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知多星ゴヨウ  作者: MIROKU
二年
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帝都を覆う混沌7 ~戦士の帰還~



 混沌カオスの尖兵らの脳裏に妄想が浮かんだ。


 聖なる闘衣ーーこれはギリシャ風ドレスのような美しいラインを持っていたーーに身を包んだバレンタイン・エビルを、金属製の触手が襲う……


 それはやはり18禁になるのではないだろうか。


 これが映像作品であるならば、お相撲さんの映像にでも差し替えておかねばならないのではなかろうか。


 なにぶん、某なろう作家は運営から二回、警告メールが来ている。


 もう一回やったら強制削除、あるいは強制退会=消滅ということになるのではないか。


「や、やめろおー!」


 青ざめた混沌カオスの尖兵らはライミーを止めようとするが、彼は止まらなかった。


 そしてバレンタイン・エビルもかまわなかった。


「バレンタイン・ボルト!」


 バレンタイン・エビルの右肩が光ったかと思うと、ライミーの胴体に風穴が生じていた。


 バレンタイン・エビルの放った光速拳ーー


 意識を集中したバレンタイン・エビルの、狙い澄ました右ストレートの衝撃波が、ライミーの胴体を打ち抜いたのだ。


「む、無念……」


 ライミーは地に倒れた。危うかった。18禁展開になったら、彼らまで消滅してしまう。


「あとは、あんた達よ!」


 バレンタイン・エビルの闘志が燃え上がった。


 我に返った混沌カオスの尖兵も、もはやこれまでとバレンタイン・エビルに殺到した。


「バレンタインの鈍色刃にぶいろやいば!」


 バレンタイン・エビルの放った光速の手刀が空を斬り裂いた。


 バレンタインチョコをないがしろにする者に下される、バレンタイン・エビルの裁きーー


 女の子から贈られたチョコを踏みにじる外道に突きつけられたナイフの刃。


 それを思わせるバレンタイン・エビルの必殺技に、混沌カオスの尖兵らは全員が斬り裂かれた。


「ふう…… ゴヨウ、早く帰ってきなさいよ」


 バレンタイン・エビルは夜空を見上げてつぶやいた。


 彼女の本来の使命であるバレンタインまで、もう日はないのだ。





 帝都に現れた混沌カオスの軍勢を蹴散らすのは、悪魔商人だ。


「ミキサー・ハリケーン!」


 悪魔商人の猛牛マンの突進によって、混沌カオスの兵はきりもみ回転しながら空中に舞い上がり、そして地に落ちた。


「空気手裏剣!」


 残忍者ザンニンジャの妙技、固めた空気で作った手裏剣が、連続で混沌カオスの尖兵に突き刺さった。


「マキマキ~!」


 チャイナドレス姿の麗しきミス・パーコーメンは、巨大な餃子の皮で混沌カオスの兵を包みこんで「餃子パッケージ」にしてしまった。


「さーて、男のエキスをいただくアルー!」


 ミス・パーコーメンは巨大なストローで餃子内の兵から男のエキスを吸い上げた。


 帝都では商人たちも熱き戦いに身を投じていたのだ。





 美しき花園に鮮血が散った。


 百八の魔星の守護神チョウガイは、足元に倒れた生物を冷酷に見下ろしていた。


 それは白く不定形な生物であった。


 その半分は、チョウガイの妹の姿に変身したままだ。


 この不定形生物は、獲物の心の中を探り、もっとも愛しい者の姿に変身して油断させ、そして狩るのだ。


 チョウガイも危うく狩られるところだった。


 だが、彼の心身に宿った荒ぶる「戦う魂」には不定形生物の罠も通じなかった。


混沌カオスよ……!」


 チョウガイは震える手で黄金の剣を握りしめた。彼の心中は様々な思いが渦巻いていた。


 最も強いのは怒りの感情であった。


「お前らはこのチョウガイの、最も大事なものを踏みにじった……! 混沌カオスもその野望も、俺が打ち砕いてやる!」


 百八の魔星の守護神チョウガイは、意識の虚無の中からよみがえった!

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