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知多星ゴヨウ  作者: MIROKU
二年
73/100

帝都を覆う混沌32 ~男は最高~





 鬼子母神様の館の前は騒がしい。


 仏法の守護者ーー少年?の阿修羅様をはじめ、韋駄天様や弁財天様のお姿もあるーーが召集され、今にも出陣しそうな勢いだからだ。


「ーーあら」


 鬼子母神様の胸元の装甲板が弾けた。


 これは鬼子母神様の胸が豊かすぎるために、後ろで鎧を繋ぐ紐が切れたのだ。


 天女らの一部は「少し分けてよ……」と顔を蒼白にしていたが、当の鬼子母神様は慌てた様子もない。


「全く、大きすぎるのも考えものじゃ…… ん?」


 鬼子母神様がふと気づけば、通りすがりの知多星ゴヨウと目があった。彼は顔を赤くしていた。鬼子母神様の胸の迫力を、目の当たりにしてしまったのだ。


「ご、ごめんなさあい! でも凄いのをありがとうございました!」


 ゴヨウは深々と勢いよく頭を下げた。


「そ、それはいいから、早く行け!」


 鬼子母神様も照れ臭くなり、ゴヨウを追い払った。


 百八の魔星の超時空要塞「梁山泊」の方へ駆けていくゴヨウを見送り、鬼子母神様はおつきの天女に声をかけた。


「あれは誰じゃ、存じておるか」


「い、今のは百八の魔星の軍師、ゴヨウ先生です」


 天女は鬼子母神様の背後で、鎧の紐を結びながら答えた。


「ほお、今のが知多星ゴヨウか? 役立たずと聞いていたが……」


 鬼子母神様はそう言って苦笑された。果たして意味があるのかどうか。





 ーー朝からなんてラッキースケベなんだ!


 ゴヨウは「梁山泊」へと駆けた。


 嬉しいやら恥ずかしいやら、鬼子母神様の豊かな胸を直視してしまった。


 ーーあの美しい方のためならば死ねる! 男って最高だ!


 ゴヨウは「火事場の馬鹿力マシーン」に飛びこみ、変身を開始した。


 円筒形の棺にも似た火事場の馬鹿力マシーンの中で、ゴヨウは変身を終える。


 最近このマシーンは、自動武装マシーン的な役割しか果たしていない。


 なぜならば、ゴヨウは自らの意思で、己の力を引き出せるようになってきたからだ。


 何のために生き、何のために死ぬのか。


 その答えが定まった時、ゴヨウは己の内に宇宙を感じた。


「準備完了!」


 武装を終えたゴヨウは、火事場の馬鹿力マシーンから飛び出した。


 腰には聖剣「花鳥風月」を差し、武装した今のゴヨウはまるで別人だ。


 そしてゴヨウは新たなる戦場へーー


 秘密兵器「ヘッドガン」なる戦車に乗りこみ、時空の裂け目、混沌カオスの中心へ出陣した!

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