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09 アザゼルvsエスリン 第2ラウンド

――第三者視点――

 全てがアザゼルの想像以上に、順調に進行していた。


 アザゼルにとっては、自身の新たな器を確保できたことで、ゴブリンの寿命的な問題は解消されたも同然だった。


 そのエスリンは、アザゼルが掌握する施設のひとつ、アザゼルが保管されていた研究室で、特殊な液体で満たされた、筒状の透明な容器――アザゼルが「原料槽」とよぶ容器に閉じ込められていた。



 そして、その室内には、彼女と同時に捕まった部下たちが、同様の扱いを受けていた。

 彼らは、さきの戦争で、エスリンがアザゼルと対峙した時に彼女の側にいた、精鋭中の精鋭たちである。



 彼女たちは、一見するとホルマリン漬けの標本のような状態だが、全員生きているだけでなく、意識もあった。

 容器の内部を満たしている、青みがかった透明度の高い液体は、当然のように彼女たちの肺にも満たされているが、不思議なことに、彼女たちが溺れることはない。

 それどころか、空腹や渇き、疲れすら覚えない。


 しかし、確実に何かが失われていく感じがある。

 それに危機感を覚えた彼女たちは、当然のように脱出を図ったものの、誰ひとりとして容器の外に出られた者はいない。



 それはその名のとおり、対神兵器の動力源である魂と、その原料――生体を保存しておくための容器であり、原料を逃がさないための仕組みも当然に施されている。


 元々、天使用に設計されたそれは、大魔王やその眷属程度に対処できるものではない。

 それどころか、脱出しようと無理をして傷付いた身体は、溶液によって修復され、死ぬことも許されない。



 最初のうちは騒がしく喚きたて、逃げ出そうと無駄な努力をしていた原料たちも、3日もするとめっきり大人しくなった。


 助けが来ることでも期待しているのか、無駄な力の消耗を抑えて一分一秒でも長く生きようと――それもまた無駄な努力ではあったが、彼らが何を考えているのかは分からない。

 しかし、彼らが何を考えていようと脱出は不可能であり、アザゼルにとっては、研究や作業の邪魔にならない分には文句などない。



 ただひとり、エスリンだけは、「部下を見逃してくれれば興味深いことを教えよう」とか、「寿命を延ばしたいなら、アンデッド化すればいい」などと、時間稼ぎのつもりか、愚にもつかない話をし続けていたが、アザゼルは当然のように無視していた。


 とはいえ、「興味深い話」というものに、興味が無いといえば嘘になる。

 ただ、彼女たちの知識レベルを考えると、期待外れである確率が高かった。

 それは、延命目的にアンデッド化などと言っている時点で明らかである。


 それは一見有効な手段に思えるかもしれないが、魂というものは肉体の状態に引っ張られるもの――その逆もあるというのが彼らの中での定説である。

 それは、ゴブリンの身体を持つ彼が、ゴブリンの性質に引っ張られていることで、図らずとも証明してしまっている。

 となれば、アンデッドであればアンデッドに引っ張られる――つまり、魂は常に死に向かうと考えてしかるべきである。



 そもそも、先史文明時代の、デュナミスや魂や精神などの研究の副産物として、人間の延命の限界は千年程度が限界だという試算が出ている。


 その根拠となっているのが、小動物を用いての実験――個体の知識や記憶を新しい肉体に移し替える実験である。

 その実験では、精々がその種の寿命の十倍程度の延命が限界で、しかも、個体差はあるものの、本来の寿命の倍くらいから、原因不明の突然死や、活動が緩慢になるなど、あまりよくない変化が見られ始める。

 肉体の複製に問題は無かったことを考えると、それ以外の――魂や精神などのいずれかに理由があることまでは分かっていたが、その原因を特定することなく先史文明は滅びた。


 ヴィクターは、本人の権力や暴力に執着する性質や、《強欲》のスキルのおかげで自我を保てている稀有な例だと考えられるが、現状ではその研究に費やせる余力は無い。



 さらに、アンデッドから生物に戻る手段が無いのも問題である。

 そうなると、衰弱していく魂を回復させる手段も、奇跡に頼るくらいしかない。

 ゆえに、延命でアンデッドになるというのは、先の見通せない莫迦のすることだという結論になる。


 そうすると、エスリンたちにはその程度の知識しかないということであり、貴重な時間を割いてまで臨むことではないし、貴重な原料を解放するなどあり得ないことだった。 



 魂を動力源とする対神兵器だが、実のところ、戦場などでの死者の魂を回収して動力とするのはロスが多い。

 また、回収率だけではなく、エネルギー効率的にも低下するため、出力的にも20〜30%落ちる。

 凶悪な機能だが、効率的には無いよりはマシ程度の性能である。


 兵器の本来の性能を発揮するためには、このように装置によって直結し、丁寧に抽出する必要があった。

 手間も時間もかかるが、それに見合うだけの見返りはあるし、設備や資源が限られていて、単純な大量生産に踏み切れない以上、品質を追求するのは当然である。


 それに、こうして丁寧に魂を抜き取られた身体は、新たな器として乗っ取るために最適な状態になるため、正に一石二鳥でもあった。

 精鋭たちのものも、予備だったり、同志が合流してくれば、その器として使える。


 アザゼルの元いた世界では、資源の有効活用やリサイクルは、最早それが当然のものとして根付いており、ところどころにその名残が窺える。




 将来的な寿命の問題に目処がつくと、次は、いつ攻めてくるか分からない神族に備えるための現在が重要である。


 既に対神兵器という奥の手は公開した。

 神族がどこまで認識したかは定かではないが、アザゼルが先史文明の遺産を使って何をしようとしているのか、アザゼルが何者なのかもバレていると考えて行動しなければならない。



 最終的には、神を僭称する者たちの手から、システムを奪うことがアザゼルの目的である。


 そのためには、近く来るであろう天使や神の襲撃を凌ぎながら、九頭竜に対抗する兵器を仕上げなくてはならない。


 そして、彼の手元には、これまでにはなかった、ひとつの可能性があった。



 死の邪眼――命を奪う邪眼というものの存在は、アザゼルも知っていた。

 それが、魂、若しくは魂と肉体との繋がりを破壊する攻撃であることも、成否や効果が、術者と対象の能力差に依存することも知っていた。



 しかし、エスリンの使ったそれは、同系統ではあるものの、まるで次元が違った。


 それは、命を奪うのではなく、死を与える――生命の無い兵器にも、それどころか防御フィールドにすら死を与えてみせた、脅威の概念攻撃。


 ただ単純に出力が高いだけの九頭竜とは違う、よりエンテレケイアに近いエネルゲイアである。



 エスリンが死を与えた対神兵器の数は3体。


 たかが3体と思うかもしれないが、対神――人間より遥かに格上の存在と戦うための、生身の人間が勝つ――どころか、まともな戦いならないはずの物が3体。


 彼我の能力差や、相手の力を奪うフィールドの中にあってのことを考えると、あり得ない数である。

 エスリンがその力の行使に耐えられずに気を失わなければ、もっと被害は増えていただろうし、下手をすると、アザゼルも死んでいたかもしれない。


 むしろ、フィールド展開前に使われていれば、彼の野望はそこで終わっていたかもしれない。

 また、最初の一撃でフィールドに死を与えられ、次の一撃を放つまでにタイムラグがなくてもアウトだった。


 もっとも、この邪眼はエスリンにしてみても気軽に使える能力ではなく、彼女にも都合や油断はあったので、落ち着くところに落ち着いたというのが、この結果である。




 アザゼルはエスリンを捕らえると、すぐに彼女の邪眼を摘出して、遺跡と兵器の復旧と並行して、その研究を始めた。


 切り札となる兵器が稼働すれば、九頭竜とも互角に渡り合える想定ではある。

 しかし、この邪眼の力を解析できれば、更に有利に戦えることは間違いない。


 ただし、反動の大きすぎる力を自身が使うことなど論外であり、いずれは自身の新しい器とするエスリンに持たせ続ける意味も無い。


 力とは、目的を達成するための手段のひとつでしかない。

 現状では他に仲間のいないアザゼルが、自身を犠牲にする力を使うなど笑い話にもならない。


 アザゼルの興味は、この力を兵器に搭載できないか、それが適わなければ、まだ大量に余っているゴブリンを触媒に使えないかである。

 何より、ただのデュナミスが、エネルゲイアへと進化を遂げた要素に興味があった。



 アザゼル自身も、そして神族も、デュナミスを理解し、使いこなしている。

 しかし、どちらもエンテレケイアはおろか、エネルゲイアに至っているかどうかも怪しいところだった。

 そもそも、それらは「あるだろう」とは考えられていたが、仮説の域を出なかったものだ。

 アザゼルも、エスリンの邪眼の力を目にするまでは、確信を得るまでには至らなかっただろう。


 何しろ、事前に計測していたエスリンの能力では、絶対に壊せるはずのない対神兵器が破壊されたのだ。


 その後の計測でも、邪眼を失ったエスリンの能力は、以前の彼女と誤差の範囲でしかない。

 邪眼にもそれなりの力は宿っているものの、数値的には予想していたほどではない――となると、現在の機器では観測できない質の違いくらいしか説明がつかない。



 同種のエネルギーを扱ってはいるが、数や量――圧倒的物量を武器とする神族に、アザゼルたちは知恵と工夫で対抗していた。

 それで戦いとして成立していたのは、(ひとえ)にアザゼルたちの方が、デュナミス――種子に対する理解が進んでいたからで、効率的に扱えていたからにほかならない。

 最終的には量の極致ともいえる九頭竜の前に敗れはしたが、神族は最後まで力押ししかしてこなかった――恐らくできないのだ。


 そうだとすると、欠点や欠陥も見えてくる。

 それはかつての彼らが通った道でもあるのだ。

 理論上は、攻略法はいくつも存在する。

 現状で、実現できるかどうかは別として。


 それでも、戦い続けていれば、時間が味方するのは自分たちの方だと、アザゼルは本気で考えていた。



 そして、今のアザゼルの前には、彼らの理解度のステージを一気に引き上げる鍵がある。

 長い間、醜く薄汚いゴブリンに囲まれ、ままならぬゴブリンの性質に苦しめられ、神族に対する怒りだけを糧に生きてきたアザゼルも、この状況には思わずこぼれる笑いを堪え切れなかった。


◇◇◇


 アザゼルの身の毛もよだつような笑い声で、眠っていたのか、気を失っていたのかも定かではないが、エスリンの意識が覚醒した。


 とはいえ、繰り返し再生されるアザゼルに、敗北した時の悪夢が、狭い水槽の中で、徐々に命を奪われていく悪夢のような現実に置き換わっただけだ。



(私はどこで間違えたのか……)


 エスリンが覚醒している間に考えるのは、そのことばかりである。



 しょせんゴブリン――と、舐めてかかっていたところがあったのは事実だが、あの得体の知れない機械には、万全の態勢で挑んだとしても、太刀打ちできなかっただろう。


 そもそも、あのアザゼルと名乗るゴブリンは、一体何者なのか。


 元より同族意識の薄いゴブリンではあったが、あれだけの数の同胞を見事に見殺しにし、捕らえた自分たちを全裸にして水槽に浸けるだけで凌辱するでもなく、毎日理解不能な機械の前で一喜一憂している。


 エスリンも、最初は凌辱されないことに安心したものだが、先祖代々より受け継いできた邪眼を奪われて、アザゼルの独白から、ゆくゆくは身体さえも奪われることを知った。

 それは、犯され、殺される以上の嫌悪感と、彼女たちが敵とすら認識されていなかった――ただの素材程度に思われていたことに、更なる悔しさを覚えるものだった。


 当然、脱出しようと努力はした。

 全て徒労に終わったが。


 残る手段は、彼女を信じててついてきてくれた部下には申し訳ないとは思いつつも、これ以上アザゼルに力をつけさせないために、潔く自害するしかなかった――が、それもポーションのような効果を持った溶液のせいで、強制的に回復させられてしまう。



(こんな檻、邪眼さえあればすぐに破壊できるものを……)


 結局、邪眼さえあれば――油断せずに、最初からアザゼルに使っておけば、という仮定の話から、逃れようのない現実を再確認して、また邪眼さえあれば――と、いつものループに陥っていた。



 それでも、エスリンの最も信頼する部下のひとり、グエンドリンが逃げのびたことは希望だった。


 彼女は人柄だけではなく、能力的にも有能である。

 まさか、軍を再編して無謀な反撃など、エスリンの望んでいないことは決して行わないだろう。


 国内の非戦闘員が無用な争いに巻き込まれないように手配して――忠誠心も厚い彼女のこと、自分の身を犠牲にしてでも、信頼できる誰かに援軍を頼んでいるだろうか。



 そうしてエスリンの脳裏に浮かんだのは、力の魔王バッカスだ。

 かの魔王は、いうまでもなく世界最強の魔王の一角で、悪夢のような容姿に反して義に篤いところがある。

 どうやってコンタクトを取るかが問題だが、それさえクリアできれば力になってくれるだろう。



 そして、もうひとり、バケツを被った何かが思い浮かんだ。

 彼女は、はエスリンが目にした信じられないもののひとつ――衝撃の度合いでいえば、アザゼルの機械人形を上回っていた。


 ひとつ、領地に――本人は領地ではないと言っていたが、実質的な領地であるそこには、浮遊島があったこと。

 元々はギルバートの領地だったはずのそれを、どうやって持ってきたのか。


 ひとつ、滅多に人前に姿を現さないはずの精霊がそこかしこにいたこと。

 当然、領地は豊かになる――が、いればいいというものではない。

 その地の魔素に対して多すぎる精霊は、その地を枯らす害悪にもなり得るのだ。

 さらに、精霊のことを抜きにしても、畑に新鮮な肉や魚の切り身が生るなど、彼女の理解の範囲を超えていた。


 ひとつ、常夏の領地に不自然な真冬の地域があったこと。

 最早精霊の力とか、そんなレベルでは済まない何かだった。


 ひとつ、庭園という名の広大な島に、それはそれは大きな大きな樹があったこと。

 曰く、あれが世界樹だそうだ。

 何を言っているのか理解できなかった。



 時間が経って落ち着けば、気持ちの整理がついて理解できるようにもなるかと期待したが、時間が経てば経つほど、見間違えたのか、聞き間違えたのではないかとしか思えなかった。


 同じものを見たはずのグエンドリンたちも、その話題には触れようとはしなかった。

 そうすることで、心の均衡を保っているであろうことは明らかだった。



 しかし、エスリンたちの記憶が正しいものであれば、あそこに住んでいる者たちは皆幸せだということと、あそこに住めるのは幸運なのだということは理解できた。


 エスリンにもそのチャンスはあったが、脳が理解を拒否していた状況で判断できるはずもない。

 そうでなくても、彼女には先祖代々受け継いできた領地があったし、バケツを被った怪人に頼ることも、他人に頼ることができない性格とプライドが邪魔をした。



 あの時、ほかの魔王たちのように、移住を名乗り出ていれば――とは、今でも思わない。

 やはり、先祖から受け継いできた地を簡単には捨てられないし、いかに魔王とはいえ、今よりも豊かになるからという理由だけで、民衆全てを説得できる気もしない。


 それでも、もっと積極的に、かの町と交流をしておけば――という後悔はある。


 古竜2頭に吸血鬼の大魔王、九尾の幼女、泡沫(ほうまつ)とはいえ数多くの魔王と、戦力的に見れば、ほんの一瞬で最強の一角に躍り出たのは間違いない。

 そんな勢力と懇意(こんい)にしていれば、アザゼルの侵攻もなかったかもしれない――と考えるのは、さすがに希望的観測にすぎたが。


 そもそも、彼の国の住人たちの願いは「平穏な生活」であり、他国の争いなどに介入してくるはずがない。



 現状望める最善は、グエンドリンが、かの町に一般人の受け入れを打診してくれていることだ。

 最悪はバッカスの支配地でも構わないが、さすがに全ての民を受け入れてもらうことはできないだろうし、受け入れてもらった者も、マッチョになるのは避けられない。


 こんな状況になってから受け入れてもらおうなどと、虫のいい話はないといわれそうだが、多少の代償や不利益はあったとしても、受け入れてもらえるだけでも御の字である。

 あちらからすれば、受け入れるメリットなど何もないのだ。


 その後は、エスリンをはじめ、囚われている者たちの救出は諦めて、アザゼルの侵攻に備えるだけの戦力を集めておいてくれれば――。


(それがアザゼルの耳に入れば隙が生まれるかもしれない。やはり今の私にできることは、その時間を稼ぐことくらいか……)


 そんなことしかできない自身の不甲斐なさに憤りを感じながらも、エスリンは諦めなかった。




 エスリンは、手段を選ばなかった。


 しかし、部下たちに「それだけは止めてくれ」と懇願された色仕掛けが、部下たちだけでなく、アザゼルにまで気の毒そうな目で見られた時には、さすがに心が折れそうになった。


 もっとも、容器の中で若干キレ気味に「あはーんうふーん」と身体をくねらさせていただけなので、全裸なのに色っぽさの欠片もないと、ある意味、感心させられてしまうような茶番だった。


 むしろ、そんなものを見せられた彼らの気持ちも理解できるものだ。



 それでも、これまでそんなこととは無縁だった、彼女の精一杯である。

 そして、予想とは違う形ではあるが――純潔の代わりに人間として大切な何かを失いはしたが、結果として、多少は時間を稼ぐことに成功したとポジティブに考えた。

 考えるしかなかった。



 そうして吹っ切れたエスリンは、彼女としては精一杯の――余人から見れば奇行を繰り返した。


 そして、アザゼルはそれを目にするたびに、万に一の可能性を考えて、彼女や機器に異常がないかを調べなくてはならず、作業の手を止めざるを得なかった。


 大した手間も時間もかからないとはいえ、集中力が途切れさせられることは、彼にとってはこの上ない苦痛だった。


 ただでさえ、ゴブリンの肉体に引っ張られて、必要以上に性欲を持て余しているというのに――近い将来、自らの身体とする予定のエスリンを、一時の衝動で犯したり、対神兵器のエネルギー充填を遅らせるなど愚の骨頂である。



 そうして、アザゼルは、フラストレーションや、それ以外のものもいろいろと溜めていったが、特に有効な対策もない。

 とはいえ、全体的に見れば作業自体は順調である。

 可能な限り早く作業を終わらせて、町を襲うためのモチベーションに変えることで、心の均衡をとることができていた。



 結果的に、アザゼルは大きなフラストレーションを溜め、エスリンは大事な何かを犠牲にし続けただけで、効率的には微々たるもので、どちらにも軍配は上がっていない。


 ただし、その微々たる影響が、この先どういった結果を齎すのかは、誰にも分からない。

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