第6話 なんか、盗賊に襲われた
「ああ、でも少し待って。馬車を停めてから...」
そう言いながら、馬車を停めて外に出ると、丁度林道だったため、多少暴れても問題ないだろう。
「お、ここなら暴れても大丈夫だな」
「多少暴れても、ですよカエデ」
「さぁ、2人ともどっからでもかかってこ、い?」
あれ?何か茂みから光る物が見え、瞬間その矢(光る物)が俺に向かって飛来する。
ドスッ
鈍い音と共に外れた矢が馬車に刺さる。
あれ、明らかに俺を狙ってたよな。
「ちっ!外したか...」
茂みから出てきた男はナイフを腰に吊り下げ悪人顔、いかにも盗賊だった。
「おい!そこの男」
盗賊が俺に向かって話かける。
「えーと、俺?」
「いやいや兄さんじゃなくて俺だろ」
「いえいえ、多分私のことかと」
明らかに、俺を指指してたのに、カエデと姫様も反応する。
「い、いや、青い着物のやつだ」
「あっ、私ですか?青色の紋様が付いてますし」
「…姫様、最初にそこの男と言ってましたので、姫様では無いかと」
何故か、滅茶苦茶、尊敬語?謙譲語?……セバスチャン語となった。
「…そうだ、貴様らは包囲されている。大人しく馬車を置いて失せろ、命だけは助けてやる」
おお、盗賊の常套句だ。しかも包囲されているとは、ある程度組織化されているな。
「いやいや、何処が包囲してんだよ。何処にもいねぇじゃねぇか、ナイフごときでビビると思うなよ、三流」
カエデが盗賊1号に啖呵を切る。
おお、盗賊1号が青筋浮かべてる。
「バカにしやがって。お前ら芝居は終わりだ!蹂躙しろ!」
その盗賊1号の掛け声とともに姿を表す2~20号。
「いや、多すぎだって、皆暇人つーか、そんなに働きたくないの?怠惰なの!?」
俺のツッコミはスルーされ、代わりに俺たちに殺到する1~20号。
「おら、てめぇら皆殺しにしろ!」
殺到する1~20号、それは不可避なる終わりの様な―。
「...なーんてね!」
瞬間、ジンベイの胸元から取り出した針が2~20号に突き刺さる、がそれ自体の殺傷能力は低い。
だが、
「刺さればいいんだよ。くらえ、<インビジブル・ペネトレイター>」
その技名が紡がれたとき、針を刺された所から半径5cm程度の円を含む部分が唐突に消えた。
静寂、そして盗賊たちの脳が現状を認識し、
「ぐあああああ、あ、足があああ!」
「腕、お、俺の腕ぇ」
「は、腹が、はらがっ」
俺はそんな阿鼻叫喚を無視して、盗賊1号に歩を進める。
「な、何が、お、おお起こっている...?」
「...いやー、俺はね、能力値が平均なんだ。だから、弟にも姫様にも基本性能は全く敵わない、だから、必然的にスキルをいかに巧く使うかを考えてきた」
このスキルの元は、消費魔力10だった物質・人員派遣・取り寄せの劣化版だ。
消費魔力2で、むしろ使い勝手が良くなった気がするけど。
「まぁ、俺もそれなりに頑張ってさ今の魔力容量は60まで上がったんだ、
それでも中の上くらいだけどね。...とりあえずあんたらは警備隊に部位損失状態で引き渡す」
そうして、盗賊騒動は終わった。
俺たちは、盗賊を引き渡すため、近場の街アルクロン共和国の街の1つ港湾都市へと向かった。
薄々気づいた人もいるかと思いますが、この主人公チートスキルが本人の性能が低いため、タイトルを見れば分かる通り本領発揮出来ないため、結構ぼろぞうk、ごほん、かなりぼろぼろになります。
チートスキル持ってるのに...的な、新たなジャンルです。(深夜テンション)...次回も見て欲しいです。