考えていると、私を見つけたアイリスが近づいてくる。
「あの方が、大怪我を負われて担ぎ込まれてきたのです」
アイリスがそう言うと、なぜか野次馬さんたちが道を空け、その間から血塗れのジェイソンさんとモヒカンさんの姿が見えた。
それで村での惨劇を思い出したか、リリーが私にギュッとしがみつく。
私たちの訓練ではあまり血が流れないので、慣れたり克服する機会がなかったのか。
さておき、ソウマくんや他のメンバーのことも気になるけれど、彼もかなり危険な状態に見える。
もう少しばかり情報を集めると、騒動の原因が、モヒカンさんと、教会職員さんが、治療費のことで揉めていることだと判明した。
左手の欠損を治す――欠損した部位が回収されていれば、回復魔法でも治る可能性もあるけれど、無い、若しくは万全を期すなら、再生魔法という系外魔法に属する魔法が必要で、必要になるお布施の額はかなりの差になるらしい。
そこで、「緊急事態だから先に治せ」「規則なので先にお布施を納めろ」と言い争っているのだそうだ。
前者は人道的見地で、後者は、後払いにすると踏み倒されることが少なくない世界では当然のことらしい。
というか、あの職員さんは、ジェイソンさんが勇者の従者だと知らされていないのか、モヒカンさんに人望が無いのか、それとも他の理由があるのか。
モヒカンさんなら治療費くらいは持っていそうなものだけれど、立替えできない理由でもあるのかな?
とにかく、ここまで大きな騒ぎになってしまうと、アイリスをはじめ、事情を知っている人でも迂闊に介入できなくなってしまったのだ。
事情はよく分からないけれど、ソウマくんたちがどうなっているかも心配だし、彼らのことがリリーに与える影響も考えると、見て見ぬ振りはできないと判断する。
「足りる?」
介入する口実にと、金貨をひと掴みほど取り出してアイリスに見せる。
「多すぎです」
アイリスはそこから金貨を1枚だけ抜き取ると、ジェイソンさんの許まで進み出て、患部に腕を翳して再生魔法を発動させる。
途端にジェイソンさんの身体が淡い光に包まれて、負っていた大小様々な傷が塞がっていき、失っていた腕も、骨や肉が短時間で再成されて、表面上は元通りになった。
従来の能力を取り戻すにはリハビリが必要らしいけれど、それでも魔法のすごさを改めて認識させられた。
それと、よほど消耗の大きい魔法だったのか、アイリスの疲労の色が濃い。
無理をさせてごめんね。
「おお、さすがユノちゃんだな! 助かったぜ、こいつら頭固くってよ。」
ひとまずの治療が済んだからか、それとも私に気づいたからか、モヒカンさんがジェイソンさんを放り出して寄ってきた。
ジェイソンさんが床で頭を打っていたけれど、大丈夫だろうか?
「こいつ、どうも迷惑野郎にトレイン喰らったみたいでな。久し振りに迷宮に潜ってた俺らのパーティーに助けを求めてきたんだ。全く、運が良い野郎だぜ。なんたって俺ら、昼間はユノちゃんに会うためにほとんど仕事入れてなかったからな。そのおかげで金欠で治療費無かったんだけどな」
トレイン――確か、迷宮内で魔物を引き連れて逃げ回る行為だったか。
その様子が列車のように見えるのでそう名付けられたのだとか。
名付けたのはきっと勇者だな。
さておき、それにソウマくんたちが巻き込まれた?
迷宮内もそれなりに落ち着いてきて、結果を出さなければいけないからと攻略を始めたことは少し前に聞いていたけれど、10階の門番が復活したことも聞いていたし、今更かという感が強い。
「仲間を助けてくれって言ってたんだけどよ、先にコイツが死んじまいそうだから、ここまで連れてきたとこなんだ。それでユノちゃんにこんなところで会えた。これはもう運命かもしれねえな」
「お疲れ様」
モヒカンさんの冗談はいつものことなので軽く聞き流して、ひとまず労いの言葉をかけてから、ジェイソンさんの様子を見る。
生命の危機は脱したようだけれど、決して顔色は良いとはいえず、いつ目を覚ますかは分からない。
彼らに――特にソウマくんに死んでもらっては困ったことになる。
というか、大人の事情で子供が犠牲になるのは、個人的には許されない。
間に合わないかもしれないけれど、やれるだけはやってみようか。
そのためにはジェイソンさんから話を聞きたいところなのだけれど、衆人環視の中で、瀕死の彼を叩き起こすことも、存在を喰らって情報を奪うこともできない。
恐らく後者の方はバレないとは思うものの、絶対とは言い切れない。
それに、ここは神殿――私からすれば完全アウェーだ。
何より、私の腰にしがみついて、何かを言いたげに私を見上げてくるリリーに、「助けて」とお願いしてほしい。
リリーはソウマくんと結構仲良くなっていたようだし、初めてできた友達のことが心配なのだろう。
ただ、私が表立って動くことができないことを理解していて、余計な気を遣って言い出せないのだ。
それでも我儘を言ってほしかったのだけれど、聞き分けがよすぎるのも問題か。




