帝都を覆う混沌36 ~混沌(カオス)の侵食~
帝都を守る軍神スサノーは、混沌の闇の底に到着していた。
そこで見たのは、漆黒の闇の底から浮かび上がる巨大な龍ーー
「平衡の守護者」たる巨龍エブレスと並び称される存在ーー
暗黒龍メデュースだ。
“愚カナ人間ドモハ、我欲ノ故ニ自滅スルデアロウニ、汝ハナゼ戦ウノカ?”
メデュースはスサノーに問う。だがスサノーは迷う事なく光の剣をーー
父同然の天帝より授けられた光皇神剣を鞘から抜いた。
「それが俺の使命だからだ」
軍服姿のスサノーに一切の恐れも迷いもない。
スサノーは天帝によって創造された新造神ーー
人間の感覚に例えるならば、人造人間だ。
スサノーは帝都を守るために創造されたのだ。
故に彼は決して逃げず、あきらめることもない。
“ソレデコソ天道ナリ…… サア来イ、我ガ麗シノ闇へ”
メデュースの目が深紅に輝いた。
同時にスサノーが手にした光皇神剣も光を発した。
スサノーはメデュースへ突撃し光皇神剣で斬りつけたが、闇の力に弾かれた。
そしてメデュースの口からあふれた闇の吐息がスサノーに浴びせられた。
闇の力を秘めたメデュースの吐息によって、スサノーは一瞬にして腐汁と化した……
人智を越えた力を持ち、世の経済を司る存在ーー
人は彼らを「商人」と呼んだ。
その商人の神であった「ザ・漢」の元へ、正義マンは選ばれし者を連れてきた。
正義商人マッスル・スグル、その兄マッスル・アタルこと「兵」ーー そして兵のパートナーであるブロークンハート。
更にはオメガの頭領であるアリステラと、オメガの重鎮たる海賊マン。
敵対していた者達が、真の敵を前にして一致団結する……
それこそが平衡の守護者エブレスの説く、光と闇の調和であろうか。
「私が守りたかったのは…… こういう実りある未来であった……」
ザ・漢はマッスル・スグルらに、数億年前から続く真相を語りだした。
帝都にも再び混沌の波動が訪れた。
少女だった「ほむら」は混沌の波動によって少年の体を手に入れた。
「まどかー!」
「きゃー!」
少年の体を手に入れたほむらは、愛するまどかを追いかけ回す。
まどかは泣き叫びながら逃げる。
ほむらは遂に来たと感激していた。
愛するまどかに赤ちゃんを産んでもらうという悲願を達成する時が来たのだ。
「まーどーかー!」
凶相を浮かべてまどかを追うほむら。
なお、著名な「円環の理」の女神とは関係ない。同姓同名のよく似た他人である、念のため。
宇宙から来た超生命体アニマトロンとUMAトロン、彼らもまた混沌の波動を受けていた。
「滅殺!」
地球を守るアニマトロンのリーダー、カワウソンは混沌の波動に飲まれ、暗黒カワウソンと化していた。
「な、なんでだよカワウソン!」
アニマトロンの副官カピバランはカワウソンを説得しようとすらが拒絶された。
「リア充、爆発しろ……!」
「そんなんかい!」
カワウソンの悪に転じた理由はすこぶるシンプルであった。
これではカピバランの説得も通じるわけがない。
と、そこへ混沌の波動を浴びたUMAトロンのリーダー、カパーンが宙を飛んでやってきた。
カパーンは逆に悪から善に転じたのだ。
「たった一つの甲羅を割って! 生まれ変わった不死身のカッパ! カワウソどもを叩いて砕く! カパーンがやらねば誰がやる!」
カパーンは正義の戦士に生まれ変わっていた。
ーーもう帰りたい……
カピバランは泣き笑いの表情を浮かべ、深く慟哭した。




