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忘却花葬  作者: 涙紫月
24/26

24.死ぬために

本当にもうすぐ完結です。

わかりにくい表現がたくさんあります。毎度のことながら、申し訳ないです。m(_ _)m


短いです。

「俺は…」

飛彗はいつもの優しい顔で、塗色を見つめている。

「…俺は死にたかった。家族と、家族の大事なものを奪った自分が許せなかった。俺のことを、いつも一番に考えてくれる人…。その人の命を…、俺は母さんを殺してしまったんだ。

母さんが死んだあとも、俺は普通に生きていた。

学校の友達と笑い転げる日もあった。些細なことで、ケンカした日もあった。

その間、俺も誰も、母さんのことを考えてないような気がしたんだ…。そのことが、俺は怖く感じられた。

母さんのことは忘れない。だけど、あの声、あの目、あの温かさは忘れてしまいそうだった…!

…俺は、俺の罪を忘れてしまうんじゃないかと思った。自分だけが楽しく笑って暮らしていてはいけない。

そんなとき、母さんがしてくれた忘却花葬の話を思い出したんだ。

俺は…、忘れようと思った。母さんを殺したことを、じゃない。

それ以外の楽しい記憶を。

そして、死のうと思った。自分の罪を、心に刻み付けて。

…俺の生の全てを捧げて、弟が…っ斗庵(とあん)が幸せになってくれればいい…。そう思ったのに…!忘却花葬に会って、怖かった。死にたくない、忘れたくないと思ってしまった…。

俺は…、まだ…、生きていたい。

生きているのも辛いよ。だけど死ぬのも辛い。

本当にっ…、兄として失格だ…。

どうしたらいいんだろう…。もう…、わからないよっ…」

涙が止まらない。

俯いている塗色を、優しい優しい目で、飛彗は見つめる。

ありがとうございます。

小さく、そう呟いた。

そして、塗色を抱きしめる。

ベットの脇で中腰だった塗色は、バランスを崩してしまう。

が、顔にすぐ温もり。

飛彗は自分の胸で泣き続けている塗色に、話しかける。

「…忘れても、いいんですよ」

「え…?」

読んでくださった方、ありがとうございます!!

感想などありましたら、ご気軽にどうぞ。

読んでもらっているだけでも、とても嬉しいです(*´ω`*)

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