帝都を覆う混沌39 ~ヘッドガン、巨人と対峙す~
それはソンショウらにとっては救世主そのものだ。
鋼鉄で造られた武装した騎士のような外見ーー
百八の魔星は数十体の黄巾力士を有しているが、そのどれでもない。
戦車形態で長きに渡り格納庫に眠っていた「ヘッドガン」……
その力は、百八の魔星の三大黄巾力士に数えられている。
宇宙から降り注ぐブッダー線をエネルギー源にするブッダーロボ。
神と魔の力を有した黄巾力士である神魔皇帝。
そして次元渡航能力を始めとした、数々の力を秘めたヘッドガン……
その力は今、異なる次元で病魔を討つために行使されようとしていた。
「いくぞお!」
ヘッドガンのコックピットでゴヨウは叫んだ。同時にヘッドガンも光の剣を巨人に向けて降り落とした。
ヘッドガンの手にした光の剣は、巨人の胸を袈裟がけに斬りつけた。
ーーギョオオオ!
巨人は悲鳴を上げた。その背に生えた禍々しい剛腕がヘッドガンの右肩へ伸びた。
ガアン!と鋼鉄の打ち合わさる音が、闇の世界の虚空に響く。すでにソンショウらは彼らの足元から大急ぎで退散していた。
ーーギギギ……
巨人の背中の剛腕が、ヘッドガンの右肩装甲を握り潰そうとする。咄嗟に頭部を捕まれるのを避けたが、肩を砕かれれば剣を振れぬ。
「ーーブルックリン、フルパワーだー!」
コックピット内でゴヨウが叫ぶと同時に、ヘッドガンは踏ん張った。巨人の剛腕の動きが止まる。
更に巨人の体が引きずられた。ヘッドガンは巨人をふりほどこうとしているのだ。
「お前がしてきたことの…… 報いを受ける時が来たぞ!」
ゴヨウがコックピット内でレバーを握れば、ヘッドガンは力任せに巨人の剛腕を振りほどいた!




