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国道17号を行く小旅行――板橋から大宮。自転車強行軍

作者: 無機名

結構バカな無茶をやってます。Σ(´∀`;)

 令和元年5月11日。この日、私はひたすらに自転車を漕いでいた。


 目的地は板橋区赤塚にある乗蓮寺。東京大仏。前に仕事帰りに寄ろうとしたのだが、閉門時間を過ぎていたため、ものの見事に門前払いを食らった・・・そのリベンジがため。

 乗蓮寺に置かれている大仏像は日本で三番目の大きさと言われている。

 日本で三番目?・・・蓮台2.3メートル、座高8.2メートルしか無いのに、そう言われているのは、【「坐像で青銅製の鋳造大仏」という条件】でくくった時という話・・・。

 なんか・・・小狡い気がしてしまう。

 ちなみに、日本最大の大仏は、霞ヶ浦の近くにある、牛久大仏が120mと圧巻。ならば行く価値はあまり無い様に思う。


 それでも、東京大仏に行くことに決めたのは、大仏だけではない。

 1時間ほど自転車を漕ぎ、たどり着いた乗蓮寺。開門を少しだけ過ぎた時刻。入り口には閻魔堂があり、閻魔様に会える。

 階段を上り、正門にたどり着くと、仁王様と金剛様が守っている。・・・あの様なマッスルを体現してみたいものだ。

 中に入り、本堂を伺うと、右手に金色の弁天様のお堂が建っている。整えられた日本庭園の池、その中央に在るため、水面に金が映り込み、実に美しい。

 そして、大仏。七福神、観音様・・・。とにかく、仏教関連のアレヤコレヤと詰め込んだ、一種のテーマパークを満喫する。

 それほど大きくないお寺なので、足が早い私は30分もあれば、見るものは見尽くし飽きてしまった。


 しかし、ここには赤塚植物園が隣にある。時刻は9時。ちょうどよく営業開始の時間になっていた。

 早速、植物園に入る。5月から6月が開花時期であるバラ園を見に向かう。

 いまならば、蕾から満開までのすべてが見ることが出来た。花びらは上質な布の様な・・・それ以上の表現が出来ぬのが悔しいが、ともかく花びらが肌触り良く。それが美しく折り重なって花を形作る様は、何ともため息が出る。

 甘くもほのかな香りも何と上品なものだ。

 そうやって、色、香り、植物園の雰囲気を楽しんだ私は、近くの郷土資料館で歴史を探訪。さらに板橋区立の美術館にも寄ろうと思ったが、生憎の改装中だった。ここもタダだから、楽しみだったのに・・・。

 ともかく、ここは嘗て赤塚城が有った場所で、都立赤塚公園広場、梅林、桜並木・・・楽しむに事欠かない。

 けれど、足早の私は、ましてや自転車の助力を得た私は、あっさりと踏破してしまった。時刻は11時くらい・・・早すぎる・・・か。

 だが、これで終わりではない。メインと考えてるのは、まだまだ在る。そして時間もある。いよいよ、メインにと据えていた熱帯環境植物館に向かうことにする。


 こちらの植物園について詳しくは説明する気はない。

 ざっくばらんに、地下の水族館で、テッポウウオやカクレクマノミ、淡水のエイ(ヒマンチュラチャオプラヤ)、アロワナ等を観察。

 1階・2階の温室で様々な熱帯植物を鑑賞、3階の令室で熱帯地方高山植物を拝見して、先に見た植物園の植物と、熱帯地方の植物との違い、奇異を堪能した。

 最後に企画コーナーで食べられる植物を眺め、植物園のツアーを終えることとなった。


 それにしても板橋区は、ずいぶんと気っ風がいいものだ・・・熱帯環境植物館以外の施設に私は金を払っていない。無料だった。何とも贅沢である。


 しかし、困った・・・時刻は1時を回ったくらい。予定していたものを見てしまった。時間が余った。

 ならば・・・帰るか?せっかくの時間を家に帰って昼寝に費やすのも馬鹿臭い。この選択肢はない。

 では、近くの国道17号線を上って、都心に向かうか?往復を考えるとメンドウだ。都心は電車で行くところ・・・。

 さもなくば、練馬の光が丘公園にでも行くか・・・あそこには何度も行っている。つまらない。


 そうして思い至った。


(そうだ、植物に関して回ったのだから、その繋がりで、大宮に向かって大宮公園と盆栽を拝むのをいいのではないか・・・)


 考えに至れば早かった。

 距離を考えれば、高島平から20キロは在るだろうが、知ったことではない。

 文豪、志賀直哉など、自転車で東京から横浜の往復100キロを走った。先人に出来たのだ。その自転車も道路環境も今より遥かに劣るはずだ。それでも出来たのだ。

 今の20キロ程度がなんだ。


 決めた私は、新大宮バイパス:国道17号と、旧中山道:国道17号のどちらを通るか悩む。

 ややこしいがこのあたりには、国道17号線が2つ在る。

 さて、新道は道が広いが味気ない。通る気にはなれなかった。それに、新道は帰り道に使う。そんなわけで旧中山道を北上することにした。

 高島平から少し東に進んだ先にある、赤羽を過ぎたあたりで荒川と合流すれば、名前を隅田川と変える新河岸川。そして、荒川を戸田橋で渡り、中山道を北上。

 一時間ほど走り、さいたま新都心駅付近にたどり着く。1%未満の勾配がダラダラと続く坂が辛かった・・・そこから続く氷川神社の参道を10分かからずに大宮駅付近に着き、気がついた。


 ・・・・昼ごはんを食べていない。


 けれど、ゴハンを優先すれば、施設が閉まるかも知れない。以前に余裕をもって出向いたと思った東京大仏は4時に閉まっていたのだ、あのガッカリがどうにも頭から離れない。

 私はゴハンを諦め、武蔵一宮氷川神社に参拝することにした。


 休日だからだろうか、宮司や巫女が歩き回る神社のなか、参拝を終え、大宮公園の散策を始める。

 NACK5スタジアム、野球場、児童遊園地・・・更には小動物園。

 小動物園と在るが、ここには、猿、山猫、熊、カピバラ、シマフクロウ、ハイエナ、フラミンゴ・・・思った以上に多様な動物が、飼育されていた。

 ――これが無料。全く、驚きだ。競輪などの収益をつぎ込んでいるのだろうか?

 シマフクロウが何度も首を回しながらも、視線を私からそらさず、見続けるので「貴様、見ているな」・・・などと言ってやって茶化し、ツキノワグマが強化ガラスを叩きながら挑発するのを眺めたりと楽しんだ。

 歴史と民俗の博物館というのが有ったが、これは有料だったのでスルー。


 そのまま、大宮公園の地図を見ることで知った、近代風刺漫画の祖にして、日本初の職業漫画家。北沢楽天が晩年に過ごした住居の跡地に建てられた、日本初の公立漫画美術館――さいたま市立漫画会館を堪能しつつ、大宮の盆栽村を見て回った。

 盆栽村では、先日に行った昭和記念公園の日本庭園に有った盆栽を上回る。自然の風化と年輪を刻まれながらも小さい。しかし雄大と密度の濃い盆栽に圧倒された。

 更に、欧州からの予約品と書かれた品も有ったから、どれほど盆栽が人気高いか・・・思わず唸ってしまった。

 また、古民家を改装したらしい"盆栽四季の家"・・ここはくつろげた。


 見たモノすべてが感動に溢れているのだが、これ以上は、どうにも書く気に成れない。

 腹が減っていたのか、この後に食べたものの方が印象深い。

 大宮公園、盆栽村、漫画会館・・・・これらを回り終えて、時刻は午後4時・・・流石に水を飲んだ程度の休憩だけでは、くたびれてきた。


 大宮に来るにしても、電車で来たならどうでもいいが、わざわざ自転車で来たのだから、味気ない食事で満足は出来ない。

 そこで、前々から行こうと企みながらも、行けずじまいだった、喫茶店に行くことにした。昼時を大幅にすぎている。きっと飯屋は閑散としているだろう。怪我の功名と言えるハズ。


 選んだお店は、伯爵邸。

 年中無休にして、昭和50年創業の24時間営業という40年を超える老舗喫茶店。

 休日とは言え、流石にランチタイムをすぎているのだから、アイドルタイム(遊休時間)かと思いきや・・・満席だった。

 どれだけ人気店なのか・・・。

 満席を詫び、案内に来た老齢の店員に「40年以上も24時間営業なのか?」と聞いたら、是と誇るように答えられた。

 そこで相席を勧められる。

 私はそこら辺に気を回すほど余裕は無かったし、相席に座る方は、ちょうど飲食を終えていたので了解をした。

 そうして座席に座り、早速見たメニューに圧倒された。


 喫茶店なのだから、コーヒー、紅茶は当たり前の様にある。ソーダ水系、ジュース。なるほど、豪華だ・・・。

 更にはアジアンティー、ビール、ワイン、カクテル・・・泡盛、焼酎、日本酒・・・え!?

 よくよく、軽食のメニュー見ると、そこにはスパゲティやオムライス、サンドイッチ、パフェ、ホットケーキ等、喫茶店の定番に加えて、定食、沖縄そば、ゴーヤチャンプルー、ステーキ・・・タイ料理、スリランカ料理・・・などなど。


 よくファミレスを食の遊園地扱いするのが、この店にはそれがバカ臭くなるほど豪華なメニューが・・カオスに溢れていた。

 だが、ここで誘惑に悩むのはイケナイ。私は大宮ナポリタンを注文する。


 すると、そうそうに調味料が運ばれてきた。タバスコ、粉チーズ・・・そして、とんがらし泡盛ソース・・・?(なんだこりゃ?)と、ラベルをみると、"激辛"と書かれている。

 そんなこんなで、ナポリタンが運ばれてきた。

 スープ、サラダが付いて、山盛りのナポリタン。具材にはカイワレがてっぺんにまぶされ、玉ねぎ、ピーマン、パプリカ、豚肉。そして、イカ。

 イカが何とも、特異に見えたが、とにかく実食。

 まずはそのまま・・・普通にナポリタンだ。ちょっとだけ、心配した部分が有ったのだが、普通だ。

 そこで、とんがらし泡盛ソースを端の部分にかける。全体にかけたら、後悔しそうだ。

 激辛と言うから、どんなものかと恐る恐る食べる。――辛い。だが、これはどうしたことだ。タバスコの様にいつまでも口に残る辛さではない。嘗て行った沖縄の熱さのように、蒸し暑いのではない。サラリと風の一吹きで癒やされる熱さの辛さだ。水を飲んでも、いつまでも口に残るような辛さではない。食材と一緒に腹にオチていくカラリとした辛さなのだ。


 イカもこの味によく馴染む。味も食感も良いアクセントに成っている・・・美味い。更にふりかけた粉チーズは市販品だが、このナポリタンはそれをよく計算されて、よく調和する。・・・旨すぎる。スープとサラダも口直しに最適だ。

 そうして、夢中になって食べてしまった。


 出されたときには、些か多かろう。と思ったが、そんなことはなかった。セットのコーヒーを楽しみ、水で口を洗い流し、満足したところで、更にお客が来た。腹が減って先程は気にする余裕が無かったが、何人もいるウチの外国人のスタッフ1人が、たどたどしい日本語で満席を詫ながら案内をしている。

 1人の私がこれ以上、とどまるのは何とも無粋だと思い、席を立つ。

 大宮、【伯爵邸】東北への停車場故か・・メニューの多さから、また来なければ・・・と、思う。


 それにしても、1人旅は気兼ねがないゆえに楽しいものだが、最近のオフ会を思うと、誰かが共にいるという旅を味わうと、感動や感想を分かち合う事が出来ないのが、どうにも寂しいと考えた。


 私は、弱くなったのかも知れない・・・そんな事を思いながら家路に向かって新大宮バイパス・国道17号を自転車で走っていた。

大宮・・・さいたまは、科学館、博物館とか、いっぱい有って楽しい・・・。

前に歩き回った、小平、立川も、国分寺、多摩なども、面白いんだよなぁ・・・。


それにしても、一人旅って、気楽です。

・・・でも、誰かが居て煩わされるも、それが楽しくて、その無駄に思える中に楽しさが見いだせる様になると、どうにも寂しさが顔を出す。


人の心って、メンドクセェ。┐(´д`)┌ヤレヤレ

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― 新着の感想 ―
[良い点] ご執筆お疲れ様です(^-^) とても楽しそうな一人旅の旅行忌憚で、行ったことがない場所のはずなのに自然と風景や音や味などが想像することができて、自分も旅にご同行したような、不思議な感覚に…
2019/05/14 22:19 退会済み
管理
[一言] 言葉足らずでしたー、薔薇いいなぁ咲いてるんだぁ、と、植物園読んで。我が家?夏の花ですよー、ゴーン( ;∀;)、芥子のイメージが残ってたのですねー。同じ日本だというのに、何と………広さを感じて…
[一言] 大宮、良いとこです。大宮公園は行かなかったですけど、行ってみたいとは思っていたんですね。 ほとんどが氷川神社止まりでしたけど(笑) 氷川神社の参道脇の団子屋の団子が美味いんです(*´∀`)♪…
感想一覧
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