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知多星ゴヨウ  作者: MIROKU
元年
6/100

アナスタシア、大輪の百合を咲かす



 レディー・ハロウィーンを襲う「血のバレンタイン」第二の刺客。


 それはレディー・ハロウィーンの双子の妹、バレンタイン・エビルであった。


 二人は先祖から伝わる「宇宙そら翔ける騎士」の装束をまとい、帝都上空にて戦いに臨んだ。


「ボォルッ!」


「テッカアアアッ!」


 両者は互いに、初手に最大最強の技を繰り出した。


 両肩から発射された粒子砲「ボルテッカ」の閃光が、帝都の夜空を昼のように照らし出す。





「バレンタインチョコはいかがですかー?」


 高き空の騒乱にかまわず、地上ではメイド喫茶の店頭でバレンタインチョコが販売されていた。


 メイド喫茶「ブレーメン・サンセット」の店員であるガーナクルズ、スージー、レイの三人は営業スマイルで道行く男女に呼びかける。


「今年こそは……!」


 身長193cmのブロンド美女ガーナクルズは拳を握りしめた。女のクリスマス(※推して知るべし)も近い彼女だ、今年こそは彼氏を!という野望に燃えていた。


「誰かあげる人いる?」


「んー、秘密ー」


 肌が白く華奢な体つきのそばかす少女スージーは、メガネをかけた黒髪三つ編み少女のレイとおしゃべりに熱が入る。


 吸血鬼の姫ペネロープに仕える狼女の彼女達は、人間世界を楽しんでいるようだ。


「あ、そこのお兄さん! チョコはいかがですかー!」


 ガーナクルズは殺気走った形相で道行く男性に声をかける。グラマーな高身長美人には違いないが、紅い唇は人を食ってきたような迫力があった。そのために、男達はみな血の気が引いた顔で足早に通りすぎていく。


「あー、なぜ! なぜなのよおー!」


 ガーナクルズの悲痛な叫びが帝都の夜空にこだまする。


 なお、ペネロープはとある男性を追って異世界転移したという。





 聖母様に仕える「戦乙女」らもメンバーが四人増え、なかなか賑わしい。


 実は密かに、敵対する「百八の魔星」の男性陣にチョコを渡そうと思っている者は、少なからずいた。


「まだ一週間あるよ~?」


「あと一週間しかないのよ!」


 戦乙女ミラクル(ギャグ担当の八頭身美人)と戦乙女マジカル(クールビューティーな外見のドジっ子)は、聖母様の宮殿の厨房で作業中だ。


 炎、光、轟音が厨房内に響き渡る。何を作ろうとしているかは謎だ。





「これを戦乙女ソードに届けてくれ」


「任せな!」


 時空要塞「梁山泊」では、天微星(全身に九つの龍の入れ墨を持つ十代後半のイケメン)が天速星(てんそくせい、四十前後のオッサン)に手紙を渡していた。


 左封じは果たし状ーー


 デートのお誘いであった。メールよりも手書きの手紙の方が、気持ちは伝わりやすいものだ。





 異星人女戦士アナスタシアは、フランケン・ナースと共に雪山にスキーに。


「どうしたの?」


 アナスタシアは部屋でスキーウェアを着こんでいたが、フランケン・ナースがなかなか準備が終わらない。


「き、きつくてジッパーが閉まらない……」


 フランケン・ナースの頭部の左右一対の電極が、焦りを示すようにピコンピコンと点滅している。どうやら彼女の胸が豊かすぎて、スキーウェアが着られぬらしい。


「……うわあー!」


 叫んでアナスタシアはフランケン・ナースの胸の谷間に顔を突っ込んだ。二人は仲が良いが、このような行為は初めてである。フランケン・ナースは戸惑うが、どうしようもできなかった。


「……ぶはあ!」


 アナスタシアはフランケン・ナースの胸の谷間から顔を上げた。精悍な美人であるアナスタシアの顔は、真っ赤に染まっていた。


「よ、嫁に来い!」


 アナスタシアはフランケン・ナースに告白した。フランケン・ナースの頭の電極は激しく点滅を繰り返していた。





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