22.行方 〈不安のなかで〉
更新、遅くなりました…。
スランプです。
朝。
カーテンの隙間から入ってきた光で、塗色は目を覚ました。
ゆっくりと体を起こす。
その顔は、何故か顰められている。
どうやら、悪い夢でも見たようだ。
(…記憶、か…。母さんが死ぬ前と死んだときの)
手を顔にやり、はぁと息を吐く。
少しして、塗色は立ち上がる。
廊下に出てみると、何か、違和感を感じる。
静かなのだ。いつもより。
もちろん、いつも静かだ。
ただ、今日は不自然。
人の気配が全くしない。
飛彗が居るはずなのに。
塗色は、台所へと足を進める。
いつもなら、食事の良い香りが。今日はしない。
のれんをめくり、台所を覗く。
飛彗はいない。
今度は居間へ。
障子を開ける。
だが、飛彗はいない。
塗色は焦った様子が隠せない。
(ばあちゃん…どこに…?)
塗色は、家中を探し回ったが飛彗は居なかった。
外に出て、飛彗を探し始める。
家の周りにはいないようだ。
門をくぐって、塗色は立ち止まる。
「くそっ…。どこ行ったんだよ…」
心配と不安、そして苛立ちがこみ上げる。
「あっ。あんた、飛彗さんのお孫さんかい?」
右から声がして、塗色はそちらを向く。
立っていたのは、黒髪に白髪が混じった、60代くらいの男。
「え…、はい。そうですけど…」
突然のことに驚く塗色。
何しろ、ここに来て飛彗以外の人に会っていないのだ。
「やっぱりそうか。あんたんとこの飛彗さんな、今…」
「ばあちゃんがどこに行ったか知ってるんですか!?」
飛彗の名前が出たことで、塗色は喰いつく。
しかし、相手は突然声を上げた塗色に驚いているようだ。
「あっ…。すみません…」
「いや、いいんじゃ、いいんじゃ。飛彗さんがいなくなってびっくりしたんじゃろう。…飛彗さんな、隣町の方まで行っとったらしいぞ。今は、そこの病院におる」
「病院…?それに隣町って…」
意味がわからない、というような顔を塗色はしている。
「詳しいことは、わしも知らん。病院の住所は聞いとるから、今から行ったらいい。そんなに遠くない」
「わかりました…。ありがとうございます」
「うん。気ぃつけてな」
(なんで隣町なんか…。しかも病院ってどういうことなんだ…?何かあったのか…)
塗色は、戸惑いが続くなか、足を進めた。
読んでくだった方、ありがとうございます!!




