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知多星ゴヨウ  作者: MIROKU
二年
63/100

帝都を覆う混沌22 ~戦いの聖地へ~



「少しはね」


 ゴヨウは苦笑した。カーレルに褒められたような気がして、照れ臭かったというのもある。


「さ、まだまだ続きがあるぞ」


「ギャ……」


 ゴヨウは顔から血の気を引かせながら、開き直りの笑みを見せた。


 彼はすで体感時間で数億年の擬似体験を経ていたが、先はまだまだ長いのだ。


「せっかく、この星の命はここまで来たのだ。未来へ繋げなければならぬ。ゴヨウ、希望にあふれた未来の守護者ガーディアンと成れ」


 カーレルは言った。宇宙最古の生命体である「開拓者」の彼がゴヨウと遭遇したのは、道を示すためかもしれぬ。


「目に見えぬ道に従って、少年がやがては父親になるように…… ゴヨウよ、天の機を知れ」



   ******



 チョウガイは果てしない荒野へとたどり着いた。


 暗い空に草一つない枯れた大地。


 暗黒と静寂、命の気配なき寂寥の地。


 この地で秩序コスモ混沌カオスは四千年の間、戦いを繰り広げてきた。


 ここは大いなる「聖地」であり、戦場なのだ。


「む……」


 チョウガイが暗き空を見上げれば、そこには青い星が浮かんでいた。


 それは地球であった。


 ならば、この聖地とは月の表面なのか……


 次の瞬間、チョウガイは雷鳴のような轟音を聴いた。


 チョウガイは瞬時にゴヨウの荷物を地に落とし、黄金の剣を振るった。


 剣先からほとばしった閃光が闇を切り裂く。


 そしてチョウガイは見た。闇に浮かび上がる、輝く龍の姿を……


「ーー待ち詫びたぞ、チョウガイ」


 チョウガイの前方、数十メートルの大地に白い服をまとった人影が立っていた。


 その人影の右手には、一振りの剣が握られていた。


 人影は混沌カオスの重鎮、魔大公ネロであった。

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