第2話 提督(イオリ)が現世に着任しました!
「...おぎゃあ(...やっぱ、お約束かぁ)」
転生して、はや数日。
とりあえず、現状確認をした結果、ここはアラルランクという世界の五大国家の一つ<アルクロン共和国>。
俺の名前はイオリのままになった、名字を持てない平民だけど。
母はミズハ、父はレージという元冒険者だ。
今暮らしているのは、カガリ村という首都からかなり離れた場所に位置する村だ。
あと、早速<提督>を使おうとしたが何故かロックがかかっていた、ゲームの様にヘルプがあったので確認すると...ん?
目がこすれないので、一旦目を閉じ、もう一度見直す。
「ばぶっ!?(年齢制限!?)」
スキルなのに年齢制限がかかっていやがった。
第1段階の解除は4歳から。(スキルヘルプ参照)
もう、第1段階とかつく時点で嫌な予感しかねぇんだが。
俺さ、スキルってのは制約的な物はあると思ってたけどさ、年齢制限ってのは初めてだよ!
運営に抗議………出来なかったね、ゲームじゃないもんね。
そして、今日も(精神は)ふて寝する。
~四歳~
「誕生日おめでとう!イオリ、私からはこのベージュ色のコート、加護付きでサイズが可変するの」
「おう!イオリ、俺からはこの狩り用のナイフだ」
「にぃに!にぃに!」
「ありがとう母さん、父さん。それにカエデも」
そう、今日俺の誕生日。プレゼントはすげぇファンタジーだが、
前世で無かった家族団らんがここにはあった。
それに、2歳下の弟も出来たし、この幸福で<提督>の年齢制限が解除されたのを忘れかけたほどだ。
父さんに酒を飲ませられかけたり、母さんのスキルを使った歌を聞いたり、
…本当に、前世とは雲泥の差だ……。
俺は家族が寝た後、子ども部屋で一人<提督>を起動させる。
一緒の部屋のカエデは幼いため、まだ両親と一緒に寝ている、
つまり今この部屋は俺だけだ。
俺はおよそ4年前と同じ様に俺にしか見えない画面をスクロールしていく。
4年前と違い、指で操作せず、念じるだけで操作出来るようになった。
……だってさ、何もない所で画面を操作してる姿って、良くてヤバい奴、
(いや、良くはないか)悪くて狂人にしか見えないし。
そして、今スキルを確認しているわけだが、
あえて、感想を述べるなら、
「(こりゃすげぇ)」
の賞賛の一言だろう。
<提督>というスキル名から、
軍とかでないと本領が発揮出来ないとは思っていたが、
それでも今の環境下でも使えるスキルもあった。
「(えーと、今使えるのは武器改修、仲間の潜在能力見極め・引き出しかな)」
本来なら、今日は疲れたし明日、となるだろう。
だがな、俺は、イベント海域攻略のために、期間中の二週間総合睡眠4時間の男だ。
某スティック型の携帯食と、大型ペットボトルを片手に籠城したんだ。
という事で……
両親からプレゼントされたコートと、ナイフを見る。
さすがに、貰ったものを、成功するかも分からないスキルに使うのは……。
ピコンッ!
「うひゃっ!?」
よく見ると、-改修スキルからメッセージを受信。-と、出ている。
「(な、なんだ。メッセージかよ、お、脅かすなよっ)」
ていうか、えっスキルからのメッセージ…?
何それ怖い。
おっかなびっくりメッセージを見ると……
-所持品の中で改修可能・成功率を表示します。-
狩猟用ナイフ : 100% 対価…魔力10
黒狼のコート : 100% 対価…魔力21
……です。
「(あっすご~い。俺の少ない魔力でも可能だ~)」
もう、疲れた。
スキルからメッセージとか常識なのだろうか?
誰か教えて欲しい……切にっ!
ピコンッ!
-改修しますか?-
あハイ、お願いします。