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知多星ゴヨウ  作者: MIROKU
二年
41/100

正義の顕現



 人知を越えた力を有し、人の世を見守ると共に、経済をも司る超越の存在……


 人は彼らを「正義商人」、「悪魔商人」、「完璧商人」と呼んだ……!



   **



 人の世にあふれた悪意。


 それは大魔王という形で具現化した。


 「完全被甲弾」とオメガの戦いの終了後に実体化した悪意は、ブロークンハートとマリキータを一蹴し、更にソルジャーとアリステラをも追い詰めた。


 疲労していたとはいえ、四人の商人を瞬く間に叩きのめした悪意の圧倒的な暴力。


 しかし、ソルジャーは尚も戦おうとする。


「相手が神であろうと悪魔であろうと関係ない!」


 ソルジャーは守るべきものを守るためなら、相手が誰でも戦うという意思を示した。


 それこそが愛と勇気の統合ーー


 慈愛の心なのだ。


 そしてソルジャーの覚悟は天をも動かした。


 絶体絶命の危機に天から声が響いてきたのだ。


“待て…………”


 それは高天原に天照大神が降り立ったようなーー


 あるいはイエスの降臨のごとき奇跡に等しかった。


 雲の裂け目から光と共に舞い降りて、ソルジャーらの危機を救わんと現れたのは裁きの神ーー


 市場経済における「神の見えざる手」である正義マンではないか。


 いや、これは当然の成り行きであった。


 なぜならば、悪を討つのは正義であるからだ。


 悪意の具現化した大魔王と戦うのは、正義という概念の体現にして守護者である正義マンが相応しい。


「そいつを討つのは我ら完璧商人始祖パーフェクト・オリジンの任務なのだ」


 正義マンはソルジャーらを逃がす。


 大魔王はそれを阻止しようとする。


 正義マンは大魔王の懐に踏みこんだ。


 大魔王の右腕を取ると、己の両腕を絡ませながら投げた。


 柔道における一本背負投だ。


「希望にあふれる未来の守護者だ!」


 正義マンは大魔王をリングに投げ落とした。


 見事な投げだが、それで勝敗は決まらない。


 立ち上がった大魔王の猛攻に、正義マンがなすすべなしーー


 そう思われた時、正義マンは不敵に笑った。


「こんなものか……」


 正義マンは気づいていた。


 この世の悪意が顕現した大魔王は、確かに強い。


 その悪意という暴力の前に、満身創痍だったとはいえソルジャーすら防戦一方であった。


 だが、それは軽いと正義マンは見切った。


 悪意の暴力は強くとも、命を懸けて戦う者には、もっと強い力が宿るのだ。


 先の戦いで散ったティーカップマンや、大魔王に一蹴されたブロークンハートも、実力の何倍もの力を発揮した。


 それに比べれば、正義マンには悪意の暴力など軽いものであった……



   **



「つ、続きはどうなるんだニャ……」


 猫格闘家のサモニャンは、手に汗を握って「キン肉ニャン」を読んでいた。


 この世にあふれた「悪意」と、慈愛の心から産まれた「正義」ーー


 二つの「概念」が顕現したキン肉ニャンは、神がかり的だと思った。

※なんだこれ。

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