忙しい休暇
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このページが完成しました。本編はまだまだ続きますので、これからも末長く見ていただいたら幸いです。
1.31 蓮月嬌
――「只今、戻ったよ。」
「お疲れ様です。」
お店に戻った私たちは、店番を頼んだ2人に声をかけた。
「「お帰りなさい。お疲れ様でした。」」
咲梨ちゃんと瑠花ちゃん(石山さん)が声を揃えて返事をくれた。
「どうでしたかー?」
咲梨ちゃんがうさちゃんたちを眺めながら聞いてきた。
「2人とも異常はなかったよ。手続きも茉莉亜ちゃんが一緒だったお陰でスムーズに済んだからね。いやー、本当に助かったよ!!」
「私は何もしてないですよ。只、隣を付いて回っただけです。そんな感謝されるものでは…」
「なーに言ってんですか!茉莉亜ちゃんが一緒じゃなきゃ今頃、店長一人で大騒ぎでしたよ?店長の性格一番知ってるのは茉莉亜ちゃんじゃないですかー!」
「咲梨ちゃんそこまで言わなくて良いから…。」
「あのー…店長と茉莉亜さんはお付き合いされているんですか?」
「「「……」」」
「あっ、あはははっ!ひー!ひーっ!ふははっ!」
「ちょ、咲梨ちゃん笑いすぎ!うさちゃんたちびっくりしてるから!!」
「石山ちゃん、俺と茉莉亜ちゃんとの間にそう言った関係はないよ。茉莉亜ちゃんは、俺がここで店を始めたすぐの頃から、ここに通ってくれて色々と情報もくれる優しいお客様だよ。」
「あ!そーなんですか。失礼しました。」
「大丈夫ですよ。よく勘違いされるので慣れちゃってます!」
「(慣れちゃってるの~…。それだけー…。)」
「店長ー。ドンマイ!」
「いいよ。俺なんか最初から眼中にないことなんて分かってたから…いやぁ、でも傷付くなぁ」
「咲梨ちゃん?どうしたの?店長なんか落ち込んでるけど…」
「いやぁ!自分で自分を追い込んでる真っ最中!?自暴自棄ってやつかな!?ね!店長!!」
「俺、やっぱり今日は奥で泣いててもいい?」
「なーに、そんなこと言ってるんですか!今からごはんの時間ですよ!栄養満点で作るので手伝って下さい。」
「そうだね。うん。手伝うよ。そしてやっぱり、嫌いにはなれない。」
「え?店長何か言いました?」
――
「さて、うさちゃんたちのランチタイムといきましょうか!」
白ちゃんとパパさんのごはんが完成。
白ちゃんには、ペレットに猫ミルクを少しずつ含ませたものとアルファルファと言うたんぱく質の高い牧草を。
パパさんは、そのままペレットと牧草はチモシーと言う種類を。
お水の中にビタミン剤の液体を数滴垂らし、ペレットの中にも混ぜておいた。
白ちゃんは、お腹を空かせていたのかパクパクと食べてくれた。
ペレットも少しふやかされていることもあってか支障なく食べていた。
「白ちゃん食べてくれてるねー。食べ終わったらもう少しミルクあげたが良いですよね?」
「そうだねー。一安心てところかな。まだお水よりミルクがいいかな。お腹が緩まない程度にね。」
「了解しましたー!」
「それに比べ、パパさんは全然食べてくれないですね。お腹が空いてないのー?」
そう言いながら、瑠花ちゃんがパパさんのハコの中を覗き込もうとしたとき…
「ブゥ!ブゥー!」ダンダンッ!
「きゃっ!」
「瑠花ちゃん大丈夫!?」
「あ、大丈夫です。ちょっとびっくりしたけど…」
「いきなり覗き込もうとしたからパパさんも驚いたんですよ。それにごはんは食べないのではなく、食べられないと言うのが正しいのかと。」
「え?どういうことですか?」
「俺が説明するね。パパちゃんからすれば、今日今までいたお家から出されて目の前には知らない人。匂いや音までも全く違う環境の中でさぁランチタイムだよ!と言われても食べる気になるかな?そして、自分がもらえたと思っていたごはんの前に人が来たら取られるとか、何かされるのではないかと言う恐怖が襲ったことでの行動だったんだよ。石山ちゃんも不適格な行動をとらないように気をつけなきゃね。」
「さすが店長ですね。でも一つ肝心な事をいい忘れています。」
「ん?何だったかな?」
「パパさんは人を恐れている。他の子と比べもっと慎重な対応をするべきと言うことです。」
「そうだね。それがパパちゃんに一番大切なことだね。」
「ですので、店長。いえ、岩谷さん。この子を私に迎えさせてください。」
「「えぇ!?」」
「茉莉亜ちゃん。いきなり、ダイナミックなこと言った自覚ある?」
「もちろん、自覚しています。突然、こんな爆弾発言をするつもりもなかった。ですが、車の中でずっと考えていました。この子に出来る幸せって何だろうと。」
「そのこたえが見つかった?」
「確かなものを見つけた訳ではないです。でも、私がこの子にしてあげたいこと。この子に対しての理想は掴めました。ですが、それが私のただの自己満足ではと言われれば否定は出来ません。」
「そうだね。そしたら何てこたえるの?」
「それは…
この子と共に暮らしていく中で見つけていくものだと思います。人でもそれぞれの家庭がありそれぞれの暮らし方がある。それは、家族みんなで築き上げたからこそ存在するものであり元からあるものではない。そして、正解と言うものもない。自分たちは自分たちの暮らしを築き上げばいいと思います。しかし、その家族という存在が心から歓迎する存在でなければ自分たちの家庭は築けない。お互いがお互いを想う者同士となることが大切だと思います。その家族に私はこの子を迎えたいと思いました。」
「そっか。茉莉亜ちゃんの意志は分かった。でも、俺からお願い1ついいかな?」
「はい。何ですか?」
「この子を家族として歓迎するのであれば、この子に適する環境を整えて欲しい。この子が困らないお家にしてあげて。」
「わかりました。私からもう少しお話させてもらうと、数日の間はお願いしても宜しいですか?今すぐ、家に連れて行きたいのは山々です。しかし、岩谷さんも言われたようにこの子に合う家にしたいんです。その準備期間の間お願いします。」ペコッ!
「茉莉亜ちゃんのお願いは飲んだよ。迎える準備が整うまで俺が責任もつ。それに元の飼い主が現れるとしたらここだからね。」
「ありがとうございます。本当なら、それがいいんですけどね。」
「「うぅっ、うー。ズビッ、うわぁーん!」」
「え?何!?どうしたの!」
「「茉莉亜ちゃん(さん)格好いいですー!」」
「歳の差が数個とは思えないー!」
「こんな真が強いなんて知らなかったですー!」
「確認するけど、2人共それ誉め言葉なんだよね?」
「「もちろんですー!」」
「あぁ、どうもありがとう。」
―パンッ、パンッ!
「はい。おしゃべりはここまで!話を戻して。茉莉亜ちゃん、それじゃこれから忙しくなるけど大丈夫かな?まぁ、俺たちも精一杯サポートはさせてもらうよ。」
「はい。ありがとうございます。これからが楽しみです!プクプクと仲良くなってもらえたらもっと嬉しいなと。」
「そうだねー。プクプクも、もう5年共に暮らしてるんだよねー。早いなー。」
「プクプクちゃんとは?」
「茉莉亜ちゃんの同居人、ミドリフグさんですよー。ここのお店出身でねー。」
「へぇー!」
「プクプクも茉莉亜ちゃんが一目惚れして、『水槽立ち上げるので待っててください!』なんて言ってきたから一週ちょっと売約済みってしてたんだよ。宣言してすぐ一式買って行って3日後くらいに来るから、早くないかと思ったら『水草欲しいっ』て」
「水草?」
「うん、ウィローモスをね。プクプクの隠れ家を作るからって。」
「なるほどー。落ち着ける所があるのは大切ですよね」
「茉莉亜ちゃんは本当に動物が大好きなんですよねー」
「それならここで働きたいとか思ったりされなかったんですか?ここだと四六時中動物たちと一緒にいれたのに」
「うーん。そうなんですけど…」
「茉莉亜ちゃんは、夢を持っているんだよ」
「夢ですか?」
「そう、自分のペットショップを開くというね」
「そうなんですかー。なら一層ここの方が…」
「それもまた違うんだよ。茉莉亜ちゃんには憧れる人、目指すお店があるんだ。だから、その夢を叶えるまでペットショップでは働かないって決めているんだよ。違うお店で働いてみて自分の夢と違うってなると悲しかったり辛かったりするもんだからさ」
「方針が違うとかってことですか?」
「簡単に言えばそうだね。茉莉亜ちゃんは経験して自分はこうしたいって言う意志を掴んだんだだから、それを他人から壊されたくないんだよ」
「なんだか難しいですねー」
「でも、ここで働くか一時迷った時もあったんですよ?」
「「え!?」」
「茉莉亜ちゃんちょっとそれ、初耳なんだけど!?」
「茉莉亜ちゃんなら今でもすぐwelcomeですよ!今からでも間に合いますよ!!どうです!?茉莉亜ちゃん!!」
「あちゃー、今のは無し無し!」
「いーえ!咲梨の耳と心にはちゃーんと残っていますよ!」
「咲梨ちゃん…」
「あー、俺があの時もっと推していれば…」
「店長、茉莉亜ちゃん勧誘してたんですか!」
「勧誘て程ではないけどね」
「もぉー!なら、一緒に働きましょうよー」
「ごめんねー、咲梨ちゃん。今は今の仕事頑張りたいんだ。それにここには瑠花ちゃんも加わって華もいっぱい咲いてるんだし」
「そうですかー」
「よし!プクプクのごはん買ってうさちゃんのお家作りの材料買い周りしてきます!」
「そうだね、ごめんね。時間とらせて」
「いえいえ!全然。おしゃべり出来て良かったです」
「プクプクのごはん準備できたよ」
「ありがとうございます。」
「また、来てくださいね!」
「茉莉亜さんとまたおしゃべり出来るの楽しみしてます!」
「じゃ、お疲れ様でーす!」
<よーし!買い物へgo!>
自分の買い物はさておき、ショップを出た足で向かった先はホームセンター。ここでうさちゃんのお家の材料を買い求める。その材料は…木材と金網そしてメッシュワイヤー。
「このくらいでいいかなー。あとは…」
「お!これは使えるかもー」
とか何とか言って、結構な量の材料を車に積み遅めの昼食と夕食の材料を買いにスーパーへ寄り自宅へと戻った。
<よーしっと。これから忙しくなるぞー。うさちゃんのお家作り開始!>
続