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知多星ゴヨウ  作者: MIROKU
元年
8/100

レディー・ハロウィーン、妹と和解す



 地球政府とUMAトロンによる「アニマトロン狩り」から逃げ、各地を旅して回るカワウソンとカピバラン。彼らに安息の日は訪れるのだろうか。


 チャランラ~♪


 音楽が流れ、温泉街のストリップ劇場に緊張?が走る。


「よ、待ってましたー!」


 はしゃぐ客は、浴衣姿のカピバラン(人間形態)だった。彼には逃げ回っているという悲壮感がない。


「……」


 カピバランの隣では、浴衣姿にサングラスをかけたカワウソン(人間形態)が腕組みして座っている。ストリップ劇場に不似合いな雰囲気だが、カワウソンも男だから問題ない。


 さて、ステージに現れた長身で半裸の美人を見つめてカワウソンとカピバランの二人は驚いた。


 なぜならステージで艶かしい肢体をさらすのは、アニマトロンのビーバーン(人間形態)ではないか。


「……あれ? カワウソンとカピバランじゃん。生きてた?」


 ビーバーンはカピバランよりも能天気な性格をしているようだ。


「ていうか、お前何やってんだよ!」


 カピバランは期待を裏切られたので、少しキレ気味だ。


「んー、場末のストリッパー」


 火照った頬を両手でおさえ、ビーバーンは苦笑してうつむいた。カワウソンとカピバラン以外の客は、そのしぐさを「かわいい……」と思ったりした。


 なお、ビーバーンは♂型のアニマトロンである。


 女の姿をした「男の娘」なのだ。


 超アニマル生命体であるビーバーンは、♂でありながら♀の特徴も併せ持つ「ボクっ娘」なのだ。


「まあ、いいや! お前も生きてたか!」


「ボクは生きてるよー! 生きてるって最高だよー!」


 再会を喜びあうカピバランとビーバーン。二人は能天気で気まぐれなのが、よく似てる。


「姉ちゃん、早く脱げよ!」


 騒ぎ始めた他の客に混じり、カワウソンも怒りを露にしていた。



   **



 バレンタイン当日、レディー・ハロウィーンと双子の妹バレンタイン・エビルの戦いは終わった。


「年に一度の姉妹喧嘩ね」


「狩りの時間は終わった、また今度……ね」


 レディー・ハロウィーンとバレンタイン・エビルの二人は、また来年会う事を約束し別れた。


 欧州系の、色が白く線の細い二人が並んで立つと、非常に絵になる。


「ニャガニャガ~」


 バレンタイン・オメガーー彼こそが秘密結社「血のバレンタイン」総帥であるーーは、バレンタイン・エビルの失敗を特に気にした風でもない。


 バレンタインもハロウィンも、人々の笑顔にーー


 明日への活力に繋がればいいと思っているからだ。


 「完璧商人始祖パーフェクト・オリジン」の一人であるバレンタイン・オメガ、彼の究極の目的は人類の平和だ。


「さーて、銀マン(※サ〇タさんの本名)さんに私の愛を届けなくちゃー!」


 と、バレンタイン・オメガ(※男です)は空を飛んでサ〇タさんの元へ向かった。



   **



 白銀世界の真ん中に建つサ〇タさんのログハウス。


 その側にあるリングで、サ〇タさんはトナカイとスパーリングしていた。


「シャバババ~!」


 トナカイは一つ目で筋骨隆々たる体格だ。後ろ足で二足歩行可能な上に、頭部の角をプロペラのように回転させて敵を切り刻む事もできる。


「どうした、サ〇タさん! それでは兄貴に勝てんぞー!」


 トナカイ(なのか?)のガタイに似合わぬハイキックがサ〇タさんを襲う。


 荒削りながらも圧倒的なパワーを秘めたハイキックを、サ〇タさんは「パーフェクト・ディフェンダー」で受け止めた。


「ツアッー!」


 間髪入れず、サ〇タさんはトナカイ(なんだろうか?)に技をしかけた。


 一本の足で立っている状態のトナカイにぶち当たり、素早く組みつき、一本背負い投げでリングに叩きつける。


「むお……!」


 衝撃にリングが揺れ、そしてトナカイは悶絶した。


「まさか投げるとは……」


 トナカイはリングに倒れたまま、感心した。彼がハイキックを放ち、それをサ〇タさんがガードしーー


 そしてトナカイが右足を戻そうとする一瞬の隙に、サ〇タさんは組みつき、技をしかけたのだ。


 トナカイが一本足になっている寸秒の間を…… 


 「必殺の機」をとらえて技をしかけるなど、サ〇タさんはただ者ではない。


 それもそのはず、サ〇タさんは「完璧商人始祖」の一人であったからだ。


「サ〇タさーん!」


 と、そこへ目をハートにしたバレンタイン・オメガーー


 本名「精神マン」が夢見る乙女のごとく駆け寄ってくるので、サ〇タさんもトナカイ(多分違う)も顔を蒼白にした。


「ロングホーン・トレイーン!」


 サ〇タさんはトナカイと背中合わせになって担ぎ上げると、トナカイの角で精神マンを刺殺せんと駆け出した。




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