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知多星ゴヨウ  作者: MIROKU
元年
22/100

フランケン・ナース、水着姿を披露す


 サモニャンは遂に決意した。


 彼は正義商人ブロークンハートのファンだ。


 そのブロークンハートが伝説の商人、ソルジャーとタッグチーム「完全被甲弾」を結成し、商人界の未来を賭けた世紀の一戦に臨むのだ。


 これを見ずして何が♂猫か、二次元の世界で間近で試合を観戦できたら本望ではないか。


 だからサモニャンは悪魔♀猫のアンドロメダにお願いしようとしたがーー


「ウニャ、ウニャ……」


 サモニャンに振り返ったアンドロメダは泣いていた。サモニャンは目を丸くして驚いた。


「オ、♂猫は…… ♀猫の事なんか放って、自分の事だけ考えていればいいと思ってるのかニャー!」


 アンドロメダは部屋を飛び出した。彼女自慢の優雅なしっぽも、今は悲しみに力なく垂れていた。


「ま、待つんだニャー!」


 サモニャンはアンドロメダを追いかけた。


 自分の魂を狙う悪魔♀猫にして居候。


 そう思っていたアンドロメダが、いつから心の中の大半を占めていた事か。


「待つんだニャー、アンドロメダ!」



   **



「いつから『燃えよサモニャン』はお昼のドラマになったんだよ!」


 テレビの前でゴヨウはツッコミを入れた。



   **



 ここは「地獄の女囚コマンドサンボvsアナコンダ」のオーディション会場だ。


 受付には七郎、いや十兵衛さんと乱丸(蘭丸)がいた。暑いのによくがんばる。


 女囚役のオーディションを受けに来る者を待っているのだが、全く来ない。


 正義商人のレディー・ハロウィーン、双子の妹バレンタイン・エビル、そして侍女のフランケン・ナースあたりが来る事を期待していた十兵衛さんだが、人気ヒロイン三人組は、夏の魔物とーー


 「夏の誘惑サマーテンプテーション)」との戦いを控えていた。「夏の誘惑サマーテンプテーション)」の正体は完璧商人始祖オリジンの一人、幻影マンだ。ただで済む相手ではない。


「だーれも来ねえ~……」


 十兵衛(cv:子安武人)さんはペットボトルのお茶を飲む。受付机はテントの日陰の下だが、やはり暑い。ペットボトルのお茶はとっくにぬるくなっていた。


「……暑い」


 乱丸は眉間にしわ寄せた。彼もせっかく短期集中連載が始まろうとしていたのに、イメージがぶっ飛んでしまったとの事だ。どうするのか。


「俺も練磨、練磨とそればかりしたいわけではないのだよ」


 十兵衛は苦笑した。彼も一度目標を決めると思考が直線的になってしまうが、生来の女好きまで失われるわけではない。


 さて、十兵衛と乱丸がオーディション会場の受付をしていた頃、渚のビーチでは……


「おお~……」


 人々は細く洗練された肢体をビキニに包むレディー・ハロウィーンの姿に見とれていた。ただ彼女は無愛想なのが残念だ。


「うおお~……」


 バレンタイン・エビルはセパレート水着だ。レディー・ハロウィーンと双子だけあって瓜二つであり、違いは髪の長さだろうか。バレンタイン・エビルはロングヘアーであった。


 そんな彼女は少々恥ずかしげだ。それが男女の胸をときめかせた。


「ふおおお~……」


 長身にして巨乳のフランケン・ナースの大胆マイクロビキニに声も出ない。


 はにかむフランケン・ナース。彼女はわがままな主二人の命で、こんな肌の露出の多い水着で人前に出るとは……


「我が生涯に一片の悔いなし!」


 ラオ○のセリフを吐いて立ち往生したのは、「夏の誘惑サマーテンプテーション)」であった。


 彼はフランケン・ナースの巨乳に戦わずして負けた。なにそれ。

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