サモニャン、再度リングに立つ
サモニャン、リングに立つ。
その顔は盛りのついた雄猫のごとし、今夜の勝負に怯む心なし。
カァーン!
ゴングと共にサモニャンは対戦猫に攻めこんだ。右ネコパンチからの左ネコパンチ、そして
『で、出たあー!』
キャット空中三回転からのボディープレスで対戦猫をKOした。
『おそるべしサモニャン! 今宵も1ラウンドKOを達成! その面は…… 怒りのタフニャンだー!』
猫プロレス会場は騒乱のるつぼとなり、今宵はお開きとなった。
「ニャニャニャニャニャ……!」
マンションの自室に戻ってきたサモニャンは、柱に爪を食い込ませて爪とぎを始めました。
「おっかえり~ニャン」
サモニャンを出迎えたのは、居候の悪魔♀猫アンドロメダでした。
アンドロメダは自慢のしっぽを左右に揺らしながら、寝転んでマンガを読んでいました。
「『八◯くんの家庭の事情』と『鬼◯丸』って同じ作者さんだニャ~ ギャグもシリアスもできる人ってすごいニャ~」
アンドロメダはサモニャンにかまいません。アンドロメダはサモニャンの魂を狙っている悪魔♀猫ですから、家事など一切するわけがありません。
「ウニャ~……!」
サモニャン、うなる。
爪とぎどころか、爪がはがれそうなほど。
サモニャンの怒りというか憂鬱は、己の願いに対してでした。
アンドロメダは魂をくれたら、サモニャン憧れの二次元世界に連れていってやると言いました。
悪魔♀猫ですから、本当かどうかはわかりません。魂を奪われて終わりかもしれません。
それでも悩むサモニャンです。好きな作品の世界へ、憧れのキャラの側へ。
誰でも一度は考える事を、実現させると言われたら?
サモニャンは大いに悩みます。
そして、その憂鬱が爆発力となってサモニャンは連戦連勝なのです。いかがなものでしょう。
「ねえー、『通常○撃が二回攻撃で全体◯撃~』なんだけどさー、八神くんの影響受けてんじゃないの?」
アンドロメダは優雅なしっぽをフリフリします。
「知るかニャー!」
家事を一切しないアンドロメダへの怒りを募らせつつ、サモニャンは夕飯のチャーハンを作るのでした。




