表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
知多星ゴヨウ  作者: MIROKU
元年
10/100

百八の魔星、決死を覚悟す



 時空要塞「梁山泊」の司令室に緊張が走った。


 宇宙の彼方に敵を発見したからだ。


 モニターに映し出された映像に、天魁星らは絶句した。


 宇宙の果てまでを埋め尽くさんとするほどの大軍ーー


 宇宙戦艦が数百以上も映っているではないか。


「外宇宙からの侵略者…… ですかな」


 厳かに告げたのは天機星だ。居並ぶ勇士らも緊張の表情である。


「どうするんだ?」


 天暗星は腰の剣の柄に手を添えながら言った。もちろん主である天魁星に尋ねたのだ。


「ーー梁山泊、前進じゃ」


 天魁星は静かに言った。普段はおちゃらけた彼女も、いざとなれば肚を据える。


 天魁星は勝ち目のない戦いに挑もうというのだ。


「それでこそ我が主! 先鋒はぜひ自分に!」


 声に喜びを秘めて、天空星が言った。かつては軍人として愚直なまでに民を守ってきたが、軍の上層部は彼に責を押しつけて処刑しようとした。


「こりゃあ最高の戦いになりそうだぜ……」


 凄絶な笑みを浮かべる天暗星。彼は倍率数百倍の試験に合格したエリートだが、同僚に妬まれ、上司に疎まれた挙げ句に処刑されそうになった。天暗星は死に場所を求めていた。


「酔いが醒めたな」


 天雄星もまた静かな面に不屈の闘志を浮かべ、モニターを見つめていた。


 元八十万天軍槍棒師範という輝かしい経歴を持つ彼だが、親友に裏切られ、妻は凌辱されそうになったので自害した。


 絶望の果てに百八の魔星の一人となった天雄星もまた、華々しい最期を飾る事を望んでいた。


「ーーうむ、行くぞ!」


 天魁星は不敵な笑みを浮かべて妹の地魁星に命を下す。時空要塞「梁山泊」は、堂々と帝都の空へ浮かび上がり、宇宙へと飛び立った。


「わらわは、わらわの旗の下に生きるのよ……」


 天魁星は小さくつぶやいた。彼女の旗印は「義」である。


 義とは羊の我と書く。


 大人しそうに見えても、いざとなれば、家族や仲間を守るために、己を省みずに敵に向かっていくものだ。


 「百八の魔星」を乗せた時空要塞「梁山泊」は、ゆっくりと、だが確実に戦場へと向かっていった……



   *****



 悲壮感(男のロマン?)漂う展開だったが、宇宙から来たのは、異星人アナスタシアらの一族であった。


 五千年ほど前にアナスタシアらと袂を分かった、同族なのだという。


“え、この星の男と私達、子供できるの?”


「できるわよー」


 アナスタシアは明るく軽く答えたので、数百の宇宙戦艦は、この星のあちこちに不時着した。子孫繁栄のために……


「いまいち決まりませんでしたね~」


 天機星「知多星」ゴヨウは膝を叩いて大笑いした。


 天魁星らは、なんとなく恥ずかしくなったので、みんなでボーリングとカラオケに出かけたのでした。めでたし、めでたし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ