帝都を覆う混沌40 ~軍神復活~
「観念しろ、天に代わって成敗してやる!」
ゴヨウの駆るヘッドガンは、光の剣を巨人へと打ち下ろした。
光の刃が巨人の背から生えた禍々しい剛腕を斬り落とす。
ヘッドガン必殺の一閃を避けた巨人は 、悲鳴と共に暗き空へと舞い上がった。
地上にいたソンショウらが見上げれば、暗き空が渦を巻き、更なる別の次元への入口が開いていた。
巨人は必死にその渦の中へと逃亡した。この暗き世界よりも、更に深き闇の中へと逃げこんだのだ。
「鬼道界か!」
ゴヨウはヘッドガンのコックピットにて声を荒くした。
鬼道界は人間の及ばぬ世界だ。
だが、逃げた巨人を追わねばならぬ。背に禍々しい剛腕を生やした巨人は、世界を覆う病魔の一部なのだ。
それを倒し、世界を救うために、ゴヨウもブルックリン(ヘッドガンのAI)もーー
未来を守るために人間としての肉体と命を捨てた者たちはやってきたのだ。
「ブルックリン、突っ込めー!」
ゴヨウの駆るヘッドガンは足裏のバーニアで舞い上がり、巨人を追って鬼道界へ飛びこんだ。
「頼むぞ四千年を共に戦ってきた同志よ…… 天機星『知多星』ゴヨウよ」
鬼道界の入口が閉じた暗き空を見上げ、ソンショウはつぶやいた。彼らは生き延び、勝利した。病魔の広がる地上にも、あるていどの変化が現れるだろう。
だが、ゴヨウは更なる戦いへ向かった。ソンショウには生き残った仲間と共に、ゴヨウの勝利を祈ってやることしかできなかった。
暗黒龍メデュースは、軍神スサノーを闇の吐息によって腐汁に変えた。
なんと他愛ないとメデュースは嘲笑した。帝都を守るために、天帝によって創造された新造神スサノー。
その力がこの程度だとは。
“……ウヌ?”
メデュースは刮目した。腐汁と化していたスサノーが蠢き、0であった神力が急激に高まっているのだ。
“コレハ……”
メデュースの目の前で、腐汁であったスサノーが復元していく。
軍神スサノーは帝都を守る不滅の存在だ。
今も、そしてこれからも。
スサノーは帝都を覆う病魔を討つために、混沌の闇の底に降りてきたのだーー
「……天帝様は俺に死ぬことは許さぬそうだ」
復活した軍神スサノーは、光皇神剣を手に取った。
「倒すべき敵を倒すまではな!」
スサノーは光皇神剣を手にして、再びメデュースに斬りかかった。




