第3話 年齢制限解禁(パート1)
「行ってきまーす」
翌日、俺は付近の林へと行き、早速<提督>スキルを使ってみた。
4歳になり、まともな衣服を着るようになると、ここの場合文化は東洋系らしく、
俺の今の格好は藍色のジンベイと呼ばれる着物の一種だ。
「(ベージュのコートが合わない文化なんだよなぁ、いつか西洋系の都市に行きたい)」
やはり、現状使用可能なのは、武器改修や仲間の潜在能力見極め・引き出しだけだ、と思ったが
「あれ?何か増えてる、えーと物質・人員派遣・取り寄せ?と……はぁ、また年齢制限かよ……」
詳しく調べるとそれは、一度でも行ったことがある場所、または正確な座標を設定することで対象を移動させることが出来る、という能力だった。
年齢制限は第2段階と表示され、14歳までかかっていた。
「あと何段階なんだよ……」
と、少し愚痴ったが、それはともかく!
魔力の消費も10、魔力の容量が少ない俺でも3回使うことができ、
さらに、驚くべきことに、一度にどれだけ移動させても消費魔力量は変わらない。
「うわぁ…なんか、ザ規格外って感じ」
いつもやってたシュミレーションゲームや戦争では、極端な話、相手の戦術の裏をかてるか、もしくは、
どちらがどれだけ相手の手札、(その土地の地形や戦術の癖)を知ることができるか、この2つが必須だ。
そして、このスキルを規格外と言える所は、戦争内に限定してもさまざまな恩恵を得られることだろう。
戦争で勝っても負けても必要なのは物質と人員の補給なのだ。
第二次世界大戦の日本がいい例だろう、なにせ食糧が満足に本国から送られず、現地調達と言われ、餓死や、食中毒にとって死んだ者たちが多いのだから。
そのため、一番脅威だったのは敵軍ではなく、餓えであったという。
自国よりはるか遠くの地を支配していたため、食糧や軍需品が安定して供給されなかったからだ。
それが、このスキルがあれば、
「敵のいる場所の正確な座標、地図があれば奇襲を勘づかれることなく師団規模の軍勢で行ったり、…敵地や未踏の地でも安定した補給が出来る!」
このスキルの可能性に思わずにやけていると、
「イオリ、ここにいたのですね、すこしあそびにつきあっていただけますか?」
その声の主は、和服を着ており、挙動一つ一つが優美で、ポニーテールを揺らして近寄ってくる姿は、どれをとっても育ちの良さが表れている。
本当に5歳とは思えない幼なじみだと常々思う。
「はいはい、今日は何の遊びですか?姫様」
彼女の名はルリ・斎・桜。
この世界では、人類が魔物を倒し、繁栄していった黎明期頃からある名家である。
彼女の一族は率先して前線で戦うため人望が厚く、人々から尊敬されている。
で、そんな人となんで気安く話しているかというと、彼女の両親と俺の両親が旧知の間柄であること。
もうひとつは、彼女に気に入られたからだろう。(何故かは分からんけど)
「きょうはあそぶまえにこれをわたしくて」
少し言葉が拙いが5歳で、これほど話せるたら十分だろう。
(むしろ、俺の方が異常なのだ)
「え?あ、ああどうも」
渡された綺麗な和紙で包装された小包を開けると、
「へぇ、髪飾り?」
「ええ、わたしがよくつかっていたものです。...これをわたしだとおもってだいじしてね」
「ぶっ!」
神様、ここって天国だったのですか…?
「ふふっ、きにいってもらえてよかった、です」
「お、おう」
「(わたしのおもい、しっかりつたわったかな?)」
姫様、心の声だだ漏れ、けど拙いながら思いを伝えてくるこの可愛さ、どじっ子属性、この子をなんと表現したものだろう。
「そおいえば、さっきはなにしていたのですか?」
あっそうだ、スキルの実験だった。
改修は、昨日試してっから、仲間の潜在能力発見スキルを試したいんだけど…。
仲間なんているか?俺まだ幼いし、仲間をつくるの苦労しそ
ピコンッ!
-目の前の幼女…訂正、少女が仲間になりたそうにしている-
「どこの冒険ファンタジーだ!?しかもすげぇ犯罪臭だぞ!」
「ふぇっ!?」
姫様が、オロオロしているが、それどころじゃないっ!
ピコンッ!
-目の前で起こっている現実です-
「いきなり冷静に答えんなよっ!」
「ていうか、お前。なんであんな紛らわしいことを…」
ピコンッ!
-茶目っ気です。てへっ!-
……プツン
「スキルのデリートってどうやるんだ」
ピコンッ!?
-ごめんなさいっ!ホントにゴメン!消さないでー!!-
「ちゃっかり575を作んな!」
ゴッ!と、ステータスを殴る中、
姫様は、「はわわわっ」と言いながら、事態が鎮静化するのを待っていた。
日常生活を書きすぎて、スキルの話が入りきりませんでした。すいませんでした。
次話で能力について書こうと思っています。
感想お待ちしております。