フランケン・ナース、水着姿を披露す
サモニャンは遂に決意した。
彼は正義商人ブロークンハートのファンだ。
そのブロークンハートが伝説の商人、兵とタッグチーム「完全被甲弾」を結成し、商人界の未来を賭けた世紀の一戦に臨むのだ。
これを見ずして何が♂猫か、二次元の世界で間近で試合を観戦できたら本望ではないか。
だからサモニャンは悪魔♀猫のアンドロメダにお願いしようとしたがーー
「ウニャ、ウニャ……」
サモニャンに振り返ったアンドロメダは泣いていた。サモニャンは目を丸くして驚いた。
「オ、♂猫は…… ♀猫の事なんか放って、自分の事だけ考えていればいいと思ってるのかニャー!」
アンドロメダは部屋を飛び出した。彼女自慢の優雅なしっぽも、今は悲しみに力なく垂れていた。
「ま、待つんだニャー!」
サモニャンはアンドロメダを追いかけた。
自分の魂を狙う悪魔♀猫にして居候。
そう思っていたアンドロメダが、いつから心の中の大半を占めていた事か。
「待つんだニャー、アンドロメダ!」
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「いつから『燃えよサモニャン』はお昼のドラマになったんだよ!」
テレビの前でゴヨウはツッコミを入れた。
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ここは「地獄の女囚コマンドサンボvsアナコンダ」のオーディション会場だ。
受付には七郎、いや十兵衛さんと乱丸(蘭丸)がいた。暑いのによくがんばる。
女囚役のオーディションを受けに来る者を待っているのだが、全く来ない。
正義商人のレディー・ハロウィーン、双子の妹バレンタイン・エビル、そして侍女のフランケン・ナースあたりが来る事を期待していた十兵衛さんだが、人気ヒロイン三人組は、夏の魔物とーー
「夏の誘惑」との戦いを控えていた。「夏の誘惑」の正体は完璧商人始祖の一人、幻影マンだ。ただで済む相手ではない。
「だーれも来ねえ~……」
十兵衛(cv:子安武人)さんはペットボトルのお茶を飲む。受付机はテントの日陰の下だが、やはり暑い。ペットボトルのお茶はとっくにぬるくなっていた。
「……暑い」
乱丸は眉間にしわ寄せた。彼もせっかく短期集中連載が始まろうとしていたのに、イメージがぶっ飛んでしまったとの事だ。どうするのか。
「俺も練磨、練磨とそればかりしたいわけではないのだよ」
十兵衛は苦笑した。彼も一度目標を決めると思考が直線的になってしまうが、生来の女好きまで失われるわけではない。
さて、十兵衛と乱丸がオーディション会場の受付をしていた頃、渚のビーチでは……
「おお~……」
人々は細く洗練された肢体をビキニに包むレディー・ハロウィーンの姿に見とれていた。ただ彼女は無愛想なのが残念だ。
「うおお~……」
バレンタイン・エビルはセパレート水着だ。レディー・ハロウィーンと双子だけあって瓜二つであり、違いは髪の長さだろうか。バレンタイン・エビルはロングヘアーであった。
そんな彼女は少々恥ずかしげだ。それが男女の胸をときめかせた。
「ふおおお~……」
長身にして巨乳のフランケン・ナースの大胆マイクロビキニに声も出ない。
はにかむフランケン・ナース。彼女はわがままな主二人の命で、こんな肌の露出の多い水着で人前に出るとは……
「我が生涯に一片の悔いなし!」
ラオ○のセリフを吐いて立ち往生したのは、「夏の誘惑」であった。
彼はフランケン・ナースの巨乳に戦わずして負けた。なにそれ。




