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知多星ゴヨウ  作者: MIROKU
元年
7/100

超ロボット生命体、親子を守る



 バァン!と勢いよくドアを開いて出現したのは、頭部が馬で胴体が亀という奇妙な生物であった。


「馬ー亀ー!」


 バァン!と奇妙な生物はドアの向こうに引っ込み、姿を消した。



   *****



 昼の温泉宿に悲鳴が走った。


 駐車場で逃げ惑う人々の前に姿を現したのは、UMAトロンのバカメンだった。


「バーカメー!」


 八メートルを越える巨大な機械戦士形態へトランスフォームし、人間を見下すバカメン。


 元々はアニマトロン側であったが、地球へ来た時にスキャンに失敗し、馬と亀の両方の特徴をあわせ持つ奇妙な外見になってしまった。


 それゆえにアニマトロンの女性陣から嫌われ、やむなくUMAトロンに下ったバカメン。


 彼の今の目的は、地球政府と協力してのアニマトロン狩りだ。この温泉宿には大物が潜んでいたのだ。


 それはアニマトロン副官カピバランと、総司令官カワウソンであった。


「この卑小で非力な脊椎動物どもが!」


 バカメンは逃げ惑う内に倒れた親子を踏み潰さんと、右足を持ち上げた。


 その時だ、一台の車が狂ったような勢いで駐車場内に突入したのは。


「待ちやがれー!」


 突っ込んできた車は一瞬で機械戦士形態へ変形トランスフォームした。


「コノヤロー!」


 六メートルを越す機械戦士は、勢いを保ったまま側転し、更に後方宙返りをしてバカメンの頭上に襲いかかった。


 走ってきた勢いに、側転と宙返りの運動エネルギーを加えたヘッドプレスーー


 機械戦士の踏みつけ攻撃に、バカメンの頭部は轟音と共に、胴体に半ば埋まった。それほどの破壊力だった。


 バカメンに奇襲をしかけたのはアニマトロン副官のカピバランだ。


 カピバラは群れで行動するが、危険が迫った時、わざと敵に食べられる役を担う個体がいる。


 アナコンダなどを満腹にし、仲間や子供を逃がすためだ。


 そのような役割を担う個体がカピバラの群れにはいる。


 カピバランもまた、その精神性はカピバラに似た。


「お、おお……」


 バカメンの馬に似た頭部は、亀のような胴体に半ば埋まっている。激しく火花が散っていた。


「相手が悪かったな!」


 次いで場に現れた八メートルを越す機械戦士こそ、アニマトロン総司令官カワウソンだ。


 カワウソンは手にしたハイパーメガランチャーの引き金を引いた。


 一点に収束された光線がバカメンの心臓部を貫いた。バカメンは胸に大穴をうがち、そして前のめりに駐車場のアスファルトの上に倒れた。


 人々が恐怖と不安から立ち直った時には、カワウソンとカピバランの巨体は消えていた。正しく風のように現れ、風と共に去っていったのだ。



   *****



 バレンタイン当日、フランケン・ナースは頭部の電極を激しく点滅させながら、親友である異星人女戦士アナスタシアに手作りチョコレートを手渡した。


「あ、ありがと……」


 はにかむアナスタシア。彼女はフランケン・ナースとスキーに行った時、嫁に来い!と求婚していた。まだ返事はもらっていない。


「……アナスタシア、カナダに移住しましょう」


 フランケン・ナースはうつむきながら言った。


「え、カナダに移住? 旅行じゃなくて?」


 アナスタシアにはフランケン・ナースの意図がわからない。彼女はカナダでは同性婚が認められている事を知らぬのだ。


 宇宙の戦神と称される美しきアナスタシアも、宇宙全体よりも広くて深い女心に気づけるだろうか。女心こそ真のミステリーなのだ。



   *****



 再び馬と亀の融合した生物がドアを開いて姿を現した。


「まだだ、まだ終わらんよ! 次回はバレンタインの追憶編だよ!」


 奇妙な生物はドアの向こうに消えていた。



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