帝都を覆う混沌46 ~絶対無敵モスマーン~
「私がアンタを混沌から解放してあげるわ」
レディー・ハロウィーンとレジャー大帝GWの間に殺気が満ちた。両者の気合いはマックスだ。
「お嬢様~……」
逆さ吊りにされたフランケン・ナースは、スカートを抑えながら困っていた。
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帝都ではどうでもいい戦いが始まろうとしていた。
「キュウリ・ランサー!」
カパーンが取り出したキュウリの両端から刃が飛び出した。それはいわば両端に穂がついた槍である。
「カワウソン、覚悟しろ!」
カパーンはキュウリ・ランサーを構えて、カワウソンを見据えた。
カワウソンはクックッとつぶやきながら、両の拳から鋭い爪を出現させた。
まるでベアークローの二刀流のようだ。カワウソンはやる気満々だ。
「はわわわ……」
カピバランは展開についていけなかった。
地球を守る超生命体であるアニマトロン、そのリーダーであるカワウソンが混沌の波動を受けて、正義ではいられなくなった。
今のカワウソンは「川の狼」と呼ばれるオオカワウソのようだ。ワニすら補食するオオカワウソそっくりのカワウソンは、今やX兵器のように両手の爪を光らせている。
対するカパーンは地球を侵略する側であるUMAトロンのリーダーであるが、彼は今や秩序の使命に目覚めーー
まるで宇宙の騎士のように精悍で凛々しかった(外見はメタリックな河童だが)。
某新聞の事かと誤解されそうな、カワウソと河童の対決。
カピバランはそんな展開についていけない。彼は秩序にも混沌にも導かれてはいないようだ。おそらく別のものに導かれているからだ。
「……は!」
カピバランが振り返れば、そこにはアニマトロンのアザラシンが物陰から様子を伺っていた。
ーーラーシッシッシッシッ……
アザラシンのなんという邪悪な笑みよ。野生のアザラシは可愛い外見とは裏腹に、ペンギンを補食するほどの肉食獣だ。
その凶暴性から本当にアニマトロンなのかと疑われるアザラシンだが、カピバランを導くのは別の存在だ。
ーービカア!
強烈な光がカピバランに注がれた。
それは謎のUMAトロンにして大宇宙の大いなる意思ーー
モスマーンの放った光だ。
ーーゴワゴワ(※効果音)
ーーゴワゴワゴワゴワ(※効果音)
驚くカピバランの前で、モスマーンの体が変化していく。
なお、モスマーンはカピバラン以外には見えず、知覚する事はできない。
「あああ……」
カピバランは思わずうめいた。
モスマーンの姿は最近よく見かける何かに変化しているのだ。
「アマビエ……!」
カピバランは見た。
謎のUMAトロンであるモスマーンが、同じく謎のUMAトロンであるアマビエンに変化していくのを。
伝承ではモスマンもアマビエも危機を予言した。
それらが同一の存在であるという事は、すなわちーー
「そうか、わかったぞ! ブッダーとは!」
カピバランは何かに気づいたようだが、それより早くアマビエンが近寄ってきた。
ーーずぶ
アマビエンは右手?をカピバランの額に突き刺した。
実体を持たぬアマビエンの右手は、カピバランの脳ではなく心の中に触れていた。
「おげ、おげ……」
白目をむきそうになるカピバラン。
彼は先日、アニマトロンのキツネン(人間形態は長身のメー◯ルのような美女)とタヌキン(人間形態はぽっちゃり癒し系巨乳美人)とランチを一緒にした。
別に何かあったわけではないが、アマビエンはそれが気になるらしい。
ーー■&★♭◆%#!
アマビエンの意志がカピバランに伝わってくる。何か怒っているらしい。
超越の存在たるアマビエンも、カピバランの前では感情をかき乱されてしまうようだ。
「も、もう、浮気なんかしません……」
カピバランはそう言うが、それはアマビエンに言わされているのではなかろうか。
ーー#§■△◎▽□
アマビエンは満足したようである。女神?の嫉妬は恐いのだ。
神の加護を受けるとは、このような事である。何それ。




