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知多星ゴヨウ  作者: MIROKU
元年
31/100

宇宙を破壊する者

 ゴヨウは夢を見ていた。


 広大なる闇とおぼしき場所で、彼は無数の光点が生じては消えていく光景を眺めていた。


 それは宇宙が少しずつ崩壊していく様子であった。


 生じた光点が消えていくのは、産まれた命が消滅していく様子だった。


 今この瞬間にも、億も兆も越えた数えきれぬ命が消えていっているのだ。


 かつて「百八の魔星」の神であるチョウガイは言った。


 この宇宙のいたるところで大破壊が起きていると。


「あああ……」


 ゴヨウは無数の命が消失していくのを知った。


 この宇宙の崩壊を止める事ができない悲しみを感じて、彼の魂は萎縮していた。


 そして見た。


 闇の中に現れた巨大な人影を。


 それこそが「宇宙を破壊する者」であった。


 生を憎む存在であった。


 その「宇宙を破壊する者」が、ゴヨウを観察しているのを感じた。


 ゴヨウは蛇ににらまれた蛙のごとしだ。彼の魂は恐怖し、萎縮し、怯えていた…………


「怯むな!」


 その声は「百八の魔星」の守護神、チョウガイの声であった。


 次の瞬間には、黄金の光が闇を切り裂いていた。


 大海が割れるがごとく闇は切り裂かれ、変わって温かな光が満ちていく。


「チョウガイ……様」


 ゴヨウは守護神チョウガイを見た。


 チョウガイは凛々しい若者の姿であり、手にした黄金の剣を構えて、巨大な人影を見据えていた。


 恐れも迷いもない、力強い眼光であった。


 チョウガイの一喝によってゴヨウは己を取り戻し、右手に出現させた莫邪宝剣ばくやほうけんを巨大な人影めがけて投げつけた。


 莫邪宝剣は持ち主の魂を力に代えて敵を斬る。


 今この時も、ゴヨウの魂を力に変えた莫邪宝剣は、巨大な人影の左胸へと飛んでいった。


“……ふふふ”


 巨大な人影は笑ったようだった。今やゴヨウの周囲は光に満ちていたが、巨大な人影は変わらぬ闇をまとっていた。


“なかなか面白い……”


 巨大な人影は消えた。


 ゴヨウはただ一手に全身全霊をこめた反動で意識が遠のいていく。


 夢の中で意識を失うというのも、妙な話ではあるがーー


「よくやったぞ、ゴヨウ」


 チョウガイの声は、まるで父親のような威厳に満ちていた。





 翌日の事である。ゴヨウはサポートロボットのチョウガイに、夢の内容を話した。


「わしからは何も言わぬ……が。九回裏で2アウト、3ボールでもわしはまだバッターボックスに立てる。ただ一手に全身全霊を注げ」


 今日のチョウガイは厳かであった。


 いや、ゴヨウといると威厳がはがれてしまうのだ。


 なぜかはわからない、ゴヨウが役立たずの「ゴヨウ先生」だからだろうか。


 さて、ゴヨウとチョウガイは黄巾力士ロボットの格納庫に来ていた。


 無数の黄巾力士は、外宇宙からの脅威と戦うために造り出されたのだという。


「つまり…… 宇宙怪獣軍団と戦うために!」


「違ーう!」


 ゴヨウと一緒にいると、ツッコミの絶えぬチョウガイであった。

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