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知多星ゴヨウ  作者: MIROKU
元年
23/100

ゴヨウ先生、宇宙の意思を感知す



 知多星ゴヨウは夢を見た。


 それは美しい女性が土をこねて、人の形にしーー


 命を吹きこむと、その土の人形ひとがたは肉ある身となって、台の上に立ち上がったのである。


 まるで母親と幼い息子のやり取りを見るようだった。


「ただ、それだけなんだけどさ」


 ゴヨウは百八の魔星の神、チョウガイに告げた。


“……それは宇宙の意思たる天なる母ではないか”


 チョウガイは言った。


 この宇宙を造った存在は女の超神であると。


「そうなんだ、天帝様じゃないのか」


“……天帝様より上位の存在だ。噂にしか聞いた事がないが…… なんでお前に存在を匂わせるかな”


 まあ、そんな事がありーー


 バレンタイン・エビルと待ち合わせしていたゴヨウは、出かける事にした(能天気100%)。


 途中、レディー・ハロウィーンが外出しているのに遭遇し、彼は駆け寄った。


 レディー・ハロウィーンはバレンタイン・エビルの双子の姉だ。バレンタイン・エビルがロングヘアーに対して、レディー・ハロウィーンがショートヘアーという事をのぞけば、ほとんど瓜二つだ。


「ショートヘアーも似合うねー!」


 ゴヨウはレディー・ハロウィーンに駆け寄っていった。彼はショートヘアーが好みだったから、バレンタイン・エビルが髪型を変えたのだとはしゃいでしまったのだ。


「な、何よ、アンタ!」


 レディー・ハロウィーンは右フックでゴヨウを殴り飛ばした。彼女は男が大嫌いだから、ナンパしてくる者には問答無用で鉄拳制裁だ。


「に、似合うよー! 綺麗だよー!」


 奥歯をへし折られたゴヨウは訳がわからないながらも、必死でレディー・ハロウィーンに向かっていった。


(なんか嫌われるような事したっけ!?)


 その疑念がゴヨウを必死にさせる。彼とて好きな相手に嫌われたくはない。それゆえの果敢なアタックだ。夏にはバレンタイン・エビルをプールに誘おうと思っていた。


 ーー彼女の水着姿が見られるなら死ねる!


 ゴヨウの必死の一念だが、人違いのレディー・ハロウィーンには通じない。


「な、何よ! しつこいわね!」


「俺と一緒にプールに行こうー! 海でもいいー!」


 人違いから始まった二人の喜劇的やり取りを、これまた通りすがりの天殺星リッキーと天威星コーエンの美女が目撃した。


「おおー、ゴヨウ先生が女を口説いている!」


「い、いつの間にこんなに立派になって……」


 ゴヨウの姉貴分であるリッキーとコーエンは、ゴヨウの甲斐性が微笑ましかった。


 正義商人ブロークンハートのように、己より強い者に立ち向かう気概こそ、男の甲斐性なのだ。


「負けんじゃねーぞー!」


「骨は拾ってあげるわー!」


 ワイルドな美女リッキーと、和服姿の美女コーエンの声援を受けて、ゴヨウは無我夢中でレディー・ハロウィーンに挑んでいく。


「プールがダメならキャンプ場とか!」


「うっさーい!」


 レディー・ハロウィーンの肘打ちに、ゴヨウは遂にダウンした。


 1ラウンド、2:37秒の出来事だった。


 こんなダメな男ゴヨウだが、彼は天母の存在を朧気ながら感知した。


 何が起きるかわからない。戦いはまだ続くのだ。

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