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知多星ゴヨウ  作者: MIROKU
二年
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帝都を覆う混沌35 ~加護ありし者~



 そしてソンショウが印を結んで念じると、異空間より巨大な龍が召喚された。


 入雲龍のあだ名の示す通り、ソンショウは様々な龍を召喚、使役する。


 今、異空間より姿を現したのは、バハムートと呼ばれる巨龍であった。頭部だけで十メートルはある。


「焼き尽くせえ!」


 ソンショウの気合いの声と共に、バハムートは口から業火を吐き出した。


 無数の火炎弾が地平線の彼方をーー


 異形の巨体を群れごとギガフレアによって焼き尽くしていく。


「す、すげえ!」


「油断するな、まだ来るぞ!」


 少年が目を凝らせば、地平線の彼方よりまだまだ複数の巨体が現れた。


 ソンショウの召喚したバハムートのギガフレアも、戦術核以上の破壊力があるが、それでも足りぬ。



「わし一人では無理なのだ、皆が力を合わせるのだ。善と悪が、光と闇が、男と女が力を合わせぬ限り、あの星に未来はない」



 ソンショウの言葉を少年はどう受け止めたかーー


 周囲の武装した男女たちは、揃って地平線へ駆け出していく。


 混沌カオスの波動を拒み、未来のために死すと決意した者達の魂は、勇敢に病魔へと戦いを挑んでいく。



「……俺に武器を…… 武器をくれ!」



 少年はソンショウに告げた。


 先ほど異形の巨体に怯えていたとは思えぬ、恐れも迷いもない瞳の輝きであった。


 ソンショウはフッと笑った。


「いい目をしているな、ではこれが武徳の祖神の加護だ、受け取れ!」


 ソンショウは腰に差した剣を手渡した。少年は剣を抜いて異形の巨体の群れを見据えた。


「加護を受けたなら、簡単には死ねんぞ。相応しくあれ」


「はい、一秒でもやつらを食い止めます!」


「バカ、せめて十秒食い止めろ」


 ソンショウは言い、再び印を結んで龍を召喚せんとする。


 少年は他の者達に混じって、異形の巨体へーー


 病魔を討たんと駆け出した。

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