正義の顕現
人知を越えた力を有し、人の世を見守ると共に、経済をも司る超越の存在……
人は彼らを「正義商人」、「悪魔商人」、「完璧商人」と呼んだ……!
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人の世にあふれた悪意。
それは大魔王という形で具現化した。
「完全被甲弾」とオメガの戦いの終了後に実体化した悪意は、ブロークンハートとマリキータを一蹴し、更に兵とアリステラをも追い詰めた。
疲労していたとはいえ、四人の商人を瞬く間に叩きのめした悪意の圧倒的な暴力。
しかし、兵は尚も戦おうとする。
「相手が神であろうと悪魔であろうと関係ない!」
兵は守るべきものを守るためなら、相手が誰でも戦うという意思を示した。
それこそが愛と勇気の統合ーー
慈愛の心なのだ。
そして兵の覚悟は天をも動かした。
絶体絶命の危機に天から声が響いてきたのだ。
“待て…………”
それは高天原に天照大神が降り立ったようなーー
あるいは主の降臨のごとき奇跡に等しかった。
雲の裂け目から光と共に舞い降りて、兵らの危機を救わんと現れたのは裁きの神ーー
市場経済における「神の見えざる手」である正義マンではないか。
いや、これは当然の成り行きであった。
なぜならば、悪を討つのは正義であるからだ。
悪意の具現化した大魔王と戦うのは、正義という概念の体現にして守護者である正義マンが相応しい。
「そいつを討つのは我ら完璧商人始祖の任務なのだ」
正義マンは兵らを逃がす。
大魔王はそれを阻止しようとする。
正義マンは大魔王の懐に踏みこんだ。
大魔王の右腕を取ると、己の両腕を絡ませながら投げた。
柔道における一本背負投だ。
「希望にあふれる未来の守護者だ!」
正義マンは大魔王をリングに投げ落とした。
見事な投げだが、それで勝敗は決まらない。
立ち上がった大魔王の猛攻に、正義マンがなすすべなしーー
そう思われた時、正義マンは不敵に笑った。
「こんなものか……」
正義マンは気づいていた。
この世の悪意が顕現した大魔王は、確かに強い。
その悪意という暴力の前に、満身創痍だったとはいえ兵すら防戦一方であった。
だが、それは軽いと正義マンは見切った。
悪意の暴力は強くとも、命を懸けて戦う者には、もっと強い力が宿るのだ。
先の戦いで散ったティーカップマンや、大魔王に一蹴されたブロークンハートも、実力の何倍もの力を発揮した。
それに比べれば、正義マンには悪意の暴力など軽いものであった……
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「つ、続きはどうなるんだニャ……」
猫格闘家のサモニャンは、手に汗を握って「キン肉ニャン」を読んでいた。
この世にあふれた「悪意」と、慈愛の心から産まれた「正義」ーー
二つの「概念」が顕現したキン肉ニャンは、神がかり的だと思った。
※なんだこれ。




