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知多星ゴヨウ  作者: MIROKU
元年
15/100

サモニャン、再度リングに立つ

 サモニャン、リングに立つ。


 その顔は盛りのついた雄猫のごとし、今夜の勝負に怯む心なし。


 カァーン!


 ゴングと共にサモニャンは対戦猫に攻めこんだ。右ネコパンチからの左ネコパンチ、そして


『で、出たあー!』


 キャット空中三回転からのボディープレスで対戦猫をKOした。


『おそるべしサモニャン! 今宵も1ラウンドKOを達成! そのおもては…… 怒りのタフニャンだー!』


 猫プロレス会場は騒乱のるつぼとなり、今宵はお開きとなった。





「ニャニャニャニャニャ……!」


 マンションの自室に戻ってきたサモニャンは、柱に爪を食い込ませて爪とぎを始めました。


「おっかえり~ニャン」


 サモニャンを出迎えたのは、居候の悪魔♀猫アンドロメダでした。


 アンドロメダは自慢のしっぽを左右に揺らしながら、寝転んでマンガを読んでいました。


「『八◯くんの家庭の事情』と『鬼◯丸』って同じ作者さんだニャ~ ギャグもシリアスもできる人ってすごいニャ~」


 アンドロメダはサモニャンにかまいません。アンドロメダはサモニャンの魂を狙っている悪魔♀猫ですから、家事など一切するわけがありません。


「ウニャ~……!」


 サモニャン、うなる。


 爪とぎどころか、爪がはがれそうなほど。


 サモニャンの怒りというか憂鬱は、己の願いに対してでした。


 アンドロメダは魂をくれたら、サモニャン憧れの二次元世界に連れていってやると言いました。


 悪魔♀猫ですから、本当かどうかはわかりません。魂を奪われて終わりかもしれません。


 それでも悩むサモニャンです。好きな作品の世界へ、憧れのキャラの側へ。


 誰でも一度は考える事を、実現させると言われたら?


 サモニャンは大いに悩みます。


 そして、その憂鬱が爆発力となってサモニャンは連戦連勝なのです。いかがなものでしょう。


「ねえー、『通常○撃が二回攻撃で全体◯撃~』なんだけどさー、八神くんの影響受けてんじゃないの?」


 アンドロメダは優雅なしっぽをフリフリします。


「知るかニャー!」


 家事を一切しないアンドロメダへの怒りを募らせつつ、サモニャンは夕飯のチャーハンを作るのでした。

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