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知多星ゴヨウ  作者: MIROKU
元年
33/100

聖夜の超人決戦

 人知を越えた力を有し、世の経済を支配する超越の存在……


 人は彼らを「正義商人」、「悪魔商人」、「完璧商人」などと呼んだ……!





 クリスマスイブにサンタさんと暗黒ブラックサンタは対決した。


 サンタさんの正体は完璧商人始祖の白銀マンである。


 そして暗黒サンタの正体は、完璧商人始祖にして白銀マンの実兄、黄金マンである。


「世界中の子どもを祝福したい」


 それが白銀マンの主張だ。分け隔てなく子どもを祝福するべきだと。


「選ばれし者にこそ祝福がある」


 と主張するのは黄金マンだ。己が未来に確かな目標を持つ者にこそ祝福が与えられると。


「衝突は避けられぬなゴールド、シルバー」


 市場経済における「神の見えざる手」であり、闘争の「裁きの神」である正義マンがレフェリーとなり、黄金マンと白銀マンの対決は始まった。


「ニャガニャガー、白銀マンさーん!」


 サンタさんに生暖かい声援を送るのは、「バレンタインの守護神」の座を養娘に譲った精神マンであった。


 こうして三大イベントの一つハロウィンはレディー・ハロウィーンがーー


 バレンタインは、レディー・ハロウィーンの双子の妹バレンタイン・エビルが司るようになった。


 双子の姉妹によってハロウィンとバレンタインが支配され、クリスマスは兄弟によって支配されるとは。


 この世は実に面白い。


「行けー、白銀マン!」


 リングの外からサンタさんを応援する「一つ目のトナカイ」こと眼マン。


 暗黒サンタの戦いを見守るのは、世界の鶏肉市場を司る完璧商人始祖・鴉マンと、悪魔商人にして商人血盟軍の一人・残忍者ザンニンジャ……


 他に猛牛マン、ミス・パーコーメン、阿修羅マンといった悪魔商人たちであった。


「ツアー!」


 白銀マンは得意のパーフェクトディフェンダーで黄金マンのミドルキックを受け止め、弾き返し、更にエルボースマッシュで反撃に出る。


 黄金マンはそれを受け止めるや、白銀マンをつかみあげて、ボディスラムでリングに叩きつけた。


 白銀マンはすぐさま立ち上がり、黄金マンをロープに振った。


 返ってきた黄金マンへ白銀マンは左腕のシールドでぶち当たる。


 が、黄金マンはすぐさま体を軟体化させて、白銀マンの攻撃を受け流した。


 更に黄金マンは白銀マンの首に己が両足を絡ませて、ヘッドシザースで投げた。


 ダダアン!とリングが揺れた。


 黄金マンも白銀マンもすぐさま立ち上がり、リング中央で対峙した。


 二人の金属じみたおもてには、充実の笑みが浮かんでいる……


 兄弟揃って、互いに互いを最大の難敵と認めあっているのだ。


 尚も続いた熱き戦いには、商人の神である「ザ・漢」も言葉を失った。


「グロロロオ~……」


 ザ・漢は目元を拭った。彼が望んでいたのは、このようなものではなかったか。


 愚かさゆえに絶滅させられそうになった商人だが、運命は味方した。


 商人は数億年の時を経てなお健在であり、そしてその魂を輝かせている。


 黄金マンにいたっては、ザ・漢を倒し、彼を隠居に追い込んでいる。


 ザ・漢は望んでいた光景を目の当たりにし、魂の慟哭を抑えきれぬ。


 商人は素晴らしい。


 戦う魂は永遠の形――


 信じた道の正しさを黄金マンと白銀マンは証明した。


 ザ・漢はそれに感動したのだ。


「将軍様ー!」


 猛牛マンの声援に力を沸かせた黄金マンは、ラリアットで白銀マンをガードごと吹き飛ばした。


「サンタさーん!」


 精神マンの(少々気色悪い)声援に、白銀マンは無心の力を発揮し――


 黄金マンの眼前に踏みこみ、タックルして捕らえた。


 そしてブリッジの勢いで、黄金マンを宙高く浮かせた。


「こ、この技は……!」


 黄金マンは空中でうめく。白銀マンも跳躍し、ブリッジの連続で黄金マンを空へと放り上げていく。


 これは白銀マン最大の必殺技「尊大なる閃光」へのプレリュードではないか。


「よくぞここまで……!」


 窮地に陥った黄金マンだが、彼は満足していた。


 ザ・漢も黄金マンの成長と、自身の敗北を心地よく受け入れた。


 そのザ・漢の気持ちが、今の黄金マンにはよくわかる。


 弟の白銀マンは、兄である黄金マンを越えようとしているのだ。


「ツアー!」


 白銀マンは空中で黄金マンを複雑な固め技にとらえた!


「こ、これは!」


「『尊大なる閃光』ではない!」


「あ、あれは『筋肉の閃光』だー!」


 白銀マンは黄金マンに最大の慈悲たる技、自身の目指した理想である『筋肉の閃光』をしかけていた。





 黄金マンと白銀マン、二人の祝福が世界中を包んでいった。

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