表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘却花葬  作者: 涙紫月
19/26

19.私の話

久しぶり(?)の更新です!

課題があるので、遅くなりました…(^^;;

次回も少し遅いかもです。(まだ終わってないので)

ここで飛彗は、話をやめた。流れてしまった涙を、拭くことはなく。

塗色は、固まったまま動くことができなかった。

ただ考えられたのは。

(じいちゃんは昔の記憶がないんだ…。飛彗ばあちゃんを庇ったせいで)

そのことが頭の中で、ぐるぐると回り続ける。

「総次郎さんを連れて、私は山を下りました。知らない場所、知らない人。自分が誰かもわからない。不安だったでしょう。総次郎さんの家族は、泣いていました。…私は、総次郎さんもその家族も傷つけ、人生を狂わしてしまった」

飛彗は吐き出すように言った。

塗色はじっと、黙ったままだ。

「私はその日から、総次郎さんのそばにいるようになりました。私が総次郎さんの全てを奪ってしまった。その罪滅ぼしになるのかはわかりませんが、私が、新しい記憶を良いものにしたいと思ったからです」

飛彗は、一息ついてまた話し始める。

「私達は、大人になって当然のように結婚しました。総次郎さんの記憶には、私しかいないのですから、当たり前ともいえますね。総次郎さんの家族は、言っても何もわからない総次郎さんを、途中で諦めていたんです。私は…、相手にされなくても諦めなかった。…いいえ、諦めるなんてことをしてはいけなかった」

飛彗は、今まで伏せていた目を上げ、塗色を真っ直ぐ見つめる。

その瞳からは、強さを感じることができる。

だが、次の瞬間にはもう、その瞳は揺れていた。

「ねぇ、塗色。あなたは何をしようとしているの?私は、不安でたまらない。死のうなんて思わないで。記憶を消そうなんて考えないで。お願い…」

感情的になる飛彗を、塗色はただ見つめている。

「飛彗ばあちゃん。忘却花葬に会ったら、絶対に全ての記憶を消されるわけではないんだよね?」

塗色がやっと口を開いたと思えば、それは今、あまり関係のないように思えること。

「ええ…。運が悪かったり忘却花葬に変な刺激を与えなければ、全てではないと思いますが…。未知の花なので、それすらも正しいかわかりません」

悩みながら答える飛彗。

そして、その返答を聞いて少し微笑んでいる塗色。

「そっか。…それなら良かった」

「え?」

塗色の言葉の最後は小さく、飛彗には聞こえなかったようだ。

2人の間に沈黙が流れる。

「塗色?」

口を開いたのは、やはり飛彗。

だが、

「…」

塗色は答えない。

少しして、塗色が立ち上がった。

「もう…、寝るよ。また明日、おやすみ」

そう言って、飛彗に目を向けることなく、塗色は部屋をあとにした。

読んでくださった方、ありがとうございます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ